表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】30歳、処女が恋愛指南していたけど、自分の恋愛は対象外です!  作者: 結城トウカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/83

第47話 遊園地 その2

高須と友香の背中を見送ると、私は奥村に声を掛ける。


「奥村さん、本当に体調悪いんですか?水とか買ってきましょうか?」

「あ、いえ。あれは高須くんたちを2人にしたかっただけなので」

「でも…」


私は彼の手元に残っているドリアを見る。

その視線に気づいた奥村が弁明する。


「あ、僕、猫舌なので食べるのに時間かかってるだけなんです」

「よかった…」

「お前、昔から熱いもの食べるの大変そうだもんな」


奥村が食べ終わるのを待っていると、前野が友香たちが向かった方向を見ながら呟いた。


(なお)、上手くやってるかなぁ」

「どうでしょう…」


多少緊張してたように見えたが彼のことだ。アドリブを上手く効かせて、友香との会話を楽しんでいるに違いない。

ただ、今回の目的は「友香に見直してもらう」ことである。

私個人の意見としては、高須が友香をオトすのは難しいと思っていた。

やはり彼女の好みと高須が合わないと思ったからだ。

そうはいっても、彼を応援したい気持ちは本当だし、上手くいけばいいなとは考えている。


「ごちそうさまでした」


奥村は手を合わせていた。

皿を見ると、残っていたドリアはきれいになくなっていた。


「このあと俺らはどうする?」

「そうですね…」

「ジェットコースターは?」

「観覧車とか」


私たちの意見はきれいに2つに分かれた。

前野が不思議そうに尋ねてくる。


「なんで観覧車?」

「遊園地といえば、観覧車じゃないですか。5人で観覧車は乗れないですし。そちらこそもうジェットコースターは乗ったじゃないですか」

「ジェットコースターは何回乗ったっていいんだよ」

「まあまあ2人とも」


なだめようと会話に割って入る奥村に私たちの矛先が向けられる。


「草太はどっちがいいんだよ」

「奥村さんは観覧車ですよね?」


迫られる2人に狼狽(うろた)える奥村だったが、中城のせがむような表情に(あらが)えるはずがなかった。


「え、あ、まあそうですね。僕もどちらかというと観覧車のほうが乗ってみたいかな」

「やった!」


喜ぶ中城に見惚れていると、視界の端で前野が拗ねたように口を尖らせていた。


「ちぇ、なんだよ」

「観覧車戻ってきてからジェットコースター乗ろうよ」

「そんな時間あんのかよ」

「ここのお化け屋敷、最後まで行くの1時間くらいかかるらしいよ。入るまでも時間かかるだろうし」

「まあ、別にいいけど」


前野は折衷案にしぶしぶ妥協してくれたようだ。

ということで、私たちは観覧車の乗り場に向かうことにした。

しかし、乗り場の前に人だかりができていた。

ゴンドラは動いておらず、その前にはチェーンが掛けられていた。

嫌な予感を携えながら、人だかりの中に覗きに行く。

そこには、予想通り「強風のため一時運転を見合わせます」という看板が出ていた。

今はだいぶ収まっているように感じるが上空では、まだ風が強いようだ。

観覧車の最上部付近にあるゴンドラが大きく揺れているのが見えた。


「そんな…」

「まあしょうがないですね…」


こうして私たちは前野のリクエストである、ジェットコースターの乗り場に向かうことにした。


「奥村さんは遊園地とかよく来るんですか?」

「いえ、僕はあまりこういうところは…。中城さんはどうですか?」

「いえ、私も学生ぶりです」



俺の前を歩く2人。

草太と中城が楽しそうに話す姿を見ていると、まるで2人だけの世界に入っているように見えた。

すぐ目の前で広がっている会話なのに、まるで頭に入ってこない。


(あれ。俺、どうしたんだろう…)


草太の笑った横顔が目に焼き付けられるほど印象的だった。

それは自分には決して向けられることのない笑顔だ。


(俺もここにいるのに。そんなに楽しそうな顔しないでくれよ…)


俺は路上販売しているポップコーンというのぼりが目に入る。

キッチンカーのような小さい売り場だったが、他にもジュースやアイスなども販売していそうだ。

俺は店を指差しながら、草太に声を掛けた。


「草太、ポップコーンとか食べないか?」

「え、さっきご飯食べたばっかりじゃない?」

「そ、そうだよな…」


自分が空回りしているのがわかる。

何を慌ててるんだと自分を落ち着かせる。

それでも、いつかこの2人が手を繋いで歩く姿を想像してしまう。

当然そこに俺はいない。


(なんだよ…そうなのかよ…)


「陽介?どうしたの?」

「悪い。ちょっと飲み物買ってくるわ」

「え…?」


俺は早足で2人から離れる。

ここにいてはいけない。

これ以上ここにいたら、何を感じて、何を思うかわからない。

いや、正確にはわかりたくなかった。

負の感情に支配され、身勝手な行動に走ってしまうに違いないからだ。

これでは自分もあの女、横幕と同じではないか。

今までの行動が急に蘇る。


前触れもなく自らの中に一つの答えが出る。


(そうか、アイツに相応しい相手じゃなきゃなんて…本当は草太に彼女ができるのが嫌だっただけじゃねえか。俺ってこんなに嫌なヤツだったんだな…)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ