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森の中

あぁ、頭がくらくらする。


でも、起きなくちゃ。

なんで?自分でもよくわからない。

でも、早く起きなくちゃ。


ー胸騒ぎがするんだー


ハッと今の状況を思い出し、目を開けた。


目の前には周囲一帯に広がる木々と夕焼け空が見えた。

寝ていた身体を無理やり奮い立たせ、上半身を起こす。怪我は特にないようだ。


俺はどうやら薬だか魔法だかで眠らされたらしい。

くそ、油断していた。

まだ頭がぼんやりする。

一刻も早く状況を整理しなければ。



ここはどこだろう。

サンフェリオ国にこんな場所があっただろうか。

見たこともない景色だ。


ブルッと身体を震わせる。

怖くなんかない。

ただ、風が冷たいだけだ。


自分自身に言い聞かせて、意識を周囲に向ける。

見渡す限り、木や草花ばかりで、建物や人の気配は感じられない。

どこかの森の中だろうか。


あれからどれくらい時間が経ったのか。

あまり王宮を離れると、どんな噂をされるかわかったもんじゃない。


それに、母上の身も心配だ。

この隙に、母上を狙う刺客が来るかもしれない。

…いや、それはきっと父上が対策しているだろう。

俺に警告をしてくるくらいなのだから。


まさか、本当に今日何か仕掛けてくるとは思っていなかった。それも、こんな大胆なやり方で。


もし、この事がバレたら、失脚どころの話ではない。

仮にも王族だ。

王族の誘拐未遂は極刑を言い渡されても不思議じゃない。


…それだけ、追い詰められていた、ということだろうか。


俺のことなど無視しておけば良いものを。

後数年すれば、俺は、自らいなくなったというのに。


本当に、馬鹿な叔父上。

何故、あの時声を掛けた?

言わなければ、貴方が犯人だとわからなかったかもしれないのに。

俺の記憶力は常人のそれとは違う。聞き間違えることはない。



そこまで、何が貴方を追い詰めた?

イルバーノはそんなに信用できないのか?



確かに、今のままじゃこの先この国も終わりだ。

あいつに、王としての才覚はない。

だからと言って、俺は王になどなりたいとも思わない。…その意味も感じない。


母上の存在は、確かに守るべき対象だし、父上は尊敬すべき王の鑑だと思う。

だが、全ての苦労を引き受けてまで、その後を継ぎたいとは思わない。


例え、俺が1番王に向いているのだとしても。



帰ったら、やらなきゃならないことがまた増えたな。だが、これで叔父上が失脚すれば、また王宮内は少しはマシになるんじゃないだろうか。



結局、周囲を窺ってもここがどこだかわからないので、俺は夕日が完全に沈む前に動き出すことにした。

魔法で手元を照らし、用心深く1歩ずつ前に進む。

その内、どこかの村にでも出るだろうと、この時の俺は楽観視していた。

俺には【異端者】と言われるほど強力な魔法がある。すぐに帰れるだろうと。


叔父上の隙だらけに思えたこの誘拐未遂事件に隠された本当の目的が、この【場所】にあったとも知らずに。






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