突然の密会
朝から破壊力満点の笑顔と紳士な振る舞いに既にお腹いっぱいな、私です。
ライアン様は、なんで独り身なのか不思議なくらい、優しくて紳士的で容姿も整ったイケメンパパさんでした。
…そんな方と、どうして私は今、二人っきりなのでしょうか?
エスコートされ辿り着いたバルコニーは、日当たりの良い場所にあり、そこから見える景色は今日案内してもらう予定だった薔薇園が見える本当に素敵なとこだった。
だけど、いると思っていたルイやアリア達が何処にもいなくて、私は動揺してしまった。
「あのぅ、ライアン様…」
「ああ、どうぞこちらへ。」
皆はどこに、と訊ねようとしたら先制されてしまった!!
椅子を引いて席に案内されているのに、途中で遮るのも失礼だと思い、一先ず座ってから聞くことにした。
「あ、ありがとうございます。
…あ、あの!えと、ど、どうやら私達の方が先に来ちゃったみたいですね。サリエル様やルイ達はまだ寝てるのかな?」
私を席に座らせてから、丸テーブルの向かい側にミュラー公爵は座り、にっこりと笑って告げた。
「サリエルやルイ様達はまだこちらにはいらっしゃいませんよ。」
「………へ?」
数刻、何を言われたのか理解するのに時間がかかり動きが停止してしまった。
ライアン様は、今、何を言ったの?
あれ?皆が来ないって、今二人っきりなのはわざとってことだよね?
え、何故!!!?
わけかわからずどんどん混乱する私の耳にミュラー公爵の声が静かに響いた。
「申し訳ありません。
どうしても貴女とお話がしたくて、他の皆様には時間をずらして朝食の時間を伝えるように指示したのです。」
「…っあ、の。
一体何を………?」
私は唾をごくりと飲んだ。
もしかして、何か良からぬことに巻き込まれるのではないか。
例えば、このまま城のディーの元に無理やり連れていかれたり、政治に利用されたりとか…。
今すぐルイ達を呼ぶことは可能だけれど、まだ危害を加えられた訳でも囚われているわけでもない。ミュラー公爵の話の内容を聞いてからでも遅くないと判断し、話の続きを聞くことにした。
「あぁ、そんな警戒しないで下さい。
マリエリア様は娘の恩人です。
私は少しでも貴女のお役に立ちたいと思っているのです。」
「は、はぁ」
どう反応して良いかわからなくて生返事してしまう。
「マリエリア様。
ディースレイド殿下のことで、何かお困りなのではないでしょうか?」
「え、な、何故、でしょうか?」
図星を指され、物凄い動揺しまくりだが、なんとか本当のことは言わず、ミュラー公爵の考えを促聞いた。
「昨夜、殿下の婚約者だと言うことは指輪を拝見して知りました。
ですが、そんなまだ一般にも公になっていない婚約者の女性が、視察に出ていらっしゃる殿下と共に帰ってくるでもなく、別行動でこの王都にいらっしゃるというのは、訳あり、と考えた方が自然ではないでしょうか?」
「ソ、ソウデスネ」
あまりに正論過ぎて否定も出来なかった。
そんな私の反応をクスクス笑いながらミュラー公爵は目元を緩める。
「そんなに笑わなくても…」
居たたまれなくなって、私は頬を赤らめながら視線を落とした。
「あぁ、笑ってしまい申し訳ありません。
貴女を困らせる気はさらさらなかったのですが、あまりにも貴女が素直に反応するのでつい」
ついって、ちょっと!!
びくびくしてた私がバカみたいじゃないか!!
「……で、どのようなお悩みなのでしょう?
私に出来ることなら、何でもお手伝い致しますよ。」
ニコニコと笑いながら促す公爵は、穏やかな風貌の中に中々な策士家の顔が見え隠れしている。
やはり王都の貴族とはこうでなければやっていけないのだろうか。
私は全てを伝えるのは避け、かいつまんで用件を伝えることにした。
ディーに会いたいこと。
地方から来たので、なんのつてもないこと。
婚約について、悩んでいること。
本音としては、婚約解消の手段を探しているのだと言いたいが、理由を聞かれたら誤魔化しきれるか自信がなかったのでぼかすことにした。
「ふむ、それでしたら私にもお手伝い出来ることがありそうですね。」
「え?」
「私でしたら、すぐにでも王城に入ることも殿下に面会の許可を頂くことも可能ですよ。」
「あ、あの、
…みゅ、いえライアン様は、どのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?」
この口ぶりでは、それ相応な立場な人なんじゃないだろうか。
今更ながら、話したことを後悔する。
「ああ、申し上げていなかったでしょうか?
私、この国の宰相をしております。」
う、うううううそでしょーー!!!!!??
なんと、ミュラー公爵は大物中の大物でした!!!
と、いうわけで、宰相様登場です。
じわじわと国の中枢にいる人々について書ければなぁと思っています。
どんどんディーの存在が薄くなっているような…
頑張れ、ディースレイド!(* ̄∇ ̄)ノ!




