1.俺が勇者ってどうするんだよ!!
俺、レトロRPGのような異世界に転生しました。
「わあぁぁっーー!!」
目が覚めると暗闇の中にいた。
たしかトラックに轢かれて...
という事は、ここはあの世なのか?
ひとしきりパニクって冷静になった。
どうしたものかと辺りを見回すが
辺り一面、何もない場所だが遠くに白く光った何かが見える。
目的もないし覚悟を決めてそこを目指して歩き始めた。
そこは不思議な場所だった。
空中に白くぼんやりと光った「あ」という文字と短いアンダーラインが三つ浮かんでいた。
さらによく目を凝らして見るとその薄暗い光に照らされた横長の長方形の台のようなものがあった。
近づいて観察すると天面は真っ平ではなく左からプラス、マイナス、マイナス、ゼロ、ゼロと浮き出ている。
何だろうと手を伸ばし真ん中の「マイナス」に触れると思いのほか簡単にその「マイナス」が沈んだ。
その瞬間「ピロリン」と電子音の様な音がして辺りは真っ白な光に包まれて何も見えなくなった。
再び辺りが見えはじめると真っ赤な豪華そうな絨毯が目に入った。
「えっ?!」と小さく声が漏れた。
いつの間にか片膝をついて地面を見つめていたのだった。
頭が、はてなマークいっぱいでまたパニクっていると...
「よくぞ参られた勇者~よ!!」
手前の上の方から声がする。
慌てて手前を見ようと頭を上げようとするとき手に何かが当たり
「ガシャン」と音がした。
音のした腰の方を見ると剣がぶら下がっていた。
よく見ると胸当ての鎧も付けているではないか!?
どんだけパニクってるんだよ、本当に回りが全く見えてねぇなと失笑ものだ。
あんまり自分は詳しくはないのだが...
トラック事故、勇者とくれば予想はつく。
ゆっくりと頭を上げると予想通りに王様がいた。
やっぱり異世界転生かーー!!
それからの事はよく覚えていない。
自分が伝説勇者の末裔だとか
魔王が復活して魔物が徘徊しているとか
その魔王を倒してほしいだの...
とにかく、このお城からいち早く逃げたい!!
状況が全く分からないのだ。
話を合わしながらボロが出ないか気が気ではなかった。
王様の謁見もなんとか終わりお城を脱出しようとしたが...
近衛兵やメイドに
「勇者~殿、平和の為にがんばりましょう」だの
「勇者~殿、ご武運を」だの
「勇者~様、お気をつけて」だの
「勇者~殿、勇者~様、勇者~、勇者、勇、ゆ...」と大歓迎なのである。
やっとの思いで城門を出て城下町に逃げてきた。
城下町でも人目に付いているようなので辺りを見回すと木々が茂った場所が見つかった。
あそこなら人目を避けれそうなので一目散に向かった。
そして木の陰に入り一息ついた。
情報不足すぎるだろ!!勇者だの魔王だの
この国の人は不憫とも思うが帰れるのならすぐに元の世界に帰りたい。
来る方法がアレだから帰る方法がないのかもしれないが魔王退治なんてごめんだな。
なぜ言葉が通じるのかは不明だがとてもありがたい。
まずは、たしか...
「ステータスオープン」だっけ?
出ないか...まあ、アニメや小説のしょせん作り事だったか。
でも、トラック事故で異世界転生の王道ならステータスも出そうなものなのに。
うん~、どうしたものか...
「スタートじゃ!!」
背中から声をかけられた。
振り返ると物凄く怪しそうなローブを被った老人がいた。
「スタート?」
つい、聞き返してしまった。
すると目の前の空中に文字があらわれた。
慌てて再び老人に目をやるがそこには誰もいなかった!?
老人の事は気になるがどうしょうもないと割り切って
空中に浮かぶ文字を確認した。
やはりというか案の定それはステータスだった。
職業:勇者(男)
年齢:15歳
やっぱり勇者なんだな...
年は15歳か実年齢より少し若くなっているこれが転生特典とかいうやつだったか?
それにしても読みづらいなあ~ ひらがなばかりだ。
なまえ:あ
「名前 あって何なんだよ!!」
つい、大きな声が出てしまって回りを見たが
こちらをうかがっていた人も少しすると興味がなくなったのか普通にもどっていった。
今更ながらにお城で「勇者~殿」とか「勇者~様」と、やたらとのばして発音していると思っていたが...
「勇者あ殿」「勇者あ様」だったのと判明した。
それにしてもこんなふざけた名前を付けた奴、絶対に許さないからな!!
気を取り直して再びステータスに目をやる。
レベル、HP、MP、G、EX、ちから、すばやさ、さいだいHP、さいだいMP、こうげきカ、しゅびカ、そうび...
えっと、やっぱレベルは「1」なのねHPはヒットポイントだったかな
MPはマジックポイントじゃあG:120って?そういえば王様にお金を100ゴールド貰ったなGはゴールドか
EXはなんだろう?あと、なんで力だけ漢字って分からない事ばかりだ。
装備は銅の剣と銅の胸当てか...職業は勇者で剣も持っているか戦う気まんまんじゃん。
「あー もう、どうするんだよこれからーー!!」
拙い文章ですが読んでくれてありがとうございました。
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