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番外編・私と君が出会うまで~ライアン視点~

ライアンの過去編です。

全貌は明かされていませんが、今まで起きた出来事に、この方も大きく関わっているのは間違いないでしょう。

なんだか結構重い話になってしまいました(^_^;)

私は、ライアン・ミュラーという。

公爵位を賜っており、この国の宰相でもある。


祖先は王族の血を引いており、代々国の中枢を担ってきた。


まだ29歳と年が若い私が公爵家当主の地位と宰相という職に就くには些か若すぎると誰もが思うだろう。


だが、ここに至るまでには色々なことがあったのだ。




************************************




16才の時、私は幼なじみの少女と婚約をした。

少女はメアリーと言い、現国王の弟、王弟の娘だった。

血筋柄、子供の頃から王家の方々とは縁があり、度々遊び相手になってきた。その頃からお互い好意を持っていて、婚約するのは自然の流れだった。


当時ミュラー公爵位を賜っていた父は外交官をしており、中立派の筆頭であった。


私は幼い頃から頭脳だけは秀でていて、父にはよく王宮に連れられ、政治のことについて学んでいた。


婚約した頃には私は父の公爵領での仕事の半分以上を担い、政にも関わっていた。


だからこそ、この国の中枢の一部が狂っていることにも気付いていた。


当時、まだ幼い第2王子が【異端者】と呼ばれ、母子共に周囲からよく思われていないのは知っていた。


知っていたが、私には何も出来なかった。

何故ならば、国の中枢を担わなければならない宰相が、腐敗していたからだ。


宰相、デスタス侯爵は、王妃の親族の1人であり、愛人、だった。


公言している訳ではないが、誰もが知っている周知の事実だった。

王妃と第一王子の周囲への虐めや横暴な態度も、立場上罰することが難しいのもあるが、デスタス侯爵が裏で動いていたせいで、表立って諫めることが出来ず悪化したのもある。


メアリーに会いに王宮の庭園等、王族のプライベートな空間に行く機会が多かった私は、二人の幼い王子にも何度か拝謁する機会があった。


イルバーノ第一王子は、どんな相手でも高飛車な態度を崩さず、慇懃無礼に接してきた。

年上の従姉妹であるメアリーに下心を持っているようで、婚約しているにも関わらず幾度もアプローチしているのだと彼女から聞き、私は持てる限りの力で彼女を守ってきた。


対して、ディースレイド第二王子は、無関心だった。いや、正確には自身の感情を限りなく抑え込んでいるのだろうと感じた。


こんなにも幼い少年が、子供ながらに周囲の空気を感じ、取り繕っている。それがなんとも危うい姿で、私は彼の将来が心配になった。

恐らく彼は、私よりも頭が良い。

けれど、それを決して表には出さない。

いつか爆発してしまうのではないかと私は彼の事が気になって仕様がなかった。



それから2年経ち、私達は結婚をし、すぐに妊娠が発覚。娘が産まれた。


だが、私の幸せな日々は、たった数年で終わる。


父が事故死した。妻と、共に。


いや。

正確には事故死などではない。

あれは殺されたのだ。デスタス侯爵の手の者によって。


私はこの世の全てを憎んだ。

父を、妻を殺したものを許さない!


私は死に物狂いでデスタス侯爵の悪事の痕跡を拾い集めた。

今までどうしてここまで放置してきたのかと呆れるくらい、沢山の証拠が出てきた。


私は私の人生全てを掛けて、あの男等を死に追いやろうと奔走した。


そんな矢先、第二王子が誕生パーティーの日に行方不明になったと聞いた。


いよいよあいつらがあの聡明な王子にまで手を掛けたのだと思い至り、私は行動を移すことを決めた。


王子暗殺未遂があったため、既に幾人かの宰相の手の者は牢に入れられていたが、肝心の宰相はまだ居座ったままだ。


ディースレイド殿下がいなくなって1週間が経ち、いよいよ生死が危ぶまれてきた頃、私は行動を移すことに決めた。


そうして、我が家を出たら、そこにはいるはずのない人物が立っていた。


「で、ディースレイド殿下…」


「ミュラー・ライアン様。お久しぶりです。

聡明な貴方にお願いがありまして、こちらに参りました。突然の訪問で驚かれたと思いますが、お話を聞いて頂けますでしょうか?」



そこにいたのは、私の知るディースレイド殿下ではなかった。


生きる希望に満ち、前を真っ直ぐに見据える相貌に、私は頭を下げたい心持ちになった。


そこにいたのは、無関心な危うい子供などではない。王族の風格に満ち溢れた1人の男の姿があった。


その後、私は殿下と共に、王妃と第一王子、そして宰相を裁き、その地位から追い落とした。



殿下は皇太子となり、私は公爵位を賜り、宰相まで請け負った。


私には過ぎたる身分だと一度は断ったのだが、ディースレイド殿下に頼まれてしまった。


「俺にはまだまだ味方が少ない。

貴方のような優秀で聡明な人は一介の文官でいるのは惜しいのだ。

どうか手伝ってくれないだろうか?」


そう言われてしまえば断ることなど出来ず、私は国王と王弟であり義父の後押しもあり、宰相を引き受けることにしたのだった。



私、ライアン様、好きなんですかねー?

こんな番外編書く予定なかったのに!!(笑)


さて、次回からはまた通常通りの視点に戻していきたいと思います!(*`・ω・)ゞ

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