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  作者: 時尾 航
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2.出来ることなら逃げだしたいよ...

俺、レトロRPGのような異世界に転生しました。

グダグダ言っても仕方ない。

この世界で生き残らなければ元の世界に帰る方法も探せないのだ。

城下町で情報を集めるべく散策をはじめた。

最初に町で思ったのは道が真っ直ぐな事。

綺麗に舗装されているわけではないが、どんな小道でも直角に曲がるのだ。

そのせいか建物の面が揃い整然と並んでいる。

最も気になっているのは自分の顔だ。

ステータスで性別は一致していたが年齢が少し若くなっている。

体格はあまり変化していなさそうだが別人になっている可能性がある。

鏡か何かないかと道を歩いていると共同の水くみ場に出た。

幸い人はいないようで備え付けの桶に水を張りぼんやりとだが顔の確認が出来た。

別人には変わっておらず中学生の時の姿だった。

さらに続けて散策して分かったのだが...

看板や道しるべなど全てがひらがなやカタカナで書かれているのでステータスの読みづらさに合点がいった。

知っている文字で助かるのだが漢字が無いのは本当に辛い。

ステータスにアルファベットもあったのでそれも存在してそうである。

数字も見慣れたものだ、避けていたが異世界人と話さないとはじまらない。

目についた露店で串焼きを買おうと手持ちのお金の中で一番安そうな小さな銀貨?を出して

「串焼き1本ください」と話しかけた。

お金の価値も分からないからカケのようなものだが...

足りなければ「おっと、間違えた」と言って誤魔化し他のコインを出すつもりだ。

関係ないが「ゴールド」と言っても金貨以外もあるんだな。

「1本500ゼニだよ。1ゴールドか、お釣りの500ゼニな」

と感じのいいおっちゃんが銅貨?のお釣りを渡たしてくれた。

「兄ちゃんってお告げでアドンにやって来た勇者さんなんだろ?

でも、平民がいきなり勇者の末裔なんて言われても大変だよな...」

がんばれよとおっちゃんに応援され露店をあとにする。


話好きのおっちゃんのおかげで幸先よく情報が手に入った。

まずはお金、予想どおり持っているコインで1番安い1ゴールドだったが

さらに下に「ゼニ」という単位がある事、1ゴールド=1000ゼニである事。

串焼きは美味かった500円くらい出してもいいな。

1ゼニ=1円雑に計算して王様に貰った100ゴールド=10万円か正確とは思わんが。

10万円って王様がくれるにしては多いのか少ないのか分からん。

本題は、いきなり勇者認定して「アドン」の王様に呼ばれた平民が俺という事だ。

誰だよ?お告げを伝えた奴...呪ってやりたい。

おっちゃんによると俺が勇者という事は広く伝わっているらしい。

露店などでアルバイトして細々と暮らしながら元の世界に帰る方法を探すのは絶望的だ。

無理に近いが勇者っぽく振舞い生活するしか道はなさそうだ。

おっちゃんに平民がいきなり魔物と戦うのは酷なものだと心配され

酒場で仲間を探したらどうかと提案された。

冒険者ギルドじゃないのかと聞いたらギルドってなんじゃいと言われた。

ギルドが無いとは言え未成年が酒場に行くのを戸惑っていると、

おっちゃんが「勇者は15歳で成人していると聞いたが、まだ酒場に行った事なかったか」と笑っていた。

この世界では15歳は成人らしい。

おっちゃんの話によると、この大通りを西に向かって真っすぐ行った所が飲み屋街らしい。

どうやらアドンの町の道は東西南北にまっすぐに通っているみたいだ。

いい時間になりはじめ西日が目に痛い大通りをぬけていった。


飲み屋街に着いた頃には日も落ちていた。

ふと、今晩の寝床が確保できてない事を不安に思った。

宿屋を探すかとも思ったが、ここまで来たのだと少しだけ覗いてみる事にする。

店を物色し、どこに入るかと思案していると「ぼうけんしゃのさかば」という最もらしい酒場があった。

意を決してその酒場に入り...後悔した。

屈強な男たちの笑い声、充満した酒の匂いで気分が悪くなりそうだ。

「おっ勇者の兄ちゃんじゃね」と、わらわらと集って来たかと思うと...

俺を席につかせ回りを囲み宴会をはじめてしまった。

飲み屋街に来る道すがら思っていたがこの町の住民は人が良いのである。

元の世界でも道端でのあいさつが少なくなったと思うのだが

ここでは、すれ違えば笑顔であいさつし人懐っこく話しかけてくる。

おかげで情報収集がはかどったが酒場に着いた時には日が暮れてしまったのだ。

屈強な男たちは酔いも回りお構いなしにしゃべりまくる。

俺たちはこのアドンの町を魔物から守っているだの

アドンの王様に勇者の兄ちゃんを頼まれたとか

この町は治安も良いし酒も美味し最高だのもう騒ぎまくる。

俺はこの状況からどう逃げようかと悩んでいると...

「おまえら勇者の坊やが困ってますわよ」

男たちに「キャロルのあねさん」と呼ばれたのは

なぜか男たちよりも若そうな大柄でとても美しい女性だった。


男たちを追い払い俺の向かいに座るキャロルさん。

男たちから解放され、うれしいがそれどころではなかった。

キャロルさんの恰好が水着のビキニにしか見えないからだ。

たしかに鉄で出来てはいそうだが鎧として役に立たないだろ絶対に。

色々と話しかけてくるがキャロルさんの胸元が気になり話に集中出来ない。

キャロルさんもあの王様に頼まれているのだろうか?

酒を勧められたがジュースをたのみ乾杯するが...急に目が回り突っ伏してしまう。

遠くの方で男たちの笑い声と「おまえら飲み物に何を入ましたの」と怒鳴るキャロルさんの声がしたような...


知らない部屋のベッドで目が覚めた。

ひどい頭痛で顔がゆがむなか意識がハッキリしはじめ飛び起きる。

昨日、いきなり転生して勇者とか言われ...酒場で宴会になった後の記憶が思い出せない?

ここはどこだ誰の家だ、それとも宿屋か?と辺りを見回して固まってしまった。

ベッドの横の床に毛布にくるまってキャロルさんが寝ているのだ。


「ヤバすぎるだろこれ!!」

拙い文章ですが読んでくれてありがとうございました。

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