悪い予感【ディー視点】
あと1日で王都に着く。
俺1人ならばもっと早く帰れただろうが、視察と称して彼女に会いに行った。
護衛隊や視察のための伝令係など、10数人に及ぶ人員がいる。これ以上急ぐことは無理だろう。
とは言え、我々の方が先に出立したのだから、別段急ぐ必要はない。
…そう、ないはずなんだ。
なのに、何故か胸騒ぎがする。
彼女の性格上、まず間違いなくあの指輪の存在に気付いたはずだ。
少なからず好意は感じたが、それは決して俺と同じものではないだろう。
だから、絶対に俺の後を追って王城まで来るはずだ。指輪を外す為に。
…自分で言ってて虚しいな。。
途中で追い付かれて、その場で話し合いになるのは避けたかったから、それなりに早駆けして来たつもりだ。
本来なら、まだ後2日はかかるだろう道程なのだから。
だというのに、何か間違えているような気がする。ただの勘でしかない。
だが、俺は今までこの勘が外れたことがない。
そうだ、と思い直し、俺は俺の守護精霊である傍らに控えている水の精霊シュウに尋ねた。
「1つ、聞いてもいいだろうか。」
「何なりと」
「俺はずっとこの旅程の間、何故か胸騒ぎがするんだ。確か、お前達は仲間の気配を感じ取れるんだろう?
…マリーは、俺のことを本当に追い掛けてくれているのだろうか。」
話しながら不安になってきた。
もしかしたら指輪が取れないことも気にせず、森の中にいるんじゃないだろうか。
彼女と彼女の守護精霊達の力をもってすれば、誰にも森に立ち入らせることなど出来ない。
例え、また俺が訪れたとしても、たかが俺1人行ったところで、王城まで連れていくことは難しい。何より無理強いしたいわけではないのだから。
だからこそ、王城を訪ねざるを得ない状況を作って立ち去ったのだから。
そう物思いに耽っていたら、さらっと、こう、告げてきた。
「追い掛けている、と言いますか、追い抜いて行かれましたよ。それもかなり前に。」
「………は。」
「ですから、言葉の通りです。
風の精霊殿のお力を借りたのでしょうが、あっという間に飛び立っていかれましたよ?」
「…っ何故それを先に言わなかった!!」
「…聞かれなかったので。ご存知かと思っていましたが、気付かなかったのですか?」
「…っぐ」
ぐうの音も出ないとはこのことだ。
俺は急ぎ小隊に声を掛けた。
「皆、今日はこのまま王城に急ぐぞ!!
火急の要件が入った!!急ぎ、準備しろ!!!」
「「…っは!!!」」
突然のことにも関わらず、彼らは直ぐ様行動に移す。優秀な配下で助かった。
「全く、突然なんですか。
もしかして、あの、お方のことで何か情報でも?」
1人だけ、やれやれといった風情で近付いてくる。言わずもがな、俺の筆頭護衛騎士リュークだ。
しかしながら、身仕度は既に整っており、いつでも出発できる用意をしている。
「~~っそうだ。
だから、急ぐぞ!!」
「畏まりました。」
騎士の礼をし、直ぐに切り替える姿は流石としかいはいようがない。
俺は皆の準備が整うのを確認し、すぐに出発した。
あぁ、早く会いたい。
一体何故こんなことに!?
嫌な予感が杞憂であることを願いながら馬を駆けたのだった。
長らくお待たせしました、ヒーロー(?)ディー登場です!!
急がないと良いところぜーんぶ宰相様にとられるよー!というのを本能で察したようです(笑)
さて、次回城に帰ったディーはどのように再会するのでしょうか?
気長にお待ちいただければ幸いです。




