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【完結】30歳、処女が恋愛指南していたけど、自分の恋愛は対象外です!  作者: 結城トウカ


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番外編 もうひとつの恋 その2

レストランカフェの会計を私が払おうとすると、高須が待ったをかける。


「え、俺払いますよ!」

「いいのいいの、今日付き合ってくれたお礼だから」

「じゃあ…ごちそうさまです」


不服そうにしながらも高須はぺこりと頭を下げた。

さすがに新卒の彼に食事代を払わせるつもりはない。

ましてや今日は私の買い物に付き合ってくれたのだから、私が支払うのが筋というものだろう。


私たちはカフェを出た後、彼の案内で向かった先は若者で賑わい立つ駅だった。


「なんでここ?」

「俺、学生時代このへんの服屋でバイトしてたんで詳しいんですよ!」


彼が服屋で接客している姿を思い浮かべる。

そのかわいらしい笑顔で女性客からウケがよかっただろうなと想像する。


それにしても30歳には肩身の狭い場所だ。周りを見渡しても学生のような若い子たちが楽しそうに歩いている。

だが、彼の行きたいところをリクエストしたのは私なので、そのまま彼のあとをついていく。

彼は表通りのお店には目もくれず通り過ぎる。

すると、途端に人通りが少なくなるが、それでも彼は歩みを止めなかった。


「どこまで行くの?」

「もうちょっと先っす」


枯れ木が等間隔で並ぶ道路、真っ青に広がる空がどこか寂しげな空気を漂わせる。

自分だけでは来ないような場所だ。

こんなところに一人できたら物悲しくなってしまいそうだ。

それから5分ほど歩くと、セレクトショップや美容系のショップが並んだ通りに出る。


「あれ、このへんはまたお店があるんだね」

「そうなんすよ、このへんなら落ち着いてるし、安達さん好きそーな店もあるかなって思って」


にこやかに笑いかけてくる高須。

彼も彼なりに考えていたようだ。

私たちは気になる店を回りながら散策をする。


「あ、こんなとこにもお店あるね」


狭い路地にひっそりとお店が(たたず)んでいた。ただ店内は明るく怪しげというわけではない。隠れ家的なお店の振る舞いに少し心惹かれた。


「寄ってきます?」

「そうだね、ちょっと寄っていい?」

「もちろんっす」


中に入ると、意外と奥行きがあった。

一人分の通路幅しかないので、商品を落とさないように慎重に見て回る。

ラインナップとしては雑貨やアクセサリー、珍しい食品など幅広い商品が並んでいた。


「あ、これいいな」


私が手に取ったのは少し大きめのポーチだ。中にも小分けのポケットもつけられていた。

いま手持ちの化粧ポーチのファスナーが引っかかるようになっていたので、そろそろ買い替えようと思っていた。

これなら値段も手頃でちょうどいいかもしれない。


「ちょっとこれ買ってくるね」

「はい!」


私はお会計を済ませると、店内で待っていた高須のもとへ歩み寄る。


「高須くんも何か気になるものあった?」

「あ、いや、大丈夫っす…たぶん」

「たぶんってなに」


引っかかる物言いをしながらも、彼はそのまま出口に向かって歩くので、私も彼を追って店を出た。

しかし、ちょうど今のお店で道が行き止まりになる。

道の先に広がる左右の道に首を振っても、この先は住宅街や公園があるだけのようだ。

行き先を見失った私たちは、とりあえずもと来た道を引き返す。そちらの方に駅があるからだ。


「この後どうする?」


彼に尋ねても何か考え込んでいるようで言葉数が少ない。


「高須くん、さっきから静かだけどどうかしたの?」

「すみません、俺トイレ行ってきます!」

「え…」


まさか催していただけとは思わなかった。

走り去る彼に呆れてしまう。

さっき見かけた公園に向かうつもりだろう。


(もっと早く行きたいと言えばいいのに。もしかして言いづらかったのかな)


私は先ほどは入らなかった店に入って時間を潰すことにした。

ひとしきり店内を見回った頃に、高須と別れた場所に戻る。

まだ彼は戻ってきていないようだ。

これ以上場を動くのも(はばか)られたので、私はスマホで暇つぶしをしながら待つことにした。


「Excuse me.(すみません)」

「え?」


振り返ると背の高い外国人が二人立ちはだかっていた。彼らのガタイの良さも相まって、なかなかの威圧感である。

男の一人は季節感を無視したTシャツを着ていた。もう一人の方も薄手の長袖シャツ姿だ。


「Are you familiar with this area?(この辺りに詳しいですか?)」

「あ、いや…」


Tシャツ姿の男は狼狽(うろた)える私に構わず、ペラペラと英語を続けた。


「How do I get to the station?(駅まではどう行けばいいですか?)」


(stationってことは駅?駅までどうやって行くかってこと?こういうとき、なんて言えばいいんだっけ…)


私はスマホの画面で地図を表示しようとすると、背後から滑らかな英語が聞こえてきた。


「Go straight from here, turn right at the second corner and you'll find the station.(ここをまっすぐ進んで、2つ目の角を右に曲がったら駅があるよ)」


(高須くん、英語喋れるの!?)


あまりの驚きに思わず高須を凝視してしまう。

男性たちは手を振りながら、駅の方へと去っていく。


「Thank you! Have a nice day with her!(ありがとう!彼女と良い1日を!)」


高須も照れくさそうに笑顔を浮かべながら、彼らに手を振り返していた。

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