八話 変態の住む神社
@雑魚ベー視点@
今日は新しい年の始まりである元旦。現在は午前四時なのですが、私は寝ずにある物を作っています。
ちなみに場所は、ある島に居ます。
この島は小さく、建築物は勇者社と一つの大きな寺しかありません。
それに、他の島と繋がる道がないので、来る時は船でしか来れませんよぉっ!ちなみに食料はこの島の勇者社で買えますけどねぇ。
「そして、遂に完成しましたよぉっ!」
そう、建設途中だったアミュリー神社が遂に完成したのですよぉっ!
「朝から騒がしい!特技、アイススイート!」
[ズガガガガガガガァッ!]
「へびおばけっ!」
雨双さんの、家一つを吹き飛ばせそうな冷凍光線で私は吹き飛びますが、私の為の攻撃ですから、ありがたく受け取りますよぉっ!
「あ、ありがとうございますねぇ」
「…何故、吹き飛ばされて礼を言っているんだ?」
ははは、そんなの決まってますけどねぇ。
「雨双さんの愛を感じれたからですよぉっ!」
「要するに喰らい足りないのか。秘技、文明氷化!」
[ズドオオォッ!]
「ぬめりがふうぅっ!」
雨双さんを中心に、辺りが大波のような氷の嵐に飲み込まれていきますねぇ。私は巻き込まれて死にそうですよぉっ!
「あ、少しやりすぎた」
恐らく、島全体に氷の粒や氷柱が落ちてますからねぇ。
「幽霊達にどう説明するべきだと思う?」
「そうですねぇ、今年は異常気象で氷が降り注いだ。とか言えば何とかなりますよぉっ!」
「そうなのか?なら、何か聞かれたら対応してくれ」
よし、これで雨双さんにあの役を頼みやすくなりましたよぉっ!
「で、神社は完成したのか」
「えぇ、もう完璧に完成しましたよぉっ!特星で一番の神社を名乗っても良いくらいですよぉっ!」
でも、特星に他の神社ってありましたかねぇ?
「しかし、一番を名乗るほど大きくも無いと思うなぁ。確かに一人で此処まで作ったのは賞賛に値するけど」
「一人作業ではこの大きさが限度ですからねぇ」
この神社は本殿の近くに、賽銭箱を置いただけの簡単な神社ですよ。あと、石段と鳥居がありますけどねぇ。
「私的には神社は本殿と、賽銭箱と、鳥居と、石段と、少女があれば十分ですけどねぇ」
「待て、石段と少女は必要ないんじゃないか?」
「いえいえ、石段は鳥居を通った後に上りますし、少女には巫女服か神の衣装を着せるのが、神社では当たり前ですよぉっ!」
ちなみにアミュリー神社は、それらを全て備えてますからねぇ。神社としては最高の場所ですよぉっ!
「最近の神社は巫女少女が少ないですからねぇ。前から不満に思ってたんですよぉっ!」
「少ないというか、ほとんどの確率で無いと思うぞ」
だから、神社の必要最低限を取り入れたんですよぉっ!
「良く見ると、賽銭箱の前まで続く石の道があるな」
「しかも石段もちゃんとつけてますよぉっ!」
「あれ、此処って石段を作れるほど高い場所だったか?」
お、流石は雨双さん、その事に気がつきましたか!
「実は特星中の公園の砂場から砂を運んだんですよぉっ!」
「どうして砂場の砂なんだ?」
そんなの決まってるじゃないですか。
「砂場の砂を求めて少女達に、此処に来てもらう為ですよぉっ!」
「あー、そう」
雨双さんが呆れたような表情をしますが、心の中では驚いてるんでしょうねぇ。
「それにしても、賽銭箱や鳥居は買ったのか?それとも、手作りなのか?」
「その二つは魅異さんからの貰い物ですよぉっ!」
「魅異さんがお前に?」
雨双さんは何か考え込んでしまいましたねぇ。私は少女にしか興味はないから大丈夫ですよぉっ!
「その他の材料なども全て魅異さんから貰った筈ですけどねぇ」
「何か企んでるのか?もしくは魅異さんの偽者?」
雨双さんは少々混乱中のようですねぇ。
「まぁ、魅異さんの事ですから、面白い事が起こると予想してるんでしょうねぇ」
「その可能性は十分にあるな」
なんて話してる間に五時になりましたねぇ。
「…………あ、神社が完成したんですね」
おぉっ、一人目の参拝少女は記紀弥さんですねぇ!
この人はこの島の持ち主の人で、毬 記紀弥という人ですよぉっ!小学生ですが、飛び級で大学生の扱いらしいですねぇ。
今の姿は人間ですが、幽霊になったり人間になったりする事ができるんですよ。これはこの島に住む幽霊の特性ですけどねぇ。ちなみにこの島の寺に住んでるんですけど、その中でも一番偉い幽霊なんですよねぇ。ちなみに此処の土地は記紀弥さんに譲ってもらったんですけどねぇ。この島の勇者社以外の土地は記紀弥さんのものなんですよぉっ!
能力は有利と不利を操る能力で非質系ですよぉっ!
会話での反応が少々遅いのが特徴ですねぇ。
「記紀弥さぁん!明けましておめでとうございます!」
今は幽霊状態じゃないから、抱きつきにダッシュで走りますよぉっ!
「特技、アイススイート」
[ズガガガガガガガァッ!]
「しょうじょしょうぅっ!」
背後からの一撃でも私は避けませんよぉっ!
「……どうも、明けましておめでとうございます、雨双さん」
「明けましておめでとう、記紀弥。しかし、年が明けるのはめでたい事なのか?」
「………さぁ?しかし、神社ができたのは、おめでたい事ですよ」
楽しそうな会話に私も混ぜてくださぁい!
「そうだ、二人に良い物をあげますよぉっ!」
「物で釣って誘拐するつもりか?」
雨双さん、私は物で釣るよりも、愛を語って誘拐する方が良いと思いますよぉっ!
「これですよぉっ!」
私が取り出したのはお年玉。やっぱり大人はこれをあげる義務がありますよねぇ。
「はい、どうぞ」
「……ありがとうございます」
「一応、ありがとう」
少女にお礼を言われるのは良いですねぇ!
「しかし、中身は一万セルしかありませんけどねぇ」
「微妙に嬉しい金額だな」
「……えぇ。あ、お賽銭を忘れてました」
記紀弥さんがお賽銭箱に五百セルも入れてくれましたよぉっ!
「って、何で土下座をしてるんだ?」
「いえ、五百セルもお賽銭箱に入れてくれたので」
子供で五百セルもあれば、九十セルのおにぎりを五つも買えますよぉっ!
「………大掃除をするので、私はそろそろ帰りますね」
記紀弥さんの家は寺ですから、掃除も大変でしょうねぇ。
「あ、雨双さんに着てもらいたい衣装があるんですけどねぇ」
「絶対に嫌だ」
あれ、服を見せる前に断られましたねぇ。
「あのー、どんな服か見ないで断るのは、どうかと思いますけどねぇ」
「どうせ巫女服か何かだろう」
「勝手に決め付けないで下さいよぉっ!まぁ、図星ですけどねぇ」
私の行動はお見通しなんですかねぇ?
「どうして私が巫女服を着ないといけないんだ。私はお前の趣味に合わせる気はない」
悪趣味ですかねぇ?
「でも、この服を着ると悪霊を追っ払えるらしいですよぉっ!他にも見てはいけないわけではないが、見ない方が良いものが見えるらしいですよ」
「明らかにインチキ商品だ。ってか、いくらだ?」
値段はあまり覚えてないんですけどねぇ。
「通販で三百万位でしたねぇ」
「そうか、二度と戻ってくるな。奥義、アイスレック」
[ズドオオオオオオオオオォォォン!]
「みこはくしゃくうぅっ!」
いやぁ、いつもより強力な一撃ですねぇ。豪華客船の一つや二つくらいなら吹き飛ばせそうですねぇ。
「ところで何処まで飛んでいくのですかぁっ!」
誰か止めてー。
このままではトラックに撥ねられて、雨双さんとアミュリーさんが悲しみますよぉっ!あ、トラックは空を飛びませんでしたねぇ。
「って、飛行機がこっちに向かって飛んできてましたぁ!」
[ガシャアアアアァァァン!]
ぶはっ、ガラスが目に入りましたよぉっ!
それにしても、飛行機のガラスって割れやすいんですねぇ。
「さて、パイロットも気絶していますし、このまま神社に直行ですよぉっ!」
でも、神社を壊さない場所に着地しないといけませんねぇ。
あの島の勇者社なら大丈夫ですかねぇ。
「おい、そこのお前、今すぐ俺達の指示に従え!」
「へへへ、パイロットは既に気絶してるな」
おや、全身真っ黒な男が二人現れましたねぇ。
「ちなみに乗客に助けを呼ぼうとしたって無駄だぜ。乗客に強力な能力者がいる事を考えて、予め全員がガスで眠ってるからなぁ」
「仲間も何人か眠ったけどさ」
睡眠薬の量には気をつけましょうね。
「貴方達は何者ですかねぇ?その姿と黒さはもしや、悟ンジャーブラックのファンですか?」
「違うわ!毎朝見てるけどファンじゃない!」
「見てるのかよ!」
この二人のコンビは強そうですねぇ。ボケとツッコミが下手だけど成り立ってますから。
「見てるけどファンじゃないんだって!で、俺達はハイジャックだ!」
「あー、遂に人間に進化できたんですねぇ、ジャック」
「誰がジャックだ!俺の名前はハイジャックだ!」
うぉい、本当にそんな名前だったんですか!
「お前、今まで俺を騙してきたのか!俺と会ったときはジャックと名乗ってたじゃないか!」
「すまない、実は途中で進化したんだ。身長が二ミリ伸びてたんだが、気付いてなかったから言い辛かったんだ」
「気付けるわけないだろ!」
そりゃ、気付けないのが普通ですって。
「ちなみにハイジャックと言うのは、犯行そのものであって、犯人たちの事はハイジャックとは言わないんですよぉっ!」
「えぇ、本当かよ!」
ハイジャックという名の、ボケてるほうの犯人は知らなかったようですねぇ。ちなみに私は少し前に教師をやっていて、その時に知ったんですよぉっ!他にも魔王になる時の試験でこの問題は出されましたねぇ。
皆さん忘れてるかもしれませんが、現在の魔王の職業は私がやってますからね!まぁ、時給はジュース一本買える位ですけど、普段どおりの生活で貰えるから、文句はありませんよぉ!
「おい、それよりハイジャックの方を忘れるな!」
「だから、それは俺の名前だ!………さて、俺達の言う場所に操縦しろ!」
ツッコミの方の黒によって、ボケの方のハイジャックがやる事を思い出しましたねぇ。
正直な話、操縦は勘でしかできないんですよねぇ。
「もし、断ったらどうします?」
「これを見ろ!」
ハイジャックが取り出したのは、危険と書かれたボタンです。
「これを押したら、乗客ごとまとめて、仕掛けた爆弾が大爆発を起こすんだ!特星とはいえ、海の上に落ちたら帰ってこれない場合もあるんだぜ!」
あぁっ!そんなボタンを私に見せたら駄目ですよぉっ!
[ピッ]
だって、押したくなりますから。
「って、押したあああぁぁっ!」
流石はツッコミ、すぐに反応しますねぇ。この人の反応のスイッチでしたか?
「いやぁ、押しちゃいましたねぇー。爆発ボタンとかを見ると押したくなるんですよ」
悪気は無いんですけどねぇ。
「その気持ちは理解できる!」
「するなぁ!」
ハイジャックさんは私の気持ちを分かってくれましたよぉっ!それに比べてツッコミに頑固な黒は納得してませんねぇ。
「まぁいいさ。そのスイッチは二連続で押さないと作動しないからな」
「分かった」
[ピッピッ、ドゴオオオオオオオォォォン!]
「お前もかぁ、ハイジャック!」
「いやぁ、悪気は無かったんだ。だから、反省もしてない」
私たちの他に、眠ったままのお客さんも海に落下中ですねぇ。
「もう、お前達は一度死ね!凄く苦しくなる毒でも飲んで死ね!そして女装でもして皆に笑われろ!」
黒の方はかなり精神が不安定ですねぇ。
「私は少女を愛し、少女に愛されながらなら死んでも構いませんよぉっ!魅異さんか東武さんに生き返らせてもらいますから」
「俺は女装しながらなら未練はないなぁ」
ハイジャックは悪趣味ですねぇ。少女に男装させるのなら、それに気付かれないようにする姿や、見かけと中身のギャップの差が可愛いですけどねぇ。あ、逆はもちろん論外ですけどねぇ。
「さて、あなた達とはお別れですよぉっ!必殺、変身!」
変身は私の衣装を変化させる技ですよぉっ!実は気付かれない速度で着替えてるだけですけどねぇ。
「おぉ、さっきの男が上半身裸のたくましい変態になった!」
「って、何で裸になるんだよ!」
今はパラシュートを取り出す事ができますよぉっ!ちなみにデフォルトでは全裸なんですが、自主規制で上半身だけを裸になるように、設定を変えたんですよぉっ!
「ハイジャック、黒、あなた達に会った事は今日は忘れませんよぉっ!」
「あぁ!」
「って、俺の名前は黒じゃない!」
二人の言葉を聞かずにパラシュートを使います。
「黒が何か言ってたような気がしますねぇ」
ま、気のせいですよね。
「パラシュートでフワフワしながら数時間。遂に島まで戻って来ましたよぉっ!」
それにしても海の上の空に、鳥が居るのは予想外でしたねぇ。
「鳥って電線に巣を作る生き物ですよねぇ」
全ての鳥がそうではないようですねぇ!
「さて、到着ですよぉっ!」
「うぁっ、帰ってきたのか」
あれ、雨双さんが巫女服を着ていますよぉっ!
「おぉっ!まるで夢のようですよぉっ!」
「あー、言っとくがこれは夢だ」
え、夢なんですか?
「夢だからこの事を忘れろ。忘れないと夢を見れないくらいの眠りに付くと思え」
「は、はい。分かりましたよぉっ!」
これは夢ですねぇ。雨双さんが夢と言ってますから違いありません!
「でも、夢なら犯罪行為をしても良いんですよねぇ!」
「奥義、圧縮冷凍」
[カキィィィン!]
効果音がホームランの音に近いんですけど!
ってか、冷凍度が高くて、やられる時の叫びが出来ませんでしたねぇ。
「どうしたんだっけー?」
「神社は暴れる所じゃないんだよ」
「ほぅ、誰かと思えば雑魚ベーか」
おぉ、アミュリーさんに小巻さんが来てますねぇ!ついでに東武さんも。
ってか、助けて下さぁーい!
「なんだ、出られんのか。ゲニウスのエクサバーストで出してやろうか?」
いやいやいやいや!エクサバーストだと出られても助かりませんから!ほぼ確実に体ごと消滅しますよぉっ!
「返事がないという事は、溶かしても問題ないと言うことか。来い、ゲニウス」
「登場!」
全然問題ありですって!
「おー、強そうなんだってば」
「確かに特星の竜よりは強そうだな」
アミュリーさんも雨双さんも、感心してないで助けてくださいよぉっ!
「いけ、ゲニウス!愚かな変態貴族を消滅させろ!」
「はい!魔造、エクサバースト!」
[ズガガガガアアアアアァァァン!]
その時によって、効果音が異なるエクサバーストを喰らいましたよぉっ!
「東武、雑魚ベーが消滅したよ」
「場合によっては俺が生き返らる。ゲニウスは先に帰ってろ」
「はいは〜い」
あー、現在お花畑が見えますよぉっ!可愛い少女が数人歩いてますねぇ。
「というか、死ぬかと思いましたよぉっ!」
「なんだ、復活したのか」
私がギャグ系のキャラじゃなかったら、即、あの世に逝ってましたよぉっ!
「雑魚ベーみたいなキャラは、漫画でやられても次のコマで復活するんだってば」
「地球でも不老不死みたいな状態じゃないか」
「ある意味、怖いキャラね」
「ふん、まさしくその通りだ。俺は随分昔に雑魚ベーと戦った事が有るんだが、特星でも通じるはずの攻撃を受けても、数秒くらいで復活していたからな」
あの時は本気で死ぬかと思いましたねぇ。いや、実際は何回も死んでましたけど。
「でも、東武さんは特星の天敵と言える存在ですよぉっ!不老不死の効果を無効化するのは反則的な効果ですからねぇ」
「逆に宇宙などで不老不死にもなれるぞ」
「元の世界で私と戦う時も不老不死だったよね」
いや、少々本気の小巻さん相手なら仕方ないと思いますけどねぇ。
「この後、どうしようかなぁ。悟に会うか、魅異と戦うか」
小巻さん、その選択肢はどちらを選んでも、問題になると思うんですけどねぇ。
「勇者社がこの島にあるらしい。だから、勝負を先決させるべきだろう」
「分かったわ。じゃあ三人とも、また会えたら会おうね」
とりあえず、頑張ってくださいねー。
「あ、そうだ!アミュリーさん、お年玉は貰いましたか?」
「あー、私が渡しておいた。当然、小巻にも渡しておいたぞ」
「一万セルもありがとうだってば」
あははぁん!アミュリーさんに感謝の言葉を言われましたよぉっ!
「お、ようやく到着だ」
「神社を作ったと聞きましたが、本当に作ったんですか」
「あれ、珍しい組み合わせですねぇ」
次に神社に来たのは悟さんと羽双さんでした。ちなみに二人とも私の宿敵リストに入ってるんですよぉっ!
「一人で来るつもりだったんだが、船で羽双と会ったんだ。で、目的地が同じだから一緒に着た」
「そういうことです。あー、雨双さんも居たんですか。どうして、似合いもしない服を着てるんですか?」
「三流の和風愛好家の馬鹿兄に言われたくはない。というか、呼ぶときに馬鹿兄だと長いから、普通に呼び捨てで呼んで良いか?」
「貴方からの呼ばれ方に興味はありません。好きなように呼んで構いませんよ」
仲が良いのか悪いのか分からない兄妹ですねぇ。
「……雑魚ベー、あの二人は仲が悪いのか?」
「仲が悪いのではなく、言いたい事を言い合ってるだけだと思いますねぇ」
「でも、お互いに相手の言ってる事なんか、全然気にしてなさそうだってば」
でも、勝負はしないで下さいよぉっ!
「お、盛り上がってるね〜」
「魅異だってば」
おや、さっき小巻さんが勝負に向かった筈なんですけどねぇ。
「小巻さんと東武さんには会いました?」
「あの二人とは別空間で戦ってるよ〜。小巻は久々に全力が出せて嬉しいようだね〜」
あー、魅異さんは分身を使ってますねぇ。まぁ、常に使っているんでしょうけど。
「魅異、お前はどの位の力で戦ってるんだ?」
「あと、小巻の能力は何だっけー?」
「私は二人より、少し強いくらいの力で戦ってるよ〜。小巻の特殊能力は非質系の、限界を操る能力だね〜。あ、私の強さの限界が普通の人と同じにされたよ〜」
元々、洒落にならないほど強いのに、更に非質系になれるなんて凄いですねぇ。
って、普通の人と同じ強さの魅異さんになら、小巻さんと東武さんでも勝てるんじゃないでしょうかねぇ?
「魅異、ワザと喰らっただろ」
「まぁ、喰らわないと面白くないからね〜。はい、私の勝ちが決まったよ〜」
貴方の目は何処まで見えるんですか?
「悟、妹達はどう〜?」
「ん?あー、行方不明の一人を除けば全員元気だぞ」
行方不明になってるのは、間違いなく希求さんですねぇ。
「四人の中でメインイベントを発生させるのは一人で、残りの三人のイベントはサブイベントだと思って良いよ〜」
「一人って誰だ?」
「自分で考えよう〜。じゃ、私はその辺を散歩してくるね〜」
散歩に行く前にお賽銭を入れていってほしいですねぇ。
「あ、忘れてたね〜」
そう言い、魅異さんはお賽銭箱にお札を入れて去っていきましたねぇ。
「ま、高校生ならお札くらいは当然ですよぉっ!」
「え、当然なのか?なら、俺も千セル入れるか」
悟さんも千セル入れてくれましたねぇ。
「じゃ、俺も帰るかな」
おや、悟さんも帰るんですか?
「なら、このお年玉を妹さんたちに渡してください。私からだと言っておいて下さいねぇ!」
「あー、分かった」
悟さんはお年玉袋の中身を確認しながら去りましたねぇ。
ふふふ、これで少女界での私の評価が上がる事を期待しますよ。
「少女界万歳ですよぉっ!」
「なんだ、その物騒な世界は?」
あ、いつの間にか雨双さんが戻ってきましたねぇ。
「羽双さんは?」
「あぁ、馬鹿兄っじゃなくて、羽双は冷蔵庫の中の団子を持って帰ったぞ」
ええぇっ!冷蔵庫の団子って、アレは私のですよぉっ!
「ちょっ、警察に通報してくださいよぉっ!」
「忘れたか?去年の特星ルール改正により、盗みは犯罪じゃなくなってるんだ。それに伴い、特星の警察制度は人員不足で崩壊してるし」
そもそも、この島まで警察が来るとは思えませんけどねぇ。
「しかし、新特星ルールでは盗んだ相手に対して、誰が攻撃しても良い事になってますよぉっ!」
「時間を操る奴に追いつけというのか?」
「あー、無理ですねぇ。はい」
特星の実力者ランキングで、ベスト五以内には確実に入る人ですからねぇ。
「あと、アミュリーさんも居ないようですけど」
「あー、アミュリーなら本殿の中に宝探しに行ったぞ」
って、それは大問題ですよぉっ!
「本殿の宝箱に少女の写真を入れたままでしたぁ!」
「お前なぁ、ロリは合法だけにしておけと言っただろ。そうでもしないと捕まるぞ」
それだけ言って、雨双さんが走り出すので私も走ります。
あれ、さっきの発言で雨双さんなら、アイススイート位は使ってくるかと思ったんですけどねぇ。
「怒らないんですか?」
「ん?あぁ、お前は手遅れだろうし。参考程度に聞くが、健全なものなのか?」
「あー、十五歳未満はアウトなのもありますねぇ。もちろん小学生ですけど」
「おー、よく入手できたな」
ま、私も人脈が広いですからねぇ。
まぁ、雨双さんとアミュリーさんの写真がほとんどですけど。もちろん、自分で取りましたよぉっ!
〜アミュリー神社の本殿〜
「普通の家と同じ大きさの本殿なんか初めてだ」
「すみませんねぇ。その分、地下にいろいろな部屋がありますけどねぇ」
ま、地下部屋の大半が物置ですけどねぇ。
「入り口は?」
「コタツの下の畳の下ですよぉっ!」
雨双さんと二人でコタツと畳を退けて中に入りますよぉっ!
「アミュリーさんはどうして中に入った後、コタツと畳を元に戻したんでしょうねぇ?」
「磁力で全てを天井に貼り付けて、その後にまた磁力で、下に戻したんだと思う」
知識では頭が非常に悪いのに、行動中は頭が良いんですねぇ。
ちなみに地下といっても、普通に電気や壁や床などは整備されてますよぉっ!
「あと、さっきの話の続きだが」
「あ、写真の事ですか?」
もしかして、地下で氷付けにして永久保存とか!
「無理して写真を手に入れるくらいなら、過保護なお兄さんのフリをして、小学生と風呂にでも入ったらどうだ?」
って、えええええぇっ!
「いやいや、そんなこと出きる訳無いですって!」
「だが、一度そうするべきだ。そして、自分が普段から、どれだけくだらない事に夢を抱いてるかを覚えろ」
いやー、あのー、無理ですって。
「それにお前が望んでいた事だろう。それとも、実行するほどの勇気がないのか?」
「はい」
「二択の選択肢みたいな答え方だな」
しかし、実行するほどの勇気はありません。
「大丈夫だ。風呂に入って、普通の会話をするだけなら問題はない。ただし、それ以外の行動は一切禁止だ」
「大丈夫ですかねぇ?ところで一緒に入ってくれる人は?」
「私やアミュリーは年齢的にそんな年じゃない。知ってる中で一番相応しいのは、悟の妹の希求だな」
四姉妹の中でも難関度と迷子度が高いですねぇ。
「というか、姉妹なら誰でも同じじゃないですか?」
「いや、希求は他の妹よりも何年か早く特星に来てるはずだ」
なるほど。しかし、大きな問題が一つありますよぉっ!
「悟さんが認めてくれると思いますか?」
「少々面倒だが、私が説得しておいてやる」
それで上手くいけばかなり良いんですが。
「でも、やっぱり自信ないですよぉっ!」
「うわっ!ちょっ、暑苦しいから抱きつくな!」
「失敗したら、世界中の少女が私を避けますって!」
その時は私は人生の楽しさの一部と青春がなくなりますよぉっ!
あ、服の上から雨双さんの体温が伝わりますねぇ。
「いや、そうなれば少女への興味も自然となくなるから、逆に良いと思うが。というか、早く離れろ!」
「嫌ですよぉー!リスクの方が大きい勝負は嫌ですよぉー!」
それに完全成功したら、少女への愛が無くなりますよぉー!
「お前、子供か!というか、頼むから離れてくれ!」
「あと、失敗したら少女とお風呂の夢も叶える気がなくなりますよぉっ!」
「分かったから!なら、失敗したら私が風呂に入ってやるから!」
少女とお風呂の夢が崩れます!
って、え?
「本当ですか?」
「本当だ!本当だから今すぐ離れろ!」
「もし、それで問題がなかったら、これからも入ってくれますか?」
「神に誓う!だから、抱きしめるんじゃない!」
おっと、手に力が入りすぎてました。
「し、死ぬかと思った」
「神であるアミュリーさんに誓うって事は、アミュリーさんも一緒ですよね?」
「ん?えっと、そうだな。同じ家の同居者として、アミュリーも一緒だ」
おぉ、これが神の奇跡ですか!
いやぁ、神社を作って良かったぁ!
「って、あれはアミュリーじゃないのか?」
「あ、雑魚ベーと雨双だってば」
アミュリーさんは道に迷って此処に来たみたいですねぇ。
「宝箱が一つあったけど、既に開いてたんだってば」
「何ですってぇ!」
〜悟の家〜
「あれ、帰ってたのか希求。ところで、右手に持ってる写真の束は何だ?」
「秘密だよー。むにゅー、あとは雑魚ベーさんと会うタイミングかぁ」