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コードグラビティ・ロード  作者: 李戸 侑大
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Code05『能力解放編Ⅰ』

【狂気】

精神が異常になり常軌を逸していること。また、そのような心。


これより紹介する『彼』もまた、『狂気』で満ち満ちた男である。『残虐』とはまた違い、狂気。ただただ、狂気の塊なのだ。

だが、そんな彼の戦闘技術は常軌を逸していた。その力は、その『能力』は。かの『神の子供達ゴッドチルドレン』に匹敵する程と言われている。

根拠として、敵軍の大隊ーー約1000人という凄まじい量の兵を、たった一人で壊滅させたのだ。これ程の力。これ程の『能力』なのだ。

準じて、彼を欲する者が現れた。正確に言えば、その『能力』を欲する者だ。その強大な能力を我がモノにしようと、彼を欲し、彼の弟子を志願した者も少なからず、多からず、存在した。

だがその人間もまたすぐに、志願した事を後悔することになるのだろう。

いや、実際のところ、後悔する暇さえ、後悔する時間さえ与えてさせてくれなかったのだろう。事実、彼の元に向かった者は帰ることは無かった。

ーー後の話とはなるのだが、敵軍の兵士が郊外にひっそりと建っていた、小さな木製の小屋に残党殲滅を目的に、その小さな木製の小屋に襲撃を掛けたそうだ。だが、そこにあったのは。残っていたのは、謎の管が繋がれ、ベットの上に横たわっている人間"だった"モノ。それだけだったそうだ。他には何もかも残っておらず、開けたリビングらしき場所に"それ"が置かれていただけだったそうだ。

「まるで『狂気の科学者マッドサイエンティスト』だ。」敵軍ーーシャルルの部下である『少佐ラーイド』はそう、彼を比喩したそうだ。

以下の理由を考慮して考えると、戦場での彼の二つ名、『狂気の代行人インサニティ』。これは、彼に合致しているのでは無いだろうか。

そんな狂気に支配された彼と。そんな『中佐ムカッダム』と、俺。シャーディーは、緊迫した状況下にて、互いにまだわからない『能力』と銃を突きつけ、『見えない戦い』を繰り広げていた。

ーーーーーーー数時間前ーーーーーーー

「人員の供給…か。」

そう呟きながら、俺は書斎にて妹の言っていた事を反芻していた。


ギルティを創ると言った以上、団員の加入はさせないと!!』


と言うか、そもそもの話ギルティを作ろうと言ったのは奴なんだがな…

そうは思っても、実際の所人員が圧倒的に居ない。と言うか足りない。

これは由々しき事態だ。と、共に、早急に対処すべき問題でもあった。

これでは一個小隊ーー約三十人の部隊さえ作る事は困難だろう。

てか作れない。

前に話した超絶シスコン野郎、『きら』が居たとしても、それで三人だ。

圧倒的に足りない。

そもそも、先ほど一個小隊と言ったが、正直なところ、最小限であったとしても、だ。最小限であったとしても、一個連隊ーー5000人程の兵力は欲しい所なのだ。

欲を言って一個旅団ーー約10000人の兵力…は無理があるか。

ともかくそれ程の兵力、又はそれに匹敵する『能力使い』が欲しい所であった。

何処ぞの一個旅団並の力を持つ兵長でも居れば、話は別だったのだが…別の次元、別の世界パラレルワールドの話だ。何を言っても、叶うまい。

と言うかそもそもの話、こんな名も知れていない組織が大隊を組織するなど、妄言にも程があると言うものだ。つい、そう自虐的に考えてしまう。

あぁ、そうそう。使役獣をカウントすればいいじゃないか。そう考えた者も居ただろう。

そう、彼らも『実体』がある列記とした『獣』だ。そこは肯定しよう。

だが、彼らが実体となり戦った所で、シャーディーとの『契約状態』が解消されない補償など、何処にも無いのだ。

仮に、使役獣が実体となって戦った事と仮定しよう。すると、あるじであるシャーディーと使役獣は、『契約状態』が一時的に解消される。契約状態が解消されたことによる影響として、互いに力が抑えられ、『大尉ナキーブ』どころか、『少尉ムラージム』程の力しか発揮出来なくなると言う訳だ。

とても伝説の吸血鬼、《Arucaldアーカード》程の力は間違っても出せない。それは確実なのだ。

故に、使役獣を戦力としてカウントするのには無理があり、使役獣を戦力に取り込むと言う疑問には、不可能と言う結論に辿り着く。

その過酷な状況下で、問題の兵員をどうするか。

それがエンプーサ戦後の我々『ギルティ』の課題となっていた。


はぁ…とため息を零し、難しい顔をしているシャーディーの内心を察してか、ノスフェラトゥが一つの提案をした。

「いつかのブラジル…ブラジルの民を戦力として取り入れるのはどうでしょう?」

一瞬なるほど、と納得もした。だが、すぐにその考えを改める。

「なるほど、その考えも一つ。いいものだ。だが、だがなノスフェラトゥ。」

と、続けて、

「だが、このご時世だ。この安定した世の中に法律も秩序も無視し、我らに賛同し、忠誠を誓い、力を奮ってくれる者など、居るのだろうか?」

続き、

「もし賛同してくれたら、だ。賛同してくれたとしても、俺達のような『能力使い』…その者の加入は期待出来ない。」

そう。期待は持てないのだ。

たとえ、能力使いでは無かったとしても、戦闘経験なんてまるで無い者ばかりだ。とても付いてこれるとは思えない。


結果的には…

「ふむ…そうですか…でしたら、個人個人の潜入任務。いわゆる、スニーキングミッションを行う、と言った所でしょうか。」

「正解だ。ノスフェラトゥ。」

実状では、それしかない。その案を採用するしかない。

潜入任務スニーキングミッション。毒蛇…と、言った所だろうか。少なくとも、俺達は『伝説の傭兵スネーク』である事には変わりない。

「そうなると…人員の補給と言う課題もクリア出来る…かも…」

そう、回収だ。敵兵の回収。

かのフルトン回収程の危険かつ失敗が許されない程の回収方法ではなく、単純に『鹵獲』するのだ。

鹵獲…と言っても、人間は重戦車のようなものでは無い。正しくは、『捕獲』だろう。

「方法としては?」

ノスフェラトゥが疑問符を浮かべる。

その問いに、嬉嬉とした笑みを浮かべ、応じる。

「前から考えていたが…一つ挙げさせて貰うならば…」

「ならば?」

「網での捕獲後、回収用のヘリを向かわせ、捕獲する。これが現時点では安全かつコストのかからないやり方だろう。」

そう、結論付けた。

「網は人間の知恵の結晶、人間の、文明の利器、と言った所だ。多少原始的ではあるが、が故に、だ。故に、影響をモロに受けやすい。」

網。解こうとすれば解こうとするほど。抜け出そうとすれば抜け出そうとするほど身体にキツくめり込み、更に拘束状態が悪化する。悪化の一途を辿るばかり…と言う訳だ。

そんな、文明の利器。

「『能力』に頼りきっている今の人間には丁度いい。文明の利器の力、お見舞いしてやるぜ!!」

そう、勢いよく良いセリフを言ったつもりだったが、妹に、

「今の言葉、そっくりそのままお返ししますよ?にぃ。」

と、返されてしまった。

…。

うっせい。


あぁ、そうそう。多少強引ながら話題を変えさせて頂くが、誤解している者も居るだろうから言わせて頂く。

決してパクっているのではない。リスペクトさせて頂いているだけだ。

そう、心の中で、『見えない誰か(どくしゃ)』に問いかける。


その行為も無駄になると、薄々勘付きながら。

今回からまた強い敵が出てきます。

能力はまだ言えませんが…まぁ『能力使い』ではあります。

この、『能力解放編』はしばらく続く(3話くらい)予定ですので、乞うご期待!


李戸でした。

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