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神話キャラが学校に通う世界線

#6 深紅の贈り物

作者: 第3類医薬品

今日体育終わりに上着を外に置いたまま教室まで帰ってきてしまったらしい。ヒドラさんが教えてくれた。ありがとう。

だから余裕のある放課後に取りに行こうと思って外に来た。風邪で飛んでいっていたらどうしようかと思ったが、外には目的の僕の上着がしっかり置いてあった。安心した。どっかいってたら大変なとこだったな……


上着も回収できたし、さっさと教室に帰ろうと思って動こうとした瞬間……アポロン先生と知らない人が円盤で遊んでる……


え??ほんとに教師??僕も学校来てんだからちゃんと仕事しろよ!てかあれ誰なの?見たことないな。男の人っぽい感じはあるけど…


またかよ……。


僕は知ってる。絶対にこの後なにか起きる。明らかに不審なもの見ちゃったもん。そうなったら危険だし…離れるべきだけど……ちょっと気になる……。そんなに近くないし大丈夫だろう。そう思ってそのまま見ていた。


そしたらアポロン先生が勢いよく円盤を投げた。その瞬間に強風が起こる。すごい風だなぁと呑気なことを考えていたが……


その円盤は……男の人の額に……


見るからに痛そうな光景だった。男の人は血を流して倒れてしまった。

それでアポロン先生は急いでその人の方に駆け寄って身体を抱きかかえた。僕はこの光景を黙って見てていいのか?目撃しているのに何もしないなんて……最悪じゃないか……

でも……巻き込まれたくはない……アポロン先生なら、責任を僕に押し付けてくるかもしれない。別に僕がやったわけじゃないのに……風か先生の所為なんだよ……多分…


俯いて思い詰めていると、近くに気配を感じた。木陰に誰かがいる。気配がする方を見つめてると……


ゼフュロス先生……


何してるんだろう……めっちゃ気持ち悪いにやにやしたような怒ってるような顔で2人の光景を見つめている。

まさかこの人が!?この人って確か風が操れるんだよね……


いけない光景を見てしまった気がする……。応急処置をしてるっぽいアポロン先生を見てると心がとても痛い。

そしてアポロン先生は急に立ち上がって、保健室に1番近いところへ男の人を抱きながら走っていった。

後に知ったんだけど、この男の人はヒュアキントスという人らしい。アポロン先生のお気に入りで、ゼフュロス先生は嫉妬したが故に、2人の恋路を邪魔したみたい。


アポロン先生……ただでさえそんなに恋愛上手くいってないのにな……可哀想だ……

……恋愛上手くいかないの僕のせいじゃないし。


何も出来なかったことに罪悪感と焦りを感じていたからか、僕は2人いたところへ行ってみた。その場に近づくにつれ、紅い何かが地面とひっついてるのがわかる。


血なんかじゃない。血みたいだけど。

その場まで行って見てみると綺麗な深紅のヒヤシンスが咲いていた。なんでこんなところに……

血の色っぽい……まさか……


急に怖くなってこの日は急いで帰った。男の人は無事なんだろうかと心配になる。アポロン先生のこと初めてこんなに可哀想に思ったよ……


次の日、学校で生物の授業を受けた。もちろんアポロン先生はいる。けど……

めちゃくちゃテンションが低くて……

笑顔も明るい仕草もない。やっぱり……昨日の……

仕方がないから、授業終わりに先生の所まで駆け寄っていって話かけた。


『……大丈夫ですか……大丈夫じゃないですよね……』

「……」


俯いてたけど泣きそうなのがわかる。手や肩なんかが震えてた。


『あの……昨日の……円盤投げ…………』

「…………?」


顔をあげてくれた。


『ゼフュロス先生が強風をおこして……』

「……また勘違いじゃないのか?」


ゔっ……

痛いところを刺された。

確かに2人のことを変な顔で見てた且つ風を操れるからって犯人とは限らないかも……僕前科あるし…


『あー……やっぱり今のなしで……たまたま強風が吹いたかもしれませんね……』

「……いや……殴ってくる……」


僕はいつもなら止めるけど……まぁ……いいや……。そんなことする人が悪いんだし……

アポロン先生は今にも駆け出そうとしてた。


『ちょっと待ってください』


「……なんだ?」


まだ言ってないことがある。ちゃんと伝えるべきだ。


『……外に……ヒヤシンス咲いてましたよ……』

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