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【完結】30歳、処女が恋愛指南していたけど、自分の恋愛は対象外です!  作者: 結城トウカ


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第45話 高須の悩み

「俺、実は…」

「あれ、(なお)じゃん。あ、中城さんも」


高須の後ろから前野と奥村がこちらに歩いてきた。

2人とも仕事帰りのようだ。

だが、彼らのオフィスは別の階だ。何かプロモーション部に用事があるのかもしれないと想像した。


「プレゼン上手くいったって聞いたから、飲みに誘おうと思って来たんだけど…」


前野と奥村には定例会後にプレゼンの結果を報告していた。その連絡を受けて誘いに来てくれたのだろう。


「もしかして、お邪魔だった…?」


高須と私の間に広がる雰囲気に前野は何かを察したようだった。

私も高須の用件が何なのかわからなかったので、何も言えなかった。

私は答えを求めるように高須に目を向ける。


「いや、むしろ陽介先輩も草太先輩にも聞いてほしいです!」


いつの間に先輩呼びをする仲になったのかと驚いたが、さすがにこの場は言い留めた。


「じゃあ、とりあえず場所変えるか?」

「安達さんにも声掛けましょうか」

「あ、友香はもう帰っちゃってて…」

「いや、むしろその方が助かります」


高須の言葉が気になったが、ひとまず話の続きは移動した後にすることになった。

せっかくなので4人で飲みに行くことにした。

駅前にある居酒屋に入る。前野のおすすめの店らしい。

店内はそれほど広くなかったが、ちょうど席が空いていたので、待ち時間なく座れた。

店に入るとでかでかと鶏の絵が掛けてあるのが目に入る。そして、入口近くには日本酒の一升瓶(いっしょうびん)も数多く並べられていた。

前野から鶏料理と日本酒が美味しいと言われたが、彼に教えられなくても店側が力を入れているということが一目(ひとめ)で分かった。

飲み物と食べ物を軽く注文し、高須の話の続きを待った。


「実は…俺…安達さんのことが好きになっちゃったんです!!」


周りにも聞こえるような大きな声で宣言する高須。

一瞬、その場にいる全員の動きが止まった。

ようやく我に返ったところで彼に尋ねる。


「え、高須くんが友香のことを…?」

「安達さん、俺のこといつも見てくれるしフォローもしてくれて、頼りになるしカッコいいし、そんで俺ビビッときちゃったんです。この人しかいないって」


高須がトラブルメーカーだから注意深く見ていたとは言えなかったが、理由はどうあれ友香が彼を気にかけていたのは事実だ。


「でも、わかる気がする。ちょっとしたことで、その人のこと好きになっちゃうんだよね」


しみじみと話す奥村の姿に私は複雑な気持ちになる。

きっと好きな人のことを思い浮かべているのだろう。私は彼を見なくてすむようにお酒を飲んだ。

そのとき、ふと前野の表情に陰りがあることに気づく。


(あれ、なんか前にも…いつだっけ…)


思い出そうとしているところに、高須が奥村に言い寄っていて思わず目が移った。


「草太先輩、わかってくれますか!?」

「え、あ、うん」


飲み物と注文したサラダや唐揚げ、フライドポテト等が運ばれてきた。

一旦話を中断し乾杯をする。


「でも、(なお)がそんな悩むなんて意外だな。お前ならすぐ告白しそうなのに」

「いえ、もう告白しました」

「「「え!?」」」


予想外の返答に3人は声を揃える。

思ったらすぐ口にしてしまうタイプだとは思っていたが、恋愛においても同じだとは驚いた。


「でも振られました…」


うなだれてる彼は悲しそうに呟く。

その落胆ぶりを見ると、友香への気持ちがいかに本気だったかが伝わってくる。

彼のことだ。今話した友香への思いをそのまま伝えたのだろう。


「高須くんは後輩だから、そういう関係にはなれないって…」


彼女もハッキリしている性格なので、後腐(あとくさ)れのないように告げたに違いない。

それが彼女なりの優しさなのだ。


「たしかに友香の好み的に高須くんはちょっと違うかもしれない…」

「ここは恋愛マスターかつ安達さんの親友である中城さんにアドバイスをいただきたく…!」


高須は諦めるつもりはなく、再度友香にアタックするつもりのようだ。

手を合わせて懇願する彼を無下(むげ)にすることもできない。


「う~ん、そうだな…」


友香の元カレである正志(まさし)さんは、歳上で落ち着きがあり、それでいて男意気(おとこいき)のある感じだった。

高須は歳下であるし、どちらかというと可愛げがあるタイプだ。

友香のタイプには該当しない。

年齢に関してはどうしようもないが、他の部分は改善の余地がある。


「友香は落ち着きがあって、男らしい感じの人が好きな気がする…」

「落ち着き…」


前野と奥村は高須に目を向ける。

唐揚げにかぶりつくと喉に詰まらせていた。慌ててビールで流し込む様子を見ていると、落ち着きからは程遠いと思い至る。


「あとは男らしいか…そもそもアピールする場がないよね」

「例えば、誰かに絡まれてるところを助けるとか?」

「絡まれるシチュエーション作れないでしょ」

「あとは、怖がっているところを勇敢に助けに行くとか」

「怖がってるところもないでしょ」

「あ、そうだ。お化け屋敷とかは?」

「まあそれなら…」

「中城さん、安達さんがお化け苦手とか知らないの?」


前野と奥村の掛け合いから、突然私に話が振られる。

私は過去の記憶を(さかのぼ)ると思い当たる出来事を思い出した。


「聞いたことないけど…そういえば同僚が怪談を始めたとき、結構ビクビクしてた気がする…」

「ってことは!」


前野は思いついたアイデアに確信を持ったように笑みを浮かべる。

ほのかに酔っているからか、普段よりテンションが高いようにみえた。


「お化け屋敷に(なお)と一緒に安達さんを連れて行って、怖がっているところを(なお)がカッコよく助けたら、見直すんじゃないか?」

「いいっすね!ありがとうございます!それで行きましょう!」


顔を赤らめている高須は意気揚揚としていた。


「じゃあ、いつ行きます?」

「え?」


私たちは思わず顔を見合わせた。

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