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指輪の真相

「ど、どどどどどーしよう!!!

取れなくなっちゃったー!!!」


私は自室から飛び出し、一階のリビングに駆け込み叫んだ。


「……は?

お前何してるんだ」


相変わらず呆れ顔で出迎えたルイは、私の元に近付き、訝しげに呟いた。


「で?

何が取れなくなったんだ。」


「あ…ごめん。そうだよね。

そのぅ、これ……」


動揺しすぎてうっかり主語を飛ばしてしまったわ。


私は自分の左の手の甲をルイに見せた。

それを見たルイは、先程よりも更に険しい顔をして、眉間に皺を寄せていた。


「あの~、ルイ?」


あんまり怖い顔をしてるので、何か悪い呪いでも掛かってるのかと疑っていたら、不意にルイが手元から顔を上げ、私の顔を見つめてきた。


「……………お前、前からバカだバカだと言ってきたが、本当にバカになったのか?」


「んなっ!?」


なんという言い種!!!!

いくら身内とはいえ酷すぎじゃなかろーか!


「これ、ちゃんと見たのか?

どっからどー見ても王家の紋章だろうが」


「……………へ?」


そんなバカな。

これはルルージェさんから貰ったプレゼントだよ?それが何で王家と繋がるというのか。

そう内心は思いつつ、恐る恐る手元に視線を移し改めて指輪を見た。


………………うん、紛うことなき王家の紋章ですね。



どういう繋がりがあるのか私にはわからない。

わからないけど、これはどう考えてもディーの仕業以外にあり得ない。


「あっんのエロ王子め……っ!

何してくれてんのよ!!!」


「それよりもマリー。

急いだ方がいいんじゃないのか」


…いそぐ…って何を?


私がキョトンとした顔をしていると、横からアリアが申し訳なさそうに声を掛けてきた。


「マリー、ごめんなさい。

まさか、本当に王族と婚約する機会がくるなんて思っていなかったので、貴女には教えていませんでしたね。

王族の婚約は王家に代々伝わる魔力を込めた指輪を婚約者にはめて正式に婚約者に指名されるのです。その指輪はその魔力を込めた人にしか外せないの。まさか、ディースレイド殿下がこんな強引な手段に出るなんて…っ」


アリアは私に王族の慣習を教えていなかったことを後悔しているらしく、暗い顔をしていた。


「そんなっ!!

アリアは悪くないよ。王族に全く興味がなかった私が悪いし、今回油断してたのも私だし…」


アリアは一生懸命私に淑女としての教養を教えてくれたけど、正直私は庶民暮らしが気軽で好きだ。

ディーが何故か求婚してくれたけど、私は結婚する気はまるでないし、王族のことを勉強しようなんて更々なかった。


でも、本気で断るつもりなら、 知っておくべきだったのだ。何かあったときに対処する為にも、知識は絶対必要だ。


魔法の勉強の時に散々教えられたことだったのに、私はすっかり気が緩んでいた。


毒を以て毒を制す!!

…あれ?なんか違うか…?


と、とにかく、相手を知っておかなければ攻略も出来ないのだから、まずはディーについて調べなければ!

この指輪も外して貰わなければならないし。


そうと決まれば、早速、行動だ!



意気込んでディーが滞在している宿に再び来た私が見たものは、空っぽのVIPルームだった。


「……んなっ!?」


あれデジャヴ…?

またも間抜けな顔を晒し、驚愕の声を上げた私に、店の店主がそっと手紙を渡してきた。



『親愛なるマリー。


突然の別れになってしまいすまない。

本当はもっと君と傍にいたかったのだが、城でなければ処理できない仕事があってね。

どうしてもすぐに帰らなければいけなくなってしまった。

次いつ行けるかもわからないんだ。

あぁ、もし君が城に来たくなったらいつでも訪ねてくれて構わない。

お茶会の準備をして待っているよ。




…そうそう、サプライズプレゼントはもう届いたか?お前なら、きっと凄く喜んでくれたと思うんだがどうかな。

きっとそう遠くない未来にマリーに会えると信じてるぜ。



ディースレイド・ウィリアム・サンフェリオ』




書面の下の方には、態々ご丁寧に魔法で『解呪』しなければ読めない文章まで書かれていた。



(あっんのバカ王子ー!!!!!)



私は宿屋の廊下で、思いの丈を叫ぶに叫べず悶々としたまま手紙をぐしゃりと握り潰し、怒りを露にしたのだった。

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