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想い

「私はお前に婚約者を、と言ったな。」


「えぇ、はい。」


「お前は何故、婚約者が必要だと思う」


父上は何が言いたいのだろうか。良くわからないが、答えないわけにはいかない。

俺は思ってることを口にする。


「…それは、国のため、ですよね。

国にとって有益な貴族と縁戚になり、より国を発展させるためのものだと考えています。」


************************************


王族に必要なのは、愛だの恋だのではない。有益か無益か、有害か無害か。それだけだろう。


というより、俺には愛だとか恋だとかそういうものがよくわからない。

頭では理解しているし、母上や父上に愛されているというのも理解っている。

だが、俺自身が誰かに対して恋しいとか愛しいとか思えないのだ。

今まで様々な異性に出逢って来た。王族という立場と容姿から、好意を持たれることもあった。

だが、そんなものただ煩わしいだけだった。


ある者は媚び、またある者は殺意を滲ませ近付いてくる。

人より感情を読み取る能力に優れているせいもあり、表向きの顔の裏にある感情がわかってしまうのだ。


だったら、俺は、そんな感情などいらない。


そんなものがあるから、母上は命を狙われる。

義兄上からはやっかまれる。


それでも、王族として婚約者を取らねばならないというのだから、俺の婚約者になる人は可哀想だと思うのは当然だと思う。

俺は決して、愛せないし、子をなす行為もただの義務でしかないのだから。まぁ、年齢的にまだ先の話だから、これに関しては、することもなく終わるかもしれないが…


************************************

父上は俺の言葉を聞き、首肯し、静かに話し始めた。


「確かに王族として、その考えは間違いではない。」


「はい。」


「だが、私はディーには幸せになって欲しいと思っている。」


「…しあわせに?」


どういうことだろうか。

俺の様子に苦笑いしながら、父上は申し訳なさそうに呟く。


「お前がそういう性格になってしまったのは、私の…いや、私とこの国のせいだろう」


「そんなことは…っ」


「いや、いい。これは紛れもない事実だ。」


「それでも、私は願わずにはいられないのだよ。

お前が心から愛する、愛せる女性に出逢える可能性を。」


ー可能性ー

父上にも、わかってはいるのだ。

その存在を見つけることがいかに難しいことなのか。もしかしたら、会えないまま一生を終えるかもしれない。

それでも…思わず願ってしまうというのか。



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