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Tails of Dragon's

FireDragon

作者: 仁司方


 夜陰を切り裂き火柱が天へ突きあがったのは、埠頭に建ち並ぶ倉庫の一棟からだった。

 地峡のもっともくびれた部分を選んで拓かれたこの港町は、外洋へ面する西岸に大型帆船が投錨し、内海に面したもう一方にはガレー船がもやわれて、交易の中継地としてたいそう繁栄していた。

 倉庫街も例外ではなく、豊富な資金に裏打ちされた堅牢なレンガ造りや石組みのものばかりだったが、内部の品々まで常に不燃物とは限らない。


 燃えあがる倉庫は町の中で五本の指に入る富商、ドルマゴイ氏の所有する物件で、失火の報せを聞いた氏が急着したときには、煙が立ちのぼっていたものの、まだ炎が倉庫の屋根を突き破ってはいなかった。

 ドルマゴイ商会の事務所は埠頭の中にあるとはいえ、普段の氏を知る人にとっては信じられない行動の速さだった。()()ドルマゴイ氏が、樽のような立派な腹を抱え、息を切らせながら、自分の足で駆けてきたのである。よほど貴重な商品が収めてある倉庫に相違なかった。


 ドルマゴイ氏は自ら陣頭指揮を執って火を消し止めようとしたのだが、それがかえって逆効果だった。

 使用人や人足たちに命じて倉庫の巨大な戸を開け放たさせた途端、新鮮な空気が流れ込んで、くすぶっていた炎が爆発的に燃えあがり、突入しようとした人々は熱気と煙で押し返された。ドルマゴイ氏がいかに叫ぼうとも、火災はもはや、濡らした帆やバケツの水程度ではとてもとどめられる勢いではなかった。


「……ああ、わしの大事な商品が! 綿布が、黍糖が、珈琲豆が、燃えてしまう! 琥珀も、伽羅の香木も、絹の反物も、灰になってしまう! 青磁も、白磁も、みんな台なしになってしまう! 消してくれ、火を消してくれ!」


 この世の終わりがきたとしても、こうも泣きわめく人はすくないであろうと思わせるほど、ドルマゴイ氏の悲歎は大仰だった。

 しかしこの場にいる人々に火を消す手段はなく、さりとて下手になだめようとしても怒らせてしまうかもしれず、ただ燃え盛る火焔を見て立ち尽くすのみであった。火災はいよいよ大きくなり、ドルマゴイ商会の雇い人のほかにも野次馬が集まりはじめる。


 そのうちのひとりが、なにかに気づいて天を指差した。


「ドラゴンだ、消防団だぞ!」


 一斉に上方を振り仰いだ人々の目は、たしかに、双翼を持ちながら虎のようなたくましい四肢と、蛇のような長い尾を備えた、鳥でも蝙蝠でもない生き物のシルエットが青黒い空に浮かんでいるのを捉えた。

 ドラゴン消防団は保険業者のシップルーフ氏が最近はじめた、顧客用の有料サービスだったが、交易商であるドルマゴイ氏はもちろんシップルーフ保険会社にも掛け金を支払っている。


 救い主の到来に湧き立ち、手を振っていた人々だったが、ドラゴンが高度を落としてくるにつれ、その歓声は困惑のどよめきに変わった。降下してきたのは、赤銅色の鱗に紅玉のような双眸の、どう見ても火竜であったので。


 ドルマゴイ商会の使用人のひとりが、いみじくも満場の心境を代弁した。


「火事の現場にくるなら水竜か氷竜だろう! なんで火竜なんかよこすんだ!?」


 颯爽と現れたドラゴンが、冷気のひと吹きで火災を消し止めてくれると思ったのに。

 期待を裏切られた人々の心境を知ってか知らずか、火竜の背から飛び降りてきた防火衣をまとって目もとのみをのぞかせている青年が、大声を張って訊ねた。


「中に人は? だれか取り残されていないですか?」

「消し止めに入ることもできなかったんだ」


 濡れた帆を八人がかりで抱えている下男のひとりが、半身をずぶ濡れにしながら答えると、青年はうなずく。


「ではさがって!」


 いちおうは消防士の指示であるので、両手を広げた青年に従って人々は後退した。側壁からも煙がにじみはじめた、いよいよ本格的に燃え盛る倉庫へ、赤いドラゴンが首を巡らせる。


 人の流れに逆らって前へ出てきたのは、ドルマゴイ氏その人であった。


「ま、まて、わしの商品をどうするつもりだ!?」

「死にたくなければさがりなさい!」


 青年は有無をいわせぬ一喝を浴びせ、ドルマゴイ氏をたじろかせた。口を半ば開いたまま顔色を失った主人の肩を、三つ揃いを着込んだ執事とおぼしき年配の男性が支えて、人垣のほうへと戻る。


 人々が安全圏まで退避したのを確認して、青年はドラゴンのほうへ声をかけた。


「バーンアウト、たのむ」


 それに応えて、赤竜はすさまじい勢いで息を吐いたが、それは文字通りの吐息であって、鉄を溶解どころか蒸発すらさせる、灼熱の白閃ではなかった。

 暴風にひとしい赤竜の呼気を浴びせられ、火焔が渦を巻くのではないかと人々は身を伏せかけたが、猛炎はまるでロウソクの火であるかのように吹き消されていた。


 なにごとが起きたのかわからず息を呑んで立ち尽くす人々を尻目に、ドラゴンはドルマゴイ商会の人足たちが用意していた濡れ帆を前肢の鉤爪でひっかけると、頭突きで倉庫の入り口を拡張して中へ入っていく。


 しばらくして、穴の空いた天井から火竜の頭がのぞいた。


「余熱でまた火が出るかもしれん。いまのうちに濡れた布でくすぶっているところを全部覆うのだ」

「よし、いきましょう皆さん。くれぐれも気をつけて!」


 右腕を振って突入の合図をし、消防士の青年が倉庫の入り口へと駆け出した。


『お、おう!』


 ドルマゴイ商会の使用人たちが、バケツや濡れたリンネルの大布を抱えてつづく。帆をあと二、三枚――いや、あるだけ持ってこい、などと指示が飛び、消火活動が本格的にはじまった。



 燃え殻も冷え、完全に鎮火がたしかめられたころには、東の空が白みだしていた。夜通し働きつづけた人々が半焼した倉庫のまわりで思い思いに座り込んで疲れをいやす中、消防士の青年はドルマゴイ氏へ説明をしていた。


「――火竜は体内に溶鉱炉のようなものを持っていて、吸い込んだ空気に含まれる燃素を完全に焼尽させることができるんです。そうして不活性になった空気を吹きつければ、火は燃えつづけることができなくなって消えてしまう。でも燃素は生物の呼吸に必要なものなので、人が残っているときは使えません。炎と一緒に窒息してしまいますから」

「ふうむ。しかしなぜ火竜だったのだ。水竜や氷竜なら、一発で完全に消し止められたのではないのか?」

「それはもちろん、あなたの大切な商品を守るためですよ、ドルマゴイさん。火だけを消しても、水浸しになっては価値がなくなってしまうものもあったでしょうし、高熱のところに冷気のブレスを吹きつけたりしたら、陶磁器は全部割れてしまうところでした」


 当然といった顔で消防士の青年は答え、ドルマゴイ氏はドラゴン消防団があくまでもシップルーフ保険会社の傘下であることを思い出した。


「焼失した商品のぶんの保険金はシップルーフ保険会社が責任を持ってお支払いします。保険契約時にご提出いただいた商品目録と照合する作業がございますので、お手数ですがお立ち会いをお願いしますね。担当者は朝になればこちらへ参るはずです」


 曙光の中、防火頭巾を脱いだ若々しい顔に営業スマイルを浮かべて青年は告げ、ドルマゴイ氏は長い厄日がまだ落着までは遠いことを悟った。


    ****


 シップルーフ保険会社から支給された金一封を手に、青年が相棒の棲む岩屋を訪ねたのは、ドルマゴイ商会の倉庫火災を消し止めてから一週間たった非番の日のことであった。


 かつては大海賊団が根城にしていた海岸の洞窟を、溜め込んでいた財宝ごと赤竜のバーンアウトが接収したのは二世紀ほど以前の話だ。海賊が掃除されたおかげで、はるか南の香海を迂回していた西方大陸との交易路が直線的に変わり、港町――今日のバウンズリィポートが発展する基盤となったのである。


 バウンズリィポートの人々にとって、バーンアウトは長いあいだ守護神であると同時に畏怖の対象だった。海賊団を壊滅させてくれたことはもちろん歓迎だったが、洞窟を乗っ取った赤竜はそのまま無言で占拠をつづけたのだ。

 以前に海賊の被害を受けた商船の荷主が盗品の返還を交渉しに出向いたが、それは手厳しく追い払われた。海賊になり代わってドラゴンが新航路をゆく船を襲うのではないかという憶測が、ライバルの隆興を望まぬ旧航路沿岸の商都から意図的に流されたりもして、人々は一時、疑心暗鬼にとらわれることになった。

 バウンズリィポート市となった町の初代市長に就任したギルフォードは、しばし悩んだのちに、むしろこちらから貢ぎ物をして海路の安全を確保してもらおうと洞窟を訪ねた。


 海賊の略奪品をもとの持ち主に返還する義理はないが、これ以上の財宝に興味はない――ギルフォードに対してバーンアウトはそっけなく答えて貢ぎ物をことわり、しかし船を襲うことはないと確約した。航路の変換は決定的となり、以後バウンズリィポートは繁栄をつづけたが、ドラゴンは無愛想な沈黙をその後百年以上に渡って貫いたのである。


 財宝の山をかきわけながら洞窟の奥へ進んできた青年に対して、バーンアウトは枕にしていた金貨の山から面倒くさそうに首をもたげた。


「そんなはした金は必要ない。おまえが使え、ツェイン」

「ぼくのぶんはぼくのぶんで、ちゃんと出てるからいいんだよ。契約は細目に渡るまできちんと履行するっていうのがドラゴンのモットーだろう? 報酬を受け取るのも契約の一環だよ」


 ツェインと呼ばれた青年は、そういって臨時報奨金の納められた封筒を振る。適切な防火出動によってシップルーフ保険会社の支払いを低減させたことに対する、ボーナスだ。


「だったら、その金で珊瑚諸島の黒糖酒をひと樽買ってきてくれ。釣りはやる」

「明日はシフトじゃないか。自分で買いにいきなって」

「消防団の屯所以外に立ち寄る気はない」


 赤い竜は面白みのない返答に終始し、ツェインはため息をついた。


「バーンアウト、もうすこしくらい愛想をよくしてもいいだろ。だからいまだに、なにか企んでるんじゃないかとか思われるんだよ。たまにぼくまでうさんくさい目で見られる」

「私はおまえ個人と竜と竜使いとの契約をしたのであって、バウンズリィポート市に対するなんらの義務も負ってはいないし、消防団の成員になった憶えもないぞ」

「なにか特別なことをしなきゃならないなんてことはないさ。子供たちを背中に乗せて市内を練り歩くとか、お祭りのパレードに参加して山車を担がなきゃいけないとか、そういうことじゃないんだ」

「そんなことをするくらいなら、町を灼き尽くし、悪竜として討たれるほうがマシだな」


 バウンズリィポートの人々が聞いたら、やはりこいつはよこしまな存在だったかと早合点されそうな毒舌を吐いたバーンアウトだったが、ツェインは相棒が恥ずかしがり屋の偽悪趣味者であるだけなのだと知っていた。感謝されるのを嫌がっているのは照れ隠しなのだ。


 ツェインはバーンアウトのやさしさを知っていた。十五年前、まだ幼かったツェインを乗せた船が難破したとき、ただひとり大海原に浮かんでいたところを助けてくれたのがバーンアウトなのだ。

 ツェインの両親をはじめ、ほかの人々は、バーンアウトが救助に駆けつける前にすべて海に呑まれてしまった。それ以降、バーンアウトは人知れず海上を飛び回ることが増えている。今度いつ何時起こるかわからない海難事故にそなえているのだ。


 ツェインはそのことを察しているが、相棒に対しては気づいていないふりをしているし、周囲に吹聴もしていない。


「ここに置いていくからね。いらないなら救貧会の募金箱にでも放り込めばいい。でも自分でやるんだよ」


 そういいおいて封筒をユニコーンの角で作られた燭台にひっかけ、ツェインは竜の洞窟をあとにした。



 バウンズリィポートの港町に戻り、非番だけれど消防団の屯所へ顔を出したツェインへ、


「おかえり。どこいってたの」


 と、声をかけてきたのは水竜のテンペストロアだった。

 いつも消防会館の中庭にある池に浸かっている彼女は、ドラゴン消防団の看板娘的存在だ。そもそもこの池を気に入って、某伯爵家の邸宅であった館をポケットマネーで買い取ってしまったのはテンペストロアで、シップルーフ保険会社の一部署である消防団は、形の上では無償で間借りしている。


 気難しい相棒とはちがい社交的で鷹揚な性格の大家さんへ、ツェインは有り体に事実を告げた。


「こないだのぶんの金一封が出たから、バーンアウトのところへ届けにいってたんだ」

「あんな唐変木とはわかれて、あたしと組まない?」


 月下の海を思わせる眼にまんざらでもなさそうな色をたたえるテンペストロアだったが、ツェインは苦笑して応じた。


「テンプには、ぼくじゃなくてもいくらでも乗り手候補がいるでしょう。せっかく竜使いになれたばかりのレイリィが泣いちゃうよ」

「レイリィも悪い子ってわけじゃないけどね。あのバーンアウトを娑婆に引っ張り出してきた人間に、あたしたちはみんな興味津々なんだから」


 どうやら、同族から見てもバーンアウトはつむじ曲がりのドラゴンのようだが、ことさら自分に特別なところがあるとは感じられないツェインは、小首をかしげた。


「名誉なことだと受け取っていいのかな。べつに、バーンアウトにとってぼくは単なる人間のひとりに過ぎないと思うよ。でもぼくはバーンアウトじゃないと駄目なんだ」

「あらん、妬けるいいかたねえ。あなたをバーンアウトから奪って、あいつが火を吹きまくるところを見てみたいわ」

「ぼくを取られてバーンアウトが怒る? そんなことあるかな」

「ないと思うなら試してみない? あいつ、嫉妬に狂って大暴れするわよ」


 くすくすといたずらっぽく笑うテンペストロアへ、ツェインはにこやかな表情ながらきっぱりと首を左右に振った。


「人間にとって竜使いになるっていうのはステータスだと思うけど、ぼくは竜使いになりたかったわけじゃないんだ。バーンアウトと一緒に空を飛びたかったんだよ」

「つれない上にはっきりいう子ねえ。ドラゴンに乗れるんならなんでもいい! っていう、そんな人間ばっかりだってのに。まあ、その一途なところに惹かれるんだけど」

「それならそれで、ここでぼくがあっさりうなずいたら興ざめってことだよね」

「……こまっしゃくれたことをいってくれるわねえ。見てらっしゃい、そのうちあなたを陥としてやるんだから」


 なかなかに露骨な色目を使ってくるテンペストロアに対し、ツェインはあくまでも社交辞令的な笑顔のままで言質を取らすことなく話を切りあげた。



 池の脇を通り抜け、旧伯爵邸の母家、消防会館の戸口をくぐるなり、いきなり横合いから手が伸びてきて、ツェインは袖をつかまれた。なにごとかと思う間もなく、袖をつかんだ相手は布地を鼻にあててくんくんと匂いをかぐ。


「……特になにも臭わないわね。人間じゃわからないだけかしら。なんであんただけドラゴンフェロモン発散してるワケ?」

「レイリィ……?」

「だってそうでしょ。なんでテンプがあんな露骨にデレてるワケ? しかもあの口ぶりだと、ほかのドラゴンもあんたのことが気になってしょうがないんでしょ? だいたいにして、どっから見ても悪いこと企んでる、あの陰険バーンアウトの洞窟にノコノコ出かけていって『契約してきましたー』っていうところからおかしいのよあんた!」


 ツェインが目をしばたたかせているあいだに、少女は一気にまくしたてる。どうやらテンペストロアとの会話を盗み聞きしていたらしい。


「おかしいっていわれてもなあ。ぼくはなにも特別なことはしてないよ」

「そんな見え透いたイイワケがこのわたしに通用するとでも思ってるの!? 白状なさい、どんな裏テクを駆使すればドラゴンというドラゴンをデレさせることができるっていうのよ?!」

「狙ってドラゴンと仲良しになれる方法なんていうのが存在するなら、とっくにぼくより先にだれかが実践してるって。ドラゴンの好意を自在にコントロールできたら、その人間がとっくに世界中の王さまになってるとは思わない?」


 理詰めで説かれてレイリィは納得しそうになったが、ふるふると頭を左右に振って疑わしげな表情を取り戻した。


「人間が思いつくようなレベルじゃドラゴンをデレさせることができないってだけのことだわ、きっと。あんたもつまり、自分じゃわかってないってことなんでしょう。いいわ、あんたを観察して、わたしがドラゴン必デレの法を見つけ出してみせる」

「ぼくを観察してる暇があるなら、その時間で自分を磨くほうが竜使いとして早く成長できると思うけどな」

「……そういって目を逸らさせようとするってことは、やっぱりあんたなにか隠してるわね」


 腕を組んで半眼になり、レイリィはえぐるような視線でツェインの全身を走査する。ツェインはたまらず両手を挙げた。


「なにもないってば。……いいよ、気がすむまでストーキングすればいい。時間の無駄になるだけで、参考にはならないだろうけどね」

「勘違いしないでよ。わたしはドラゴン必デレの法を発見したいだけであって、あんたに興味があるわけじゃないんだから! ――とりあえず、ランチはあんたと同じメニューにするわ。ドラゴンフェロモンが出てるとすれば、あやしいのは食べ物なんだから。さあ、どこへ食べに行くの? それともお弁当? お弁当なら、半分もらうからね」


 どうやらしばらくつきまとわれることになりそうだ、と、ツェインは肩をすくめた。お風呂で使う石鹸の種類や、身体を洗う順番やら、就寝前後の習慣にまで調査対象を広げないでくれればいいけれど。


    ****


 さらに一週間たった。レイリィはツェインの観察をあきる気配もなくつづけていた。

 ツェインのほうはふだんと同様に消防団の務めをこなし、非番のときはつきまとってくるレイリィにつきあっていたが、


「おや、とうとう人間の女の子にも惚れられるようになったか」


 だの、


「だめじゃないかちゃんと相手してあげなきゃ」


 などと、事情を知らない人や、知っていてからかってくる人にからまれる。

 そのたびに、


「ちがうわよ! わたしが興味あるのは、こいつ自体じゃなくって、こいつのドラゴンフェロモンの出所なんだから! ……ほら、わたしはここにはいないものと考えなさい、もっといつもどおりに行動するのよ!」


 とレイリィが割り込んできて、あらたな誤解の種ができたりできなかったりした。


 ドラゴンが出動しなければならないような大火事はそうそう起きるものではないが、それでも消防団の仕事は暇なものではなく、ツェインとレイリィの休みが重なる日はめったにないのだが、レイリィは自分が非番のときは消防会館にやってきてツェインの観察をつづけるし、彼女がシフトでツェインが休みのときは「とくに用事がないなら詰め所にきなさい」と強引なことをいってくる。

 もっとも、ツェインはもとから暇なときは非番の日でも消防会館に立ち寄ることが多かったので、とくにレイリィにいわれるでもなく会館中心の生活を送っていたのだが。


 そんなとある日の午後、非番だけれど消防会館へやってきて、もと貴族の館ゆえの長い回廊を掃除していたツェインの耳に、聴きなれた羽ばたきの音が響いてきた。

 中庭のほうを見てみると、案の定、大きな影が降下してくる。バーンアウトだ。ひねくれものの赤竜は、休みの日にわざわざ相棒のところへ飛んできたりしない。時間の許す限り海上を哨戒飛行して異変がないか目を配っている。つまりなにか見つけたのだ。


 駆け足で中庭へ出てきたツェインの姿をみとめて、バーンアウトは抑えた声ながら急いだ様子でこういった。


「スーラ島のあたりで煙が空に立ち上っている。まずまちがいなく火災だ」

「わかった。みんなに知らせなきゃ」


 応えてツェインは会館の建物へ戻ろうとしたが、バーンアウトは首を左右に振る。


「業務出動にはなるまい。火が出ているのはおそらく島の貧民街だろう。シップルーフ保険会社に掛け金を支払っている住民はいない。我々は非番だ、消防団とは関係なく動ける」

「でも、ぼくたちだけじゃたぶん手が足りない」

「だれが出動費用を出すんだ。貧民街の住民にそんな大金は請求できないぞ。しょせんこの消防団は金持ちのための組織だ」


 醒めた、というよりは冷めたいいかたをするバーンアウトだったが、ツェインは首を振った。


「そんなことない。ちょうどシップルーフさんが会館にきてるんだ。一分で話をつけてくる、ちょっとまってて」


 そういいおいて会館の中へ駆け戻り、防火衣をハンガーから引ったくるように取って走りながら着込みつつ、ツェインはふだんは空いている消防団長室のドアを開けはなった。


 シップルーフ氏は初老の紳士然とした人物で、すでに中庭に降りてきたバーンアウトの姿に気づいて窓際に立っていた。

 ドアが開いた音に振り向いて、落ち着き払った声で問うてくる。


「ツェインくん、きみはたしか非番だったね。防火衣を着込んでどうしたのかね」

「スーラ島で火災が発生しているそうです。バーンアウトが報せにきてくれました。出動の許可をください」


 単刀直入に用件のみを告げたツェインに対し、やはりというべきか、シップルーフ氏はこういった。


「きみらが独自の判断で出動するぶんにはかまわんよ。備品も好きに使ってくれていい。しかし、シフトに入っているほかのドラゴンたちまで出動させるわけにはいかないな」

「火を消し止めて人命救助をすれば、会社の評判があがります。無償でやっても損にはならないでしょう」

「しかし契約外の現場に出動しているあいだに、本来のクライアントの物件で火災が起きたらどうするかね」

「待機中の全員を貸してくれとはいいません。あとひとりかふたり――」


 道楽でドラゴン消防団を作ったわけではなく、商売の一環なのだから、客の物件ではないところの火災に関してシップルーフ氏が消極的なのもわからなくはない。だが、これはあまりにも木で鼻をくくった応答ではないか。


 バーンアウトのいうことのほうが正しかったのかと、ツェインがいらいらとしてきたところで、


『あたしがいくわ。家賃のぶんだと思えばいいでしょう、シップルーフさん』


 と、机の上に置いてある通信用の水晶玉から声が聞こえてきた。テンペストロアだ。どうやらいまは見回りの最中で、空を飛んでいるらしい。

 シップルーフ氏はふむぅ、とひとつ鼻を鳴らしてから、うなずいた。


「きみに頭はあがらんな、テンプ。わかった、きみたちふた組で消火に当たってくれたまえ。費用はすべてシップルーフ保険会社で持つ。もし手が足りなければ応援要請も受けつけよう」

『それでいいんですよシップルーフさん。器量の大きいところを見せて悪かろうはずはないんですから。さあ、ツェイン、あたしたちは上空にいるから、たぶん現場には先着できるわ。あなたたちも急いで』

「了解」


 おざなりな敬礼をシップルーフ氏へ施してから、ツェインも回れ右で駆けだした。



 ツェインは相棒の背に飛び乗ったのは、一度会館の中へ戻ってから一分と十五秒後だった。予定よりちょっと時間がかかったが、バーンアウトはこういってくれる。


「十五秒の遅れでテンペストロアの協力を取りつけられたなら上首尾だ。おまえが話をしなければこうはいかなかっただろう」

「シップルーフさんは悪い人じゃないよ。ただちょっとお金が好きなだけで」

「私は気に入らんな。あの男がどうというわけではなく、保険屋なる商売のやり口が」

「共済保険の考えかたはうまい仕組みだと思うけどな。不測の事態っていうのはいつか必ず起きることだし」

「まあ、そんな話はあとにしよう。飛ばすぞ」


 もちろん話しているあいだにバーンアウトは消防会館の中庭から離陸していた。町へ暴風が吹きおろさないだけの高度を確保して、力強いストロークで羽ばたき、速度を一気にあげる。

 すぐに、バウンズリィポートから東に三マイルほどのところに浮かぶスーラ島が見えてきた。あまり大きくない島の一隅が、はっきりと煙に覆われている。火災はかなりの規模のようだ。


「やはり貧民街のあるあたりだな」

「いそごう。あそこに石組みやレンガ造りの建物はほとんどない。木造ばっかりだ」


 島の住民の多くは、毎日乗り合い連絡船でバウンズリィポートへやってきて日雇い仕事をしている港湾労働者だ。バウンズリィポートはもともと広くない町のうえに、商館と倉庫だらけなので、家賃が高くて労働者ではなかなか住宅に手が届かない。短い距離とはいえいちいち海を越えてこないといけないスーラ島は条件が悪いので地峡側より家賃が安く、とくに貧乏人が多いのだ。


 バーンアウトは高度をさげ、火災現場へ近寄っていく。すでにテンペストロアが消火活動をはじめていた。長いしっぽを海へとたらし、口から放水している。水の粒子と親和性の高い彼女ならではの芸当だ。

 赤いドラゴンに気づいて、口がふさがっているテンペストロアの代わりにレイリィが大声を張った。


「テンプだけじゃここで食い止めるので精一杯よ! もう一番ひどいあたりは燃え尽きるのを待つしかない。バーンアウト、不活性気ブレスで火の勢いを抑えてから、延焼地帯の建物を破壊して! とりあえずこれ以上火災域が拡大しないようにするの」

「避難誘導はどうなってる」


 羽ばたきの風で炎をあおらないように地面へ降り立ち、バーンアウトが訊ねた。レイリィは、周囲の人だかりをしめしながら応える。


「下手に消火しようと粘らなかったのがよかったみたいね。おかげでこのありさまだけど」


 レイリィのいうとおり、野次馬はほとんどいないようで、逃げ出してきたのだろう、両手に荷物を抱えた人の姿が目立つ。老人と子供ばかりに見えるが、この時間は大人たちはほぼ務めに出ているはずだ。


「ここはお願いします、テンプ、レイリィ。いこう、バーンアウト」


 うなずいて、ツェインはバーンアウトをうながした。


「うむ」


 と応えて、火竜は四肢で地面を蹴る。


 上空から、状況はだいたい把握できていた。

 テンプとレイリィがいたのは貧民街の南の端で、港に面した市場や商店の建ち並ぶ街区への延焼を防いでいる。火元は貧民街のほぼ中心部だ。狭い島なので、北側はまたすぐ海に面している。東西へ燃え広がらないようにできれば、被害を最小限に食い止められるはず。


 バーンアウトはまず貧民街の東側へ向かい、窒息ブレスで火の勢いを殺すや、頭突きと左右の鉤爪、それに長大な尾を打ち振るい、炎が燃え移りかけていた家々を、片端から一直線にたたき壊しながら突き進んだ。

 さらに崩れた残骸へ超高温の熱線を吐きつけて、一瞬で燃え殻へと変えてしまう。火災域とまだ無事でいる地域をへだてて、これ以上燃えようのない灰の帯ができた。


 たちまちのうちに防火帯が完成し、延焼を免れた地域の住民たちはバーンアウトへ大喝采を送った。いっぽう、焼け落ちる運命は免れようもなかったものの、最後の引導をドラゴンによって強制的に渡された家屋の住民たちは呆然としていた。

 中には燃えかかる我が家からなけなしの家財を運び出そうとしていた人もいたのであるが、巨大な赤竜が突き進んできたのでたまらず離れたら、あっという間に取り壊され、そのうえ灰に変えられてしまったのである。


「これ以上の火災拡大を防ぐためのやむを得ない処置です、ご了承ください。シップルーフ保険会社にご相談いただければ補償協議には応じます」


 さりげなくシップルーフ氏へ難題を押しつけつつ、ツェインは防火帯形成の犠牲になった家々の住民へ頭をさげた。さすがにこの場で人々の反応を確認している暇はない。バーンアウトは一度北の海側へ飛び立ち、火災現場の中心部を迂回して、今度は貧民街の西部に着地した。


 こちらの火災の最前線へも不活性空気を吹きつけようと、バーンアウトは大きく息を吸い込んだが、そこで動きを止める。


「……どうしたの?」

「人がいるぞ」


 相棒の声にツェインは驚いて目を凝らしたが、燃え盛る炎の揺らめきのほかに動くものは見えてこない。防火頭巾をすこしまくって集音しやすい形にしても、助けを求める声は聞こえてこなかった。だがドラゴンの知覚能力は人間を大きく凌駕している。バーンアウトのいうことにまちがいはないはずだ。


 ここでも、避難してきた住民たちの人だかりができている。バーンアウトの背から降り、逃げ遅れがないか訊ねようとツェインがそちらを見たところで、人垣の中から女性が飛び出してきた。


「うちの子がどこにもいないんです!」

「あなたのご自宅は?」

「この先の――ああ、燃えているのが見えます、あの共同住宅インスラです!」


 ツェインに問い返されて女性が指さす先には、炎に包まれつつある四階層くらいの木造建築物が見えていた。無秩序な建て増しが繰り返された、多重に折り重なる貧乏長屋の集合体だ。


「たしかに子供の泣き声のようだな。まだ無事のようだ」


 と、バーンアウトもうなずいた。ここで不活性気ブレスを吐いたら、火災と一緒にその子も息が詰まってしまう。


「助けなきゃ」


 そういうやツェインは駆け出そうとしたが、バーンアウトが翼を広げて前方を遮った。


「待て。人間では無理だ、私がいく」

「……わかった。バーンアウト、たのむよ。これを羽織らせれば、多少の火と熱は防げる」


 うなずいて、ツェインは自分の防火衣を脱いでバーンアウトへ渡した。それを右の前肢にひっかけて、バーンアウトは燃え盛る火焔の中へと進んでいく。


 共同住宅インスラへ近寄っていく前から、バーンアウトのすぐれた視力は要救助者を捉えていた。

 まだ五歳くらいの男の子だ。なにやら、ぬいぐるみのようなものを抱えている。おそらく、大事なものであるそのぬいぐるみを取りに、逃げ出す途中で戻ってしまったのだろう。板きれにしがみついて波間にゆられていたときの、幼いツェインの姿がドラゴンの脳裏によぎった。


 さいわい、この一帯ではかなり高いほうの建物だった共同住宅は、下層部こそすっかり炎に呑まれていたが、上階にはまだ火が回っていなかった。男の子がいるのは屋上だ。

 さすがに四階建ての屋上となると火竜の巨体よりも背が高い。バーンアウトは首を伸ばし、男の子へ声をかけた。


「さあ、早く私の頭に乗るんだ」


 ところが、男の子は怖がって後じさりしてしまった。


「ど、ドラゴン……!?」

「うむ。私はたしかにドラゴンだ。よくものを知っているな、えらいぞ坊主。正解のごほうびに背中に乗せてあげよう。さあ、こっちへきなさい」


 慣れない勝手ながら、どうにか子供をあやそうとしたバーンアウトだったが、男の子は首を左右に振る。


「うまいこといって、ぼくをだまして食べちゃうつもりなんでしょ。そうはいかないよ」

「こらこら、そんなことをいっている場合じゃないだろう。私は赤竜だからなんともないが、坊主、おまえはこの火事では丸焼けになってしまうぞ」


 なだめすかすのが駄目ならばと、おどしにかかったバーンアウトだったが、ドラゴンのことにはそれなりに詳しいらしい男の子には逆効果だった。


「そうか、この火をつけたのもきみなんだね。わるいドラゴンなんだ」

「ちがうちがう。私はドラゴン消防団のものだ。赤竜だが火つけの真似などしないぞ。ドラゴン消防団を知らないか?」


 あわてて首を左右に振ったバーンアウトに対し、男の子は首を縦に振る。


「しってるよ。みなとまちのおまつりのとき、テンプはぼくをせなかにのせてくれるんだ。ヴァイスやクラウのこともだいすきだよ。でもあかいドラゴンなんて、ドラゴンしょうぼうだんにはいないもん。おまつりのときに見てないもん」

「私は……そう、ついこの前ドラゴン消防団に入ったのだ。去年の祭りのときはまだ消防団のドラゴンではなくてな。今年の祭りは来月だろう?」


 いちおうこれは嘘ではなかった。ドラゴン消防団が結成されたのは去年の祭りの直前だし、そのときはまだバーンアウトは海岸の洞窟に引きこもっていた。じつはいまでも正式な団員ではないのだが、それは消防団が悪いのではなくバーンアウトが渋っていたせいである。


 ようやく、男の子の警戒心が解けかけてきた。


「ほんとに? ほんとにしょうぼうだんのドラゴンなの?」

「本当だとも」

「じゃあ、つぎのおまつりのとき、ぼくをせなかにのせてくれる?」

「ああ、もちろんだ」

「おみこしかついでくれる?」


 港祭りのパレードに参加して山車を担ぐくらいなら町を灼く、と、この前にツェインへ放言していたことを思い出したバーンアウトだったが、覚悟を決めてうなずいた。


「……ああ、約束する」


 その返答に、男の子の顔がぱっと明るくなった。バーンアウトのほうへと駆けよってくる。


「やったー! ねえ、きみのなまえはなんていうの? ぼくはリオンっていうんだ」

「私はバーンアウトだ。わが竜使いの名はツェイン」

「あ、ツェインにいちゃんのことはしってるよ! そっか、きみはツェインにいちゃんのドラゴンだったんだ。わるいドラゴンなんかじゃなかったんだね」


 リオンはバーンアウトの頭の上に乗ると、しっかりと角をつかんだ。

 ツェインの防火衣をリオンに羽織らせて、バーンアウトは炎の環を突破して西地区の人々が待っているところへと戻る。

 ドラゴンの頭の上からリオンが手を振ってみせると、固唾を呑んで見守っていた人々から、猛火の発する音を上回るほどの大歓声があがった。

 母親のもとへリオン坊やを送り届け、防火衣を着込んだツェインが再びバーンアウトの背に乗ったところで、巨きな影が大地をよぎる。あらたなドラゴンが島の上空へ現われたのだ。


 白竜のノルデンスヴァイスと嵐竜のクラウドバーストだ。テンペストロアが連絡を取ったのだろう。シップルーフ氏が出動許可をくれたのか、二竜ふたりが自主的に協力しようと飛んできたのか、どちらかはわからないが、頼れる救援であることには変わりない。


 これでもう大丈夫だ――と、安堵した人々と一緒に二尾のドラゴンへ手を振ってから、ツェインは指示を発した。


「火を消すのはヴァイスとクラウに任そう。ぼくらは逃げ遅れた人がほかにいないか捜すんだ」

「わかった。いくぞツェイン」


 テンペストロアたち水や冷気のエレメントの力を持っているドラゴンは、火を消すのは得意だが熱いのは苦手だ。バーンアウトは焼け崩れそうになる木造家屋を頭突きで倒し、火災地帯の中へ飛び込んで救助活動を開始した。


    ****


 スーラ島の火災は、その規模からすれば奇跡的といっていいほどのわずかな被害を出しただけで消し止められた。

 貧民街は三割がた焼けてしまい、人的被害もさすがにまったくゼロというわけにはいかなかったが、ドラゴン消防団の活躍は沿海地域一帯で永いあいだ語り継がれることになる伝説となった。

 延焼を免れた港湾地区の富豪たちが義援金を出して、焼け落ちた地域は早急に、かつ防火の観点からもある程度計画的に再建されることが決まった。


 そして、今年もバウンズリィポートの港祭りの日がやってきた――


 竜族というのは、約束を決してたがえることのない生き物である。たとえ、それが年端のいかない子供と交わした口約束であっても。

 気難しくて腹の底でなにを考えているやらわからない、不気味なドラゴンだと思われていた火竜のバーンアウトが、じつは子供好きでやさしい性分なのだということを知って、人々はたいそう驚いた。


 バーンアウトは招待されたスーラ島の子供たちを背中に乗せて登場し、市中を練り歩いてちびっ子たちを大喜びさせ、派手に飾り立てられた山車を担いでパレードにも参加した。祭りのあいだ中、赤い竜の頭の上には、五歳くらいの男の子がずっと乗っていたという。


    ・・・・・・・・・・


 現在のバウンズリィポートの中央広場、かつて消防会館のあった場所には、沿海地域一帯の伝説の英雄である竜使いツェインの銅像が立っている。

 そのとなりに火竜バーンアウトの像がなぜ立っていないのかといえば、あまりにも大きくて作るのが大変だし置くところもないからというのも理由のひとつではあるが、年に一度、港祭りの日になれば、いまでも子供たちのために海岸の洞窟から本人(本竜?)がやってきてくれるからである。


 かつて竜使いレイリィが探求していた「ドラゴン必デレの法」が発見されたという話は伝わっていないけれど、この地においては、いまでも竜族と人間との好ましい関係がつづいている。


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