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【完結】30歳、処女が恋愛指南していたけど、自分の恋愛は対象外です!  作者: 結城トウカ


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第28話 3人でランチ その1

お菓子博覧会が幕を閉じ、通常の業務に戻りつつあった。

明日には慰労会が行われるらしいが、主に張り切っているのは野上部長だ。 お菓子博覧会を後ろ盾に、経費で酒に浸ろうと企んでいるに違いない。


私は久しぶりにランチに行こうと、外に出る。

吹き抜ける風が秋の訪れを感じさせる。

少し先に見覚えのある2人を見つける。

私は前を歩く背中に向けて呼びかけた。


「奥村さん、前野さん!」


2人は振り返ると私に気づいて、立ち止まり待ってくれた。

私は彼らのもとに駆け寄ると、それぞれ挨拶を交わす。


「これからお昼?」

「そうです、お二人もですか?」

「そう、ちょうど昼飯行こうと思ったときに草太と会ってさ」

「もしよければランチご一緒しませんか?」


2人は(こころよ)く頷いてくれた。


「ぜひ行きましょう」

「俺らがよく行く定食屋があるんだ」


3人で向かった先は会社からほど近くのお店だった。

老舗の雰囲気がある店構えだ。

店内の壁にはメニュー名が掲示されている。

店には夫婦と思われる2人しかいなかった。

奥さんと思しき女性に注文を告げると、私たちは世間話に興じる。

お菓子博覧会のことから、それぞれの忙しさについて話題が変わる。


「営業は締め日くらいがバタバタしてるけど、あんまりいつが忙しいとかはないかな」

「管理部は月初が忙しいんですよね?」

「そうですね。月末と月初が忙しいです」

「あ、管理部といえば最近横幕さんの姿見てないような」


お菓子博覧会より以前、彼女が奥村にアプローチをしていた頃はよく見かけていたが、それ以降会社でも見かけることがなかった。

部署が違うとはいえ、花火大会で別れてから会っていないので、彼女のその後について気になっていた。


奥村は気まずそうに目を逸らす。


「実は…横幕さんは退職しました」

「え!?」


私は予想外の返答に思わず目を見開く。

前野は隣に座る奥村を横目に見ながら水を飲んでいた。



お菓子博覧会のアミュゾン出店辞退トラブルの翌日。


管理部のオフィスで帰り支度をしている横幕に奥村が声を掛ける。


「横幕さん、ちょっといいですか?」


花火大会以降、奥村に対して、目も合わせようともせず素っ気ない態度だった横幕に関して、仕方がないことだと彼は思っていた。

彼自身も横幕と距離をとっていたので、2人が会話を交わすことは久しぶりのことだった。

横幕は奥村をちらりと見るが、気に留めることなく帰宅準備を続ける。

 

「なにぃ?これから合コン行かないと行けないんだけどぉ」


オフィスの扉に向かって指を差す奥村。


「すぐ終わるので、向こうで少しいいですか?」


横幕は彼の普段とは違う雰囲気を感じ取り、その誘いを受けることにした。

奥村は管理部のオフィスを出た通路の奥にある非常口扉の前まで彼女を連れ出す。

行き止まりであるこの場所であれば、そうそう人は通らないだろう。

彼女への用件は公の場所で話すのは(はばか)られると判断していた。

横幕は奥村と相対すると、話を急かすように時間を気にしている素振りをみせる。


「で、話ってなにぃ?」


奥村はポケットから折りたたまれたハンカチを取り出す。

ハンカチを広げると、中からキラキラと光るアクセサリーのパーツが出てくる。


「なにこれぇ?」

「横幕さんのじゃないかと思いまして。いつもつけているネックレスのパーツじゃないですか?」

「あ、ほんとだぁ。ありがとぉ。どこかで落としたのかと思ってたのぉ」


横幕はネックレスのパーツを受け取る。

奥村は彼女の様子を黙って見ていた。


「それだけ?それなら私もう行くからぁ」


横幕は言葉を続けない奥村に見かねて立ち去ろうとしたとき、彼は彼女を引き止めるように口を開いた。


「このパーツは昨日プロモーション部のコピー機のそばで見つけたんです」


彼女の顔から笑みが消え、瞳を細める。

奥村の用件の意味を察したようだ。


「コピー機の横にはシュレッダーがあるんです」

「だからなにぃ?」


横幕はとぼけたように答える。


「中城さんからお菓子博覧会の書類が一部紛失したって話を聞いていました」

「へぇ、まだ律儀に中城さんにアタックしてるんだぁ」


小馬鹿にするように笑う横幕だが、奥村はそこには触れず話を続ける。


「書類を処分したのは横幕さんですね」

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