番外編・1~誕生日~
ほんとは私の誕生日の日に、この誕生日ネタをやりたかったのですが、当日は忙しくて、叶いませんでした。(今月の7日だったのです。)
そんなわけで、過去編一段落したので、やっとマリーサイドを久々に書いてみました~(^o^)
「ねぇねぇ、そういえばさ、この世界での私の誕生日っていつになるのかな?」
「は?誕生日…?」
「うん」
ルイは怪訝な顔で聞き返してきた。
実は、あの異次元で両親と会ってから、ずっと疑問だったのだ。
私の出生の秘密を暴露され、実は百数十年前にこの世界で産まれたという事実が発覚した。
でも、私はこの強すぎる力で自分自身の命を落とす危険性があったため、両親と共に飛ばされたあの異次元で育てられていたのだ。
ほんとなら、産まれた時を考えると実年齢は百数十歳のおばあちゃんなのかもだが、異次元のことは出来ればノーカウントでお願いしたい。
うん、それくらい許されるよね…?
んで、疑問が出て来た。
私っていつが誕生日なのかな?
あの空間にいられた時間はとてもわずかで、そんなことを聞く余裕などどこにもなかった。
でもさ、この世界はまだしも、日本で生まれ育った真理恵としてはさぁ、やっぱり誕生日って特別なものなんだよ!
そうそう。
暦は地球とあまり変わらないこの世界。
月の数え方も似たような感じだった。
春夏秋冬もある。
勿論国によって差はあるし、このシュヴァルトの森も、周囲の国に比べると少し寒いらしい。(ルイ談)
ただ、微妙に違うこともある。
まず、この世界は一月は30日と決まっている。
さらに、曜日の数え方がまるで違う。
この世界での1週間は、5日でカウントされる。
5×6の6週間で一区切り。
風の日、火の日、水の日、地の日、太陽と月の日
この5つで構成されている。
太陽と月の日は、日本でいう所の日曜日、お休みの日にあたる。
最初聞いたとき、元日本人としては、5日に1回お休みって多すぎない!?と思ってしまったが、働きすぎと言われていた人種だから、もしかしたら、このくらいの周期の方がちょうど良いのかもしれないなと思うようになった。
話が逸れてしまった。
誕生日の話に戻そう。
この世界でマリーとして転生してから、この世界に慣れることが最優先で、その内魔力遊びが楽しくなってきて、そんなことは気にならなくなった。
多分、精霊としか会っていなかったから、気にしなくて良かったんだ。
いっそ、私は精霊の子供なんじゃないかと思ってた時もあったからね。
でも、私以外の人に出逢ってしまった。
まぁ、それは両親だったわけなのだけど。
そうなると、色々今まで気にならなかったことが気になってくる。
私の誕生日っていつなのか。
私の国籍ってどうなるのか。
この先、人に出会った時、出生や家のこと聞かれたらどう答えれば良いのか。
私には秘密が多すぎる。
確実に言っちゃいけないことだらけだ。
だから、今まで街に行かせて貰えなかったんだと今更気付いた。
何も知らない私が、うっかりいらぬ火種をばらまかないよう、ルイなりの優しさだったんだろう。
でも、これからは私だって街に遊びに行きたい!!これは、今度ルイに相談してみよう。
フェイあたりに相談したら、あっさり連れて行ってくれそうだが、ルイに内緒で行ったら、後が怖い。
……ルイはおかんか。
ハッ。
いけない、こんなこと考えてるとルイにバレる。
昔からやたらと勘がいいんだ、やつは。
「マリー」
「うっひゃあはい!?」
「なんて声出してんだ、それでも女か。」
「ご、ごめん」
思いっきり呆れられた。
大失敗だ。
「誕生日だが…俺達と出会った日でいいんじゃないのか」
「…え?」
どうやら、私が思考の渦にぐるぐるしている間、ルイはちゃんと考えてくれていたらしい。
「正式な日は俺達にはわからん。だが、あの日お前はこの世界でマリーとして目覚めた。そして、俺達と出会った。
俺達精霊には誕生日の概念がないから、イマイチ感覚がわからないが、大切な日、なんだろう?」
「…うん」
口が悪いルイだけど、ほんとはとっても優しいんだ。
「9月5日太陽と月の日だ。
お前にピッタリな日なんじゃないのか」
太陽と月の日。
そうか、私はその日に皆と出逢って、新しく生まれ変わったんだ。
光と闇の2つの力を持っている、私にふさわしい日。ルイはそう言いたかったのかな。
「バカな悩みが解決したんなら、さっさとあいつらのとこに戻れ。お前が帰るのを待ってるぞ。」
「ちょっ!そういうことは先に言ってよー!」
やっぱりドSか。優しいなんて幻想だったのかー!
私は大慌てで家の方へ向かう。
帰りが遅くなって怒られるのかとビクビクしながら、家の扉を開けた。
「「「マリー、誕生日おめでとう!」」」
可愛らしい花やリボンで飾られた部屋の中は、どこもかしこも私好みの飾りつけで、中央にあるテーブルには美味しそうな手料理と、『マリー6才 誕生日おめでとう』と書かれたプレート付きの大きなショートケーキが置かれていた。
「な、何で…?」
私は何が何だかわからなくて、困惑してしまった。
そしたら、アリアは静かに私に近付いて、優しい顔して微笑んだ。
「だって、私達が出逢ってからちょうど3年ですから。マリーと契約を結び、家族になるって決めた時に、出逢ったこの日をマリーの誕生日にしましょうって、私達決めていたんです。」
「…知らなかった」
ぽつ、と呟くと、少しだけ気まずそうにアリアは 話を続けた。
「言いたかったけど、言えなかったんですわ。
何も分からず、この世界に飛ばされ、たった1人で生きていかなければいけないなんて人の身で
あるマリーには酷なこと、でしょう?
そんなマリーに誕生日の話をすれば、聡い貴女は、家族のことや生まれについて疑問に思って悩んでしまうと思ったんです。」
「アリア…っ!」
私はアリアに思いっきり抱きついた。
「私、1人じゃなかったよ!!
皆がいたから。
家族がいたから寂しくなんてなかった!
いっぱい、いっぱい、私のこと考えてくれてありがとう。大好きだよ。」
涙腺が緩んできた。
でも、これは仕方ないでしょ。
こんな風に思ってくれていたなんて。
暢気に生きてきた自分が申し訳なくなるくらい、皆私のことを思って、気を使ってくれていたんだ。
「俺は、こいつなら言っても大丈夫だと前々から言ってたんだけどな。
マリーは単純だから。」
ニヤニヤ笑いながら、私の後を追って玄関前で佇むルイがいた。
なにおう!?
これでも傷付きやすい乙女なんだぞ!!
と、反射的に脳内で言い返すが、実のところルイの言うことは限りなく正解に近いので、口には出さなかった。
悪かったわね、単純バカで!!
そんなやりとりすら楽しい。
私は、ルイやアリア、フェイやリリー、それにこの森に住む沢山の精霊や動物達に出逢えて、魔法を堪能できて、とっても幸せだ!!
マリー6才。
人生まだまだ、始まったばっかり。
楽しいことだらけで、生まれ変われて幸せです!!
これは、異次元から帰って来た後に起きたバースデーサプライズです。
ほんとはもっと前からお祝いしたかったけど、秘密にしていることが多すぎるマリーには、今までこの話題を言えなかったのです。
やっとお祝い出来て、嬉しいアリア。
ルイやフェイに見守られながらご馳走をたくさん食べて幸せそうなマリーがいました。
ちなみに、リリーは一緒になってパクパクケーキを食べてました(笑)甘いもの大好きなんですねぇ。




