10
「滅茶苦茶緊張したんだけど!」
「でも、これで終わったわけだからな、お疲れ様」
「合格発表日はまだなんですけど!」
「それでもマシだろう、とりあえずは休むことができるんだ」
終わったときはここまで感情を表に出すことはしなかったが、僕としても似たようなものだった。
ふたりとあまりいないようにしていたのもあって、これからまたゆっくり一緒にいられるんだという嬉しさが強かった。
まあ、終わるまで避けていたみたいなものだから怒られて一週間ぐらいは結局話せなかった形になるが……。
「純!」
「お疲れ様、よく頑張ったね」
「あっ、……ありがと」
勉強を一緒にやってきたからこそ分かる、彼女はずっと真面目だった。
遊に頼らなかったのは困らせたくないというのと、多分、そういうところをあまり見られたくないというのもあった気がする。
あ、リビングでやっていたんだから困らせたくなかっただけなのかもしれないが。
「純は本当にずっと協力してくれたからね、力強かったよ」
「いや、単純に音羽ちゃんが頑張っただけだから」
同じ内容の勉強をしていたわけではないんだからそうだ。
ちょろっと教えた程度でそんな風に言われても情けなくなるだけ。
「ま、あんまり一緒にやっている感がなかったけどねー」とか言ってくれればそれでよかった。
「できれば私にも頼ってほしかったがな」
「お姉ちゃんには集中してほしかったから……って、私がほとんど独占してしまっていたようなものだけどさ」
「学校でも放課後でもほとんどふたりきりだからな」
そう、やっぱり柚月が来ないから自然とそうなる。
こっちから行くと普通に相手をしてくれるから考えてくれているだけなのかもしれないが、わがままな僕は柚月とだっていたいから少し残念なんだ。
ちなみにそれを遊に言うと「私もだ、だが少しも気にならないがな」と返される。
分かっていても複雑になってしまうらしかった。
「私達に愛されて純は幸せ者だね!」
「そうだね、僕は幸せ者だ」
そもそも彼女がいるという時点でわざわざ言うまでもないことだ。
結局、僕も人並みかそれ以上に色々求める人間だという証明になっている。
だけどまあ、天の邪鬼よりはいいだろう。
「純の膝を貸してもらえ」
「うん!」
っと、今日の音羽ちゃんは少し幼い感じだ。
なにかを言うと変えてしまいそうだったから黙って付き合っておく。
高校生になったら環境が変わってこのような態度でいてくれなくなるかもしれないからそのつもりでいつでもいなければならない。
ただ、願望みたいなのもあって大丈夫なんじゃないかと考える自分もいた。




