04、これは手抜きか? ちょい足しか?~カップ麺との出会い~
筆者執筆
マウニア「ディアーさん、市場でこんなの売ってたんですけど、どう思いますか?」
唐突に聞かれたディアーは仕込みの手を止めてマウニアの方を見る。
ディアー「なんだ、これ? カップ麺? 何だこりゃ?」
マウニア「私にもよく分からないんですよ。なんでもお湯を入れるだけでラーメンが出来るとか」
ディアー「へえ。どういう仕組みなんだろうな。というかこれゆがみ利用品じゃねえか! オーバーテクノロジーだよそれ。多分こっちじゃ再現できないやつ!」
大げさにのけぞるディアーにマウニアは苦笑しながら返す。
マウニア「あーだからでしたか。お湯だけでラーメンなんてできるわけないですもんね」
ディアー「まあ面白そうだから実際作って見ようぜ。お湯だけでラーメン出来たらそれがあった世界のすごさが分かるってもんだし」
好奇心を抑えきれないのか、ディアーはそう言うとお湯を沸かしに厨房へと向かった。
――カップ麺(商標の都合のため商品名は表記せず)の作り方――
1、カップ麺の蓋を開けて中にある袋を全て取り出す。
2、袋のうち、お湯を入れる前に入れる物があればカップ麺の中に入れる。
3、お湯を注ぎ蓋を閉じて3分間待つ。
4、蓋を開け後入れの袋を取り出しカップ麺に入れて完成。
ディアー「これ考えた人すげえな。時短ってレベルじゃねえぞ……」
マウニア「3分って、普通だと1品作るのも厳しいですよ、普通」
ディアー「なんにせよ、これで完成か。どれ、ちょいと試食」
ディアーは出来上がったカップ麺をすする。
ディアー「……ふむ。これは、塩ベースだな。あと魚介の味がよく染みてる。具材もよく見ると小さなエビとか入ってるな。ただ、ちょっと味が濃いな。塩っ気が好きな人はいいだろうけど、こればかりだと、塩分過多になりそうだ」
マウニア「私も一口いいですか?」
ディアー「ああ、いいぞ」
マウニアもカップ麺を一口いただく。
マウニア「……うん。美味しい。うま味もありますね。あと塩と油でパンチ力もある。たしかに、これは味が濃いのが好きな人向けですね。薄味に慣れてる人だとちょっと濃すぎるかも」
ディアー「だろ? そうだなあ、薄まるわけじゃないけど、アレンジするならこれを足してみるか」
マウニア「それは、ごま油?」
ディアー「ああ、この塩味ならごま油の香りと相性が良さそうだ」
カップ麺にごま油を少々いれて、再度口に運ぶ。
ディアー「……うん、さっきより少し深みが出たな」
マウニア「私もいただきますね」
マウニアもそれに続く。
マウニア「……たしかに、パンチ力が上がってますね」
ディアー「まあなんにせよ、お湯だけで3分で出来ることを考えたらすごい品だよ。味は百点ではないけど、時短したい時って味より早さだからな。その点で言えばむしろ大正解と言える」
マウニア「それに手間がかからないのも魅力の一つだと思いますよ。お湯を注ぐだけって、料理を考える手間を全部省いてますから。疲れてる時とか料理が億劫な時にもってこいですね」
ディアー「ところで、マウニア」
真剣なまなざしでディアーはマウニアを見る。
マウニア「はい、なんでしょう?」
マウニアは不思議そうに問い返す。
ディアー「お前、これ間接キスになってるの気づいてるか?」
マウニアはディアーを見て、カップ麺を見て、事態を悟ったのか、顔が一気に紅潮する。
マウニア「え、ちょ、は? いや、そのしたかった訳ではなく、気づかなかったというか、でも嬉しかったとかそんなんでもなく、ああもう、変なこと言わないでください!」
ディアー「ちょ、悪かった! 悪かったから盆で叩くなって!」
マウニア「もう!」
少し塩味が甘くなった空気が、夜の宮廷調理場に広がったのだった。
というわけで、今回はカップ麺のお話でした。皆さんは何の商品か、もうお分かりですね?
実際カップ麺って、その技術がないところからしたら魔法みたいに見えますよね。
そしてディアーさん、最後の発言はちょっとデリカシーにかけてるぞ?




