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暴走~その後~

イルの怪我は全身に裂傷を受けたものの、軽傷ですんだ。だが、魔法で攻撃された恐怖とショックで1週間寝込んだという。


その間、俺は謹慎処分となった。


とは言え、王子という立場上、重い罰は与えられないのだろう。生活そのものは普段と大して変わらなかった。


王宮内なら、出歩くことも出来た。勿論、護衛武官という名の監視はつくが。




ー変わったのは、周りの俺への反応だったー




元々周囲の人間にどこか腫れ物を触るような目で見られていたところはあるが、それでも、俺付きの侍女や護衛武官は俺に優くしてくれた。

だが、この一件で悪い噂が広まったのだろう。

彼女らは皆、俺と距離を取るようになった。


王族に仕える上流貴族の出が多いから、あからさまな嫌悪感は表には決して出さなかったが、その瞳は物語っていた。


【この王子を怒らせたら、次に被害者になるのは自分かもしれない】



俺にそんな気は一切なかったが、俺は俺自身が恐かった。

5歳という小さな身体に膨大な魔力。俺はこの力をコントロール出来ない。いつかまた、誰かをこの力で傷付けるかもしれない。


俺の周りをいつも飛んでいるこの光の存在も俺の恐怖を上増した。

生まれたときから見えるこの光は、常に俺の周りを付きまとった。感情に呼応するように、点滅を繰り返すこの光は、あの日、イルを傷付けたときに最も力を増した。


きっと、これは良くないものなんだ。


幼かった俺は、この存在を否定した。

そうすることで自分自身を守ろうとしていた。

他人には見えないこの光は、俺には悪魔の化身のようにも思えた。


これがなくなれば、俺は普通の人になれたのに。こんなもの、いなければよかった!

俺は、行き場のない思いをこの光の存在にぶつけた。ただの八つ当たりだった。

光は何故か小さく弱くなったような気がした。



本当は【彼ら】がずっと守ってくれていたことも知らず、俺は自分の魔力から目を逸し続けたのだった。


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