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言葉への弔い

作者: 今田椋朗


 聞かなくてもいい

 べつに、頼んでなどいないのだから


 だけれども、私は歌う

 他に、出来ることなどないのだから


 これは、弔いの歌だ

 諦めて、諦められた、幾つもの道のために

 

 目に映るものどれもが同じに見えるというのに

 なぜ、未知のために苦しいのか


 牡丹と芍薬を見分けられなくとも

 べつに、死にはしない


 だけれども、私たちはそれぞれに名前を付けていく

 他に、出来ることなどないのだから



 これは、言葉たちのための歌だ

 凶器として扱われる彼らへの弔いのために


 目に映るもの片っ端から切り分けてきたというのに

 なぜ、まだ刃をふるい足りないというのか


 そんな爪痕を残すことだけが生の営みだと、大勢で叫んだところで

 べつに、自分自身さえ騙せないと知っているけれど


 だけれども、私たちはそう勘違いし続け、言葉たちを握り締める

 それが永遠に残ると信じる他に、出来ることなどないのだから


 そんな永遠なんてもの

 永久歯の永久みたいなものだ


 殴り合ったら折れる程度の、真実に、信仰に

 なぜ、背中を預けられるというのか


 

 他に、出来ることなどないからか

 断りもなく名前を付けて、世界を切り分けていくことが理か


 べつに、細かく切り刻んだところで

 消化の手間が新たに増えるだけだというのに

 

 たとえ、酵素を持ち合わせていなくとも、私たちはそれを口にし続ける 

 飽きだけが、私たちを突き動かすからだ


 これは、弔いの歌だ

 飽きて、飽きられた、幾つもの溜め息の歌


 

 






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