最強は誰?
そうして、私はルイたちのいる元の世界に帰って来た。
母様が言ってた通り、ここ、シュヴァルトの森では、私がいなくなってから3日も経っていた。
皆、凄く心配して、あちこち探し回っていたそうだ。
森の中で、倒れている私を最初に見つけてくれたのは、人型をしたルイだった。
目が覚めたとき、ものスッゴク怒られるかとビクビクしてたんだけど、意外にも優しかった。
「心配かけるな、バカマリー」
そうだった。
ルイには力が暴発した瞬間を見られていたんだった。そりゃ、誰だってあんなの見たら心配するよね。
そう言いながら、ルイはぎゅって抱き締めてくれた。
父様と母様と別れたばかりだった私は、思わず、また泣きそうになってしまった。
「…っごめんなさいっ。心配かけて…っ」
「…わかればいい」
そんなぶっきらぼうな物言いに余計泣けてきてしまった。
鬼門のルイをクリアし、ほっと一安心していた私の元に他の3人も駆け付けた。
他の皆も人型になっていた。どうやら、街の方まで探しに行っていたみたい。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
泣きそうな顔で心配してくれたり、あったかい笑顔で頭わしゃわしゃ撫でてくれたりした。
でも一人だけ、とっても怖い人がいた。
実は、1番怖かったのは、アリアだった。
もう一度言おう。
私が、優しいと信じて疑わなかった、あのアリアが、1番、本当に、怖かった!!!
「ねぇ、マリー?
3日間も一体どこに行っていたのですか。
私たち、とってもとっても心配していたんですよ」
最初は優しかったのだ。
でも、異次元に飛ばされる経緯を話したら、なんだか纏う空気が変わってしまった。
「前々から、お転婆さんだとは思っていたけれど、どうやら、私たちの育て方が間違っていたみたいですね。
マリー?明日からみっっちり私がこの世界の常識やマナーを教えてあげますわ。どこに出ても恥ずかしくないレディーにしてみせます。
勿論。嫌、なんて言わないですわよね?」
笑っているのに、ものスッゴク怖かった!!!
当然反論など出来るはずもなく、ただ無言で首を縦に振ることしか出来なかった。
1番怒らせてはいけない人を怒らせてしまった。
私は、安易に光と闇の魔法に手を出したこと
を心底後悔したのだった。
翌日から、貴族令嬢がするようなテーブルマナーやダンスなど、地獄のレッスンが延々と続いたのは、言うまでもないだろう。
私は貴族令嬢になんてなりたくなーーーい!!!
アリアには口が避けても言えないので、心のなかで叫びました。