基本的な舞台背景&簡単な用語解説(1話時点)
この世界には南にエークス、北にゲルバニアンという超国家連合がある。
この二大勢力は、元々、とある鉱産資源を巡って対立していた勢力同士。そして、12年前に国境付近で勃発した〈レオーツ戦役〉を機に、全面的な戦争状態へと突入してしまった。
現在、直線距離にしておよそ5000kmという、国境地帯を巡る一大戦線が構築されている。また、戦線の中でも特に重要な20近くの戦域、〈国境戦線〉が点在しており、未だに戦争は終わる気配を見せていない。
・レオーツ戦役
この戦争の発端となった一連の戦闘のこと。かつて国境付近に存在していたエークス領の都市〈レオーツ〉で始まった事から、レオーツ戦役と呼ばれている。
なお、このレオーツ戦役を境にゲルバニアン軍は南下。エークスの領土を多数占領下に収めて、エークスから貴重な資源地帯を奪うことに成功している。
エークスにとっては奪われた領土、即ち〈旧領土地帯〉の中にレオーツも含まれている。12年経った今でも、奪還には成功していない。
・機動歩兵〈トール〉
11年前に、巨大複合企業G.K.companyから発表された、新たな兵器規格。全高20m程度、動力はMHD発電方式核融合炉、戦車をも駆逐し得る機動性、総じて高い装甲防御力が特徴。現在の陸軍における主力兵器。
そしてトールは、MNCSと呼ばれるインターフェースを搭載しなければ成立しない人型兵器でもある。
第一世代型トール:ごく初期に開発された実験機群。既に退役済み。
第二世代型トール:現在、両陣営が配備している主力トール。
第三世代型トール:現在、4機だけしか配備されていない最新鋭世代機。
・運動情報抽出システム〈MNCS〉
トールと同時にG.K.companyで実用化されたとされる、非接触式思考走査型ブレイン・マシン・インターフェース。つまり、パイロットの脳から運動情報を取り出し、トールという機械の動作へと反映させる為の情報仲介装置。全てのトールにはMNCSが搭載されており、MNCS無しにはトールはそもそも稼働できない。トールという兵器規格の根幹をなすシステム。
・機兵師団
陸戦で圧倒的な戦闘力を発揮するトールを、戦力の中核として運用している師団。1300機近いトール部隊、更に多数の陸上艦艇からなる〈陸上艦隊〉を組織できるという点で極めて強力な打撃力を発揮する。エークス軍には4つ存在する。
・G.K.company
エークスに存在する巨大複合企業。本格的な兵器開発に参入したのは11年前に過ぎないが、その際に〈トール〉やその関連技術を持ち込んだことで、軍需産業に一大再編の流れをもたらした。また、トールを独占生産し続ける事で、エークス陸軍に対して深い癒着の根を張り巡らせている。
エークス軍の殆どは現状を維持しようとしているが、ドルテ=クローニン大佐だけはG.K.companyに反抗姿勢を見せている。その一環として設立されたのが、バルトやナオトの属する試験先行運用部隊。
・試験先行運用部隊
ドルテ=クローニン大佐が、G.K.companyの開発体制へ食い込むために設立した試験部隊。その性質上、G.K.companyで開発された最新鋭の機体が配備されている。中でも、4機しか存在しないとされる第三世代型トールは、全機がこの試験先行運用部隊に配備されている。母艦は改造輸送艦〈ホエール〉。
部隊のパイロットは3人だけ。隊長はバルト=イワンド大尉、新しくナオト=オウレン少尉も配属されて4人体制になったが……?
・改造輸送艦〈ホエール〉
試験先行運用部隊が母艦とする、大型の改造輸送艦。艦長はルデア=エドモンド中佐。第三世代型トール4機と、演習用トールを搭載している。
自衛用の砲塔や発煙弾発射装置が追加されているとはいえ、原型が輸送艦に過ぎない為、戦闘力は皆無に等しい。艦体前部と後部に、それぞれ大型の格納庫を持つ。艦体中央には充実した食堂設備が用意されている。
〈簡易組織図〉
・エークス陸軍
→参謀本部
→第一機兵師団
→第二機兵師団
→師団長:ドルテ=クローニン大佐
→輸送艦〈ホエール〉艦長:ルデア=エドモンド中佐
→試験先行運用部隊隊長:バルト=イワンド大尉
〃 副長:リーグ=ベイナー中尉
〃 隊員:ルーカス=クレット少尉
〃 隊員:ナオト=オウレン少尉
→第三機兵師団
→第四機兵師団
・ゲルバニアン軍
→統合総司令部
→軍務監査委員会