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【完結】30歳、処女が恋愛指南していたけど、自分の恋愛は対象外です!  作者: 結城トウカ


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第69話 義理

由井の予告通り、翌日から有名俳優と人気モデルの不倫が報じられた。

テレビだけでなく、SNSもそのスキャンダルで持ちきりだ。

それに伴い、私と由井についての話題は次第に沈静化していった。


「でもひと安心だったよー」


定食屋のトンカツ定食を食べながら友香が言った。


「ほんとに、最初はどうなることかと思ったよ」


私も同じトンカツを頬張りながら答える。

最近できた定食屋で、なかなか混み合っている。

店内も広く清潔感があり、ゆったりと食事ができる。

もちろんここも私のランチ候補リストに名を連ねることになった。


「翔子、あのとき顔真っ青だったし」

「そりゃあそうだよ、人生で1番衝撃だった」


もうあの騒動が遠い昔に感じる。

奥村たちにも随分(ずいぶん)心配をかけた。

こうして平穏な日々を過ごせるようになれたのも由井の早い対応のおかげだ。

あとで改めてお礼を言っておこう。


「雑誌に載るなんてなかなかないもんね。まあでも取引先への影響とかもなさそうでよかったよ」

「ほんとだよ〜」


ふと私は壁に掛けられたカレンダーが目に入る。

今日は2月8日だ。

世の中の女子が一大イベントを意識する頃合いだ。


「そういえば友香はバレンタインどうするの?」

「どうするのって?」

「高須くんにあげないの?きっと喜ぶよ」

「義理チョコはあげるよ。皆と同じやつ。特別なやつなんかあげたら期待させちゃうじゃん」

「でも年末、高須くんといい感じだったんでしょ?」

「いい感じっていうか、少し見直したってだけだよ」

「ねえ、それよりさ翔子はあげないの?奥村くんに」


ごくんとご飯を飲み込む。藪蛇(やぶへび)だったか。

もちろんいつもお世話になっている人たちにはあげる予定だ。

それは奥村だって例外ではない。


「い、一応あげるつもり。前野さんと高須くんにも同じの買ってあるよ」

「え、義理チョコってこと?」

「そりゃあそうだよ」

「なんで?もっと積極的にアタックしなよ!奥村くん彼女いないんでしょ?」


不思議そうに私を見つめる友香。

そういえば彼女に奥村に好きな人がいることは打ち明けてなかった。

私は誰にも聞かれないように小声で話す。


「ココだけの話にしてね。奥村さん、好きな人いるの」

「え!?そうなの!?」

「しーっ!」


友香の大声に周りの視線がギロリと向けられる。


「ごめんごめん、そうか〜、翔子といい感じにみえたけどな〜」

「そういうわけで、私は先輩らしく応援するんです」

「でも付き合ってないなら翔子にもチャンスはあるじゃん。そんなに消極的だと婚期逃すぞ」


(チャンス…)


私は頭の中で友香の言葉が何度も繰り返される。

恋愛相談を受けていたのもあり、彼の恋を応援すべきという考えが強かった。

そんなことを考えてもいいのだろうか。

由井には好きな人がいると言っておきながら、片思いから変化させるつもりはない。

由井との結婚を前向きに考えるべきだっただろうか。

でも、あの時は奥村の存在が頭に浮かんで離れなかった。そんな気持ちのまま由井の言葉に頷くことはできなかった。

私は深いため息をつく。


(こんな性格だから、友香に婚期を逃すなんていわれるんだろうなあ…。そもそも彼氏歴0年だし…)


もし、もし、彼が私に振り向いてくれたら…いや、そんなことあるわけないのに。

そんなタラレバを願いながら私は仕事に戻った。


早めに仕事を切り上げると、私の足先はデパートの催事場に向かっていた。


(なんとなく来てしまった…)


心のどこかで引っかかるところがあったのだ。

自分から少しだけ歩み寄ってもいいのでは、なんて魔が差してしまった。


バレンタインも近くなっていることもあり、場内は多くの女性たちで溢れていた。


(クリスマスのお礼もできてないのに、他の人と同じっていうのも失礼だし。そうだ、奥村さんが一人だったら渡す。皆といるなら、皆と同じ物を渡す!よし、これだ!)


無理矢理な理屈を自分に言い聞かせる。

とりあえず会場の端から順にショーケースの中を眺めていく。

試食を勧めるスタッフから味見に誘われ、いくつか食べるが、どれがいいかわからなかった。

会場を一周しようかというところで、一つのチョコが目に留まった。


(あ、これなら…)


4つ入りの小さな箱に入ったチョコレートが目に入る。

トランプをモチーフにしているようで、クローバー、スペード、ダイヤ、ハートの形をしていた。味もそれぞれで違うようだ。

足を止める私に店員が声を掛ける。


「こちらプチギフトとして人気なんですよ」


(これであれば義理チョコにもみえるし、意識せず渡せるかも…)


「…これ、1つください」


(買っちゃった…)


私は小さな手提げ袋に入ったチョコを見つめる。

来週にはXデーがやってくる。

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