その一
初投稿になる記念すべき作品。駄文ですが色々な人の目に留まればいいなそう思います。ではどうぞ。
はぁ・・はぁ・・
俺は、走っている・・いや、追われているの方が正しいか。俺の後ろには、怒りのボルテージが最高潮に達しているであろう屈強な男が四人叫びながら追いかけてきていた。
待ちやがれクソガキ!!
うるせぇ、殴られないだけマシだと思え!!
挑発しながら逃げる。狭い路地を抜け、歩道に出た。流石にココまでくれば諦めるだろ。ため息を吐き帰路につこうとしたとき・・・・見つけたぞクソガキ 諦めてなかった・・すぐさま、路地裏に駆け込み、また逃げる。
なんで・・こんなことに・・
「明日からお楽しみの夏休みなのですよ」
「夏だからと言って、ハメを外したり、いかがわしい所に遊びに行ったりしないように!」
「それと、念のため。校外での”魔法”の使用は厳禁なのですよ」
夏休みか・・去年は何してたっけ・・と考えながら担任の先生の言葉を左に受け流す。帰宅の合図の鐘の音が聞こえてきた。
「バイバーイ刀夜」クラスメイトの挨拶にああとだけ返す。
明日から夏休みか・・何しようかなーー「あ、先生さようなら」
「はい、また明日」先生は爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。
「ええええええーー!?今なんと」
先生の言葉を理解したとき、頭の中に補修の二文字が浮かび上がった。
「聞いてなかったのですか?指定者補修。このままじゃ刀夜ちゃん留年しちゃうのです。」
「そんな、毎日しっかりやってたじゃないですか!?」流石に納得できない。毎日、登校して授業を受けた。なのに、何故!
「頑張ってたのは、知ってるのですよ。ただ、やっぱり”魔法の単位が・・」
「魔法ですか・・」
昔、行われたとされる聖戦後、人々に与えられたとされる力それが、魔力。人々は、魔力を使い様々な魔法や術を生み出し生活は、一変して魔法ありきの物となった。
魔法。
それは、誰もが一定のカリキュラムを受けることで扱える素晴らしい物だ。扱える魔法は、本人の魔力によるが大抵の人なら物を浮かしたり、箒にまたがり空を飛ぶのは誰にでもできること・・誰にでも・・・・
「はぁ、また明日もか・・」憂鬱な気分になりながらも刀夜は駆け足で家に向かうが、刀夜はすぐに足を止める。彼の目に映ったのは、大勢の男に囲まれた女の子。囲まれてる女の子はあまりどうじてない様子だったが刀夜はそんなのお構いなしに男たちにつっかかる。「おい!」
戻って今、刀夜はまだ追われていた。「ちくしょー何やってんだ俺は・・人助けなんて余計なことするんじゃなかったぜ」
「おい、早くくたばれよ。しつけーんだよ!」
「やかましいわ!女の前だからってかっこつけやがって・・このクソガキ!!」
「何!?」その言葉に立ち止まる。「俺が助けてやったのは・・」誤解をとこうと言いかけた言葉は、轟音にかき消された。
男たちの目の前に突如現れた火の玉が爆発し、男が吹き飛ぶ。何をされたかわからない様子の男達は慌てふためいている。
「魔法?」「だったらやべえぞ逃げろ!」男達はそう言ってその場から逃げ出した。
「うわあ~」顔に手をあて理解し困惑していると後ろから声がした。
「たく、何やってんだか・・・・」
「でたよ・・・・」
「私からあんな不良庇って善人気取り?」
その言葉にため息をつく。「何よそのため息は!」
「あんたは本当に昔から・・」
先ほどからうるさいこの女は、椎名美鈴。美鈴は、俺よりも一つ年下のくせに昔から生意気で、よく喧嘩して怒られた記憶がある。美鈴とは中学に上がる頃から家の事情で疎遠になったのだが、まさかこんな形で再会するとは・・・・
「ちょっと聞いてる?」美鈴が顔を近づける。
「何が・・・?」これは不味い・・
「あんたも馬鹿にしてるわね。」
「私を誰だと思ってんの?<紅の魔女>よ?」
「あんな不良達相手に本気出すと思ってんの?」
紅の魔女か・・大層な二つ名までつけられるほど、強くなったってことか・・・・
「つーかさ、じゃあ俺はどうなのよ。魔力が無くて、補助魔導具も意味のない正真正銘の無能力者なんだぞ」そう、俺は無能力者。
「魔閉症」と言う病がある。人間にあるとされる魔力を生み出す器官が閉まりきっており、魔力を身体に溜めることができず魔法や術が使えないという物。「魔閉症」は身体の成長と共に直るとされているが、俺の場合違う。俺は生まれながらにして魔力を生み出す器官のない言うなればただの人だ。自分がただの人だと気づいたのは、ほんのささいなことだったと思う。
「ふーん無能力者ねー」美鈴が俯きながら言うと美鈴は鞄から一つの紙切れを取り出した。
「ねぇ、ウィルオウィスプって知ってるわよね?」
「ああ」ウィルオウィスプ魔法使いが覚える初級魔法の一つ
「それがどうしたんだよ」嫌な予感が刀夜の頭をよぎる。
「私の魔法は、炎なんだけど・・このウィスプちゃんに私の魔力を流すと」美鈴はそう言うと召喚したウィスプに魔力を流すとみるみるウィスプの様子が変わる。緑色をしていたウィスプは赤色に染め上がった。「これを」そう聞こえた途端、前方5メートル付近で大爆発が起こった。爆発がおこったであろう場所には穴があいており黒煙が立ち上っていた。
「おい!流石に今の人に撃ったりしないよな!?」
「撃つわけないでしょ・・・・あんたを除いてね!」美鈴の周りに炎が煌めく。美鈴は戦闘態勢だ。
「うお、ちょっと待て!?」制止を促すが美鈴の耳に届かない・・
「るあ”!!」一瞬で炎に囲まれ、なすすべなく刀夜は炎につつまれてしまった。
「ーーーで、何であんたは火傷の一つもないのかしら?」
「運がいいだけだ!」俺は魔力を全く持たない変わりに人の倍以上の幸運を授かったのだ?運がいいからどうってことはないのだが、今みたいに命の危険があっても何故か無傷なことが多い。
「運がいいからで魔法の攻撃を完全に無効化できるわけないでしょうが・・・・どこが無能力よ」
「あんたは、昔っから私のこと下にみて・・・・」
「私は自分より強いやつが居ることが許せないの!」
「結局、それかよ!」美鈴は、昔から俺に勝負を挑んでくるやかましいやつだ。勝負の理由も、前途の自分より強いから・・まったく迷惑なやつだ。
「うわああああ」火球が刀夜に迫る。今度は、お得意の幸運は発動しなかったみたいで直撃する。美鈴は無意識で手加減してくれていたようで、幸い軽い火傷ですんだ。
「どう、少しは真面目にやる気になったかしら?」
美鈴の言葉が、刀夜の何かに火をつけた。
「へへ、いいぜ美鈴・・・・久しぶりに喧嘩しようぜ!!」
刀夜の言葉に息をのむ美鈴・・・・・・