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またやらかしました。

ひとしきり布団の中で(下の階には聞こえない程度で)叫びまくった私は、ぐぅと鳴る自身のお腹を見つめた。


ダメだ。

色々エネルギーが無駄に発散されたせいでいつも以上にお腹が空いてきた。


正直今下に降りるのは心底避けたい事態だが、悲しいかな、私の身体は正直者なのです。


あのエロ王子の為に私の大事なご飯を抜くなんて、そんなの許せん!!



そんなわけで後ろ髪をひかれつつ、階下に降りた私は、なんとも微妙な空気を放つ一階の様子に首を捻った。


「ねぇ、何かあったの?」


私はその意味不明な空気を放つある場所から1番遠い所で傍観者宜しく飄々と見守るフェイにこそこそと話し掛けた。


「どちらかというと、それは俺たちの言葉だと思うんだがな、主殿」


口元に薄く苦笑いを浮かべ、フェイは私の方をチラッと見た。


何のことが言いたいのだろう?

ゆっくりとフェイの言葉をもう一度脳内で反芻してみた。

何かあったのかと聞いたら、私の方に質問が返ってきた。ってことは、この空気を作った原因は私にあると皆が思ってるってことで、それはつまり…


え、何!?もしかしてエロ王子…もとい、ディーがさっきのこと皆に言っちゃったってことー!!?


いや、だったらフェイが私に何があったのかなんて聞いてこないよね?

え、ちょっと!!あの人今度は一体何やらかしたって言うの!?


「ち、ちょっと!!

ディーってば今度は何やらかしたのよ!!」


「「「マリー」」」


私が降りてきたことに気付いていなかったのか、沈黙の中で睨み合っていたディーとルイ、アリアがこちらに一斉に視線を送ってきた。


おおぅ、一気に向かれるとちょっとびびってしまう。


「別に何もしてない。

ただ、呼びに行ったはずなのに何故一緒に降りてこないのかと聞かれたから、俺が少しマリーを怒らせてしまったと説明していただけだ。」


あれ?何かさっきまでと口調が違うような…どちらかというと、初めて会ったときの言葉遣いに近い感じ。目付きもなんだか鋭い。

さっきまでのあまーい言葉遣いはなんだったんだろう?


てか、少しってなんだ!!

ものスッゴク怒ったってーの!!


「マリー?こいつに何をされたんだ。

ことと次第によっては、俺はこいつを赦さない。王族だろうと構うものか。」


うわわわわわ、ルイの瞳が本気だ!!!

これは怒ってる場合じゃない。昔から、どうもルイは過保護なんだよね。


「だ、大丈夫!!!

確かにちょっと嫌な思いしたけど、ちゃんとこの手でバッチリお返ししてやったから。

ほんとに辛いことがあれば、ちゃんと言うからさ。ね?」


「………………。お前がそれでいいなら。」



うわぁ…物凄く不服そう。

でもとりあえず、納得?してくれたみたいだから良しとしよう。うん。


「それから、ディー?」


ディーに向き直って改めて声を掛けると、ハッとしたように表情を改めた。

どうやら無意識だったらしい。さっきの鋭い眼差しはどこかに行き、穏やかな柔らかい表情になった。


「すみません、マリー。

不躾な態度を取ってしまって…」

「うん、それなんだけど…、その態度、その、えと、……止めない?」


「………は?」


私の言いたいことが良くわからなかったのか、目を丸くして、私を見つめている。

その表情がなんだかおかしくて、私はくすくす笑いながら、ディーに話し掛けた。


「なんかさ、再会してからこっち、ずっと丁寧言葉で、お姫様扱い。それが私にとっては凄く居心地が悪くて…まぁ、慣れてないせいだと思うんだけど。」

「はぁ」

「私としてはさ、昔ここで出会った『ディー』ていう少年との思い出しかないから、いきなり再会した『ディースレイド殿下』という男性が甘い言葉で囁きかけてくるっていうこの現状が違和感しかないの。」

「…それは…」


ディーはばつが悪そうな顔をして、俯いた。


「あぁ、別に責めてる訳じゃないのよ?ただ、さっきの貴方の態度。あれって、ほんとはディーの素でしょ?

なんかね、そっちの方が私は嬉しい。」



「……え」


予想外の発言だったのだろう。鳩が豆鉄砲食らったような顔って表現が前世ではあったけど、きっとこういう顔のことを言うんだろう。


どのくらい、そのまま固まっていたのだろうか。ディーは下を向いたかと思えば、肩を揺らし始めた。


あ、あれ?大丈夫かな?なんか可笑しくなっちゃった?それとも具合でも悪くなったんだろうか。


おろおろしている私の横にいつの間に近づいてきたのか、ルイが立っていて肩を叩かれた。


「ルイ?」

「お前って、ほんとバカ。

地雷踏むのが趣味なのか?」


はぁ!!?何それどーいう意味よ!!



具合が悪いと思っていたディーから、小さな笑い声が聴こえてきた。と、思っていたら、目の前でお腹を抱えて爆笑し始めた。


「ちょ、何よ!!なんでいきなり笑い出すわけ?意味わかんない!!」


「はっ…ははっ!!

ほんと、マリーてすごいな。

ほんとにルイの言ってることがわからないわけ?」


物凄いバカにされた気がする。

でも、わからないものはわからない。

私は渋々首を縦に降った。


「……そう。

それよりさ、もう敬語はやめたのか?

俺としてはその方が嬉しいけど」

「…もう諦めた。

どうせ、ディーには散々悪態付いてるし、そっちのが楽。それでも貴方は怒らないんでしょ?」


私としては、さっさと怒らせて私のことなんて興味なくなればいいと思ってる。


「ああ、勿論。

それに俺もマリーの賛同を貰ったんでな。素のままの俺でいかせてもらう。言っとくけど、俺はしつこい質なんでな。ちょっとやそっとじゃ諦めないからな。

覚悟しておけよ。マリー?」


「……え」


あれ?これどーした。

なんか、ディーが変なスイッチが入ったみたいなんだけど、もしかして、私、何かを間違えた…?


そろーと横を窺う。


「ねぇ、、、ルイ?」


「知らん。自業自得だ。」



どうやら、やらかしてしまったようです。

あぁ、何がいけなかったんだろう!


誰か教えてくださーい!!


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