二話 おやっと、事件発生
@悟視点@
今は何とかの秋とよく言う十月。今年の夏は何故か寒かった気がする。
まぁ、過ぎた事はどうでも良い。
「それにしても絶対におかしい」
それより俺が気になるのは町の様子だ。最近町から近代的な物が無くなってる気がする。車やビルや日用品などがまったくない。しかも日が経つにつれて状況は悪化しているようだ。今日は道路が無くなって草だらけになってたし。
それに見て分かる変化なのに誰もこれが普通だと思っているらしい。
特星エリアが現代エリアを侵食してるとか?
「悟さん大変です!」
「あぁ、魑魅か」
考え事で忙しいのに何の用だ?
「外の道路が無くなってるんです!」
「知ってるが」
「それどころか、少しくらい前から町からいろいろな物がなくなってます!」
「それも知ってる」
その位の事は気付いてる…って!
「何でそれが普通だと思ってないんだ!?」
「これが普通のはずないでしょう!」
それはそうだが…この事態に気付けるとは。
「私は悪い事件の影響は受けないんです」
そういえば善と悪を操る能力を持ってたな。
「悟さんはどうして影響を受けないんですか?」
「俺か?俺は主人公だからだな、多分」
これが主人公の力だ!
「とりあえず情報交換だ」
「分かりました」
〜普通の墓場〜
「本当に此処で良いのか?」
「えぇ、間違いありません!此処の土の中から手が出てくるらしいですから、きっとその手が犯人です!」
ホラーな展開なんか望んでるわけじゃないんだ。だから手なんか出てくるな。ってか、犯人という根本的な理由が見つからん。
「秋に肝試しも新鮮ですね」
「腐った奴が出てこなければな」
「朝ですから大丈夫ですよ。あ、アレです!」
もう見つけたのぉっ!?確かに手が出てるし。
「じゃ、掘り返しましょう」
「マジかよ………」
「でもドリルがありませんね。スコップは当然ありませんし」
普通はドリルが無いのが当然じゃないか?
「ちょっとエクサスターガンで撃ってください」
「特星とはいえ、これで撃ったら貫通するから!」
「ならバスーカで」
「はいよ」
[ドガガアアアアアアァァァァン!]
バスーカで二発ほど撃ったら、見事に引っ張りやすいくらいに土が削れた。
「よいしょっと!」
魑魅が埋まってる奴を引っ張り出す。
「どうやら寝てるようだな」
「女の子ですか。犯人だったら雑魚ベーさんに送りつけましょう」
それはやめとけ。
「ふああぁ…騒がしいなぁ」
「あ、起きましたね」
起こす手間が省けたな。
「アンタ達は誰だ?」
「泣く子も驚きの主人公だ!」
「泣く子も倒せるヒロインです!」
「いや………そういう事じゃなくて」
お前の言いたい事はよーく分かるが、この自己紹介はしたかったんだ。
「俺は悟だ」
「私は魑魅です」
「私はレーレア、元幽霊で現在は人間だ」
「元幽霊ですか?」
元幽霊で現在は人間?変な奴だな。
「で、アンタ達は私に用でもあるのか?」
「その前に土に埋まって何してたんだ?」
「冬眠ですか?」
「魑魅、ちょっと黙れ」
「あぁ、冬眠だ」
「そして冬眠かよ!」
冬眠って言っても秋だぞ今は!
「それにしても今年の春は涼しいな」
「秋だ!」
「何?お前達が秋にしたのか!」
いやいや、何でそうなる?
「春は私の起床時間だ。返してもらうぞ!眠技、最後の休み!」
「しょうがないですね。善技、正しき事への導きです!」
「こうなったら強硬手段だな。水圧分裂砲!」
相手の出してくる技を魑魅が相殺して、動き回る相手を俺の全体的な攻撃で疲れさせる。
「冬眠、一時期の眠り!」
「水圧圧縮砲!」
相手が止まって技を使い始めたので、威力中心の水圧圧縮砲で攻撃する。魑魅の相殺で防ぎきれない分の技が時々飛んでくる。
「これで駄目なら…永眠、覚めない眠り!」
「って、危ないな!永遠の眠りなんかゴメンだ!」
「善術、選ばれた人の為の守りです!」
魑魅は自分だけを守る技を使って防ぐ。その魑魅を盾にして攻撃する俺。
「うぁぁっ!」
「あ、気絶しましたね」
「話を聞こうかと思ったんだけどな」
これじゃあコイツが犯人か分からないな。
「外の景色が戻ってませんから恐らくハズレみたいですね。眠りを操る能力みたいでしたし」
「そうか。じゃ、次に案内してくれ」
「はいは〜い!あ、雑魚ベーさんに教えておきますか」
〜底なしの沼〜
「到着しました!底無しと有名な沼です!古代の特星に住んでた魚が、一匹生き残ってるようです」
「で、底無し沼の何処に犯人がいるんだ?」
「沼の中です」
………もしかして犯人じゃなく犯魚?
「犯人は魚か?」
「魚とは失礼な……私には千華魚という名前が有るのよ」
「それって名称ですよね」
ってか、やっぱり魚じゃないのか?
「女の子だけど人魚ではないみたいだし、半魚人っぽいな」
「千華魚って事は、十万歳くらいですね」
「その位ね。人間年齢では十歳だけど」
寿命は何年だよ。ってか、特星は数十年前に出来たはずなんだが。
「悟さん、新鮮な魚のようですから食べましょう」
「いや、雑魚ベーに送りつけよう」
「此処で食べられる気はないわ。というか、他の仲間と同じ道を歩むものか!水技、渦巻く一万圧縮水!」
相手を中心に回りに水が放たれる。
[バギギギギギッ!!]
って、水に当たった木が次々に倒れていくぞ!
「この水は水中一万メートルの水。当たればグチャよ!」
「ひえぇ!善技、正義の雷!」
魑魅の電気が水を伝わり相手にダメージを与える。悪いが俺は今は回避に集中する!
「水連、解き放つ十万圧縮波浪!」
波が来たので跳んで避ける。
「善技、連続跳びです!それと正技、クロスレーザーです!」
「設定完了。エクサショット!」
跳んで避けながら、十字のレーザーを撃つ魑魅。俺は走って避けながら、エクサスターガンの通常技で攻撃する。通常技だから威力はだいぶ落ちてるけどな。
でもエクサスターガンで使える技は、ほとんどが威力重視系だ。
「水連、引き寄せる十万圧縮波浪!」
「次は後ろからかよ!」
周りから相手に向かって波が寄せられる。
後ろを見ないと技を避けれないから、相手への攻撃が当てにくいんだが!魑魅は回避力が高いから大丈夫だろうけど。
「誘導弾だ!」
銃を変えて誘導弾を撃つ。これは俺の能力で作り出してる弾だから、追尾弾に近いくらいの確率で相手に当たるんだ。
「水連、重なる五十万圧波浪!」
今度は挟み撃ちか!?
「奥義、正義の決め技です!」
魑魅の奥義が相手の技ごと相手に直撃する。とりあえず勝ったな。
「犯人じゃないみたいですし、食べましょうか?」
「絶滅種みたいだからやめとけ。あと、犯人じゃなくて犯魚な」
「でも、ほとんど人間ですよ?」
「そうだな。でも、この先こういう奴が多くなるだろうな」
〜勇者社外部〜
「おぉ、この町にも勇者社があるのか」
「悟さん、この町の名前を覚えてます?」
いきなりな質問だな。
「秋方だろ?読み方が覚えにくいけど」
読者に紹介するのを忘れてたな。
「そうです。私は今回の問題が秋方以外で起こってるのか分かりません。しかし、秋方で起こってる事は分かります」
「そうだな」
「しかし、それだと目の前の勇者社の説明が出来なくなりませんか?」
「そうか?」
「そうなんですよ」
魑魅の言いたい事は分かる。ビルとかは消えた筈なのに勇者社のみがあるのは変だと言う事だな。
「ってことは、早くもクライマックスか?」
「えぇ。恐らく」
今の状況だよ!こういうシリアスな展開を待ってたんだ俺は!
「ありがとう、魑魅!」
「えっ?えぇっ!?」
嬉しさのあまりに魑魅に泣きながら抱きつく。悪気や変態的な心は無く、本当に嬉しさだけだ。生まれて初めてのシリアス展開だから良いんだよ!
でも、地球だったらこんな事出来ないな。読者の皆も誰かに抱きつくなんて出来ないだろ?それが出来る俺はやっぱり主人公だ!読者の前の皆も悔しかったら、実際にやってみるが良い!
………あ、言いすぎた。
「さ、悟さん?こ、此処…仮にも会社の前ですし……あの、後にしませんか?」
「あ、悪い。そして次は無い!」
抱きついてる間を無駄な思考で過ごした気がする。
〜勇者社内部〜
「誰も居ないな」
「誰も居ませんね」
勇者社の内部は人が誰も居ない。さっきのシーンを見られなくて良かった。
「誰か居ないんですかね?」
「居ますよ。目の前に侵入者が二名ほど」
あっ、几骨さんだ。この人は篠頼几骨さんと言って、魅異の社長秘書をやってる人だ。働き者で各地の勇者社で仕事をしているらしい。特殊能力は相手の思考を読む事が出来る能力で、許可無しに思考を読む事も多い。本人曰く、読心術ではないらしい。
基本的には良い人で冷静で静かだが、悪口を言わせると右に出るものは少ない。というか、怒らせると思考を読んで脅してくる事もある。
二十歳で俺とよく会う女性の中で、今のところ最年長だ。結構な金持ちらしく自家用のヘリなどを持っていると聞いた事がある。
「おやっと、事件発生の事を知ってそうな几骨さんですね」
「何か用ですか?社長なら丁度社長室に居ますよ」
こういう時は社長室に居るのか。
「どうして勇者社は事件の影響を受けてないんだ?」
「社長の気分です」
やっぱりねー。そもそも、魅異なら特星全体への影響も防げるだろ。
「あと、何で社員が他に居ないんですか?」
魑魅、此処の会社だと夏のバカンスという可能性があるぞ。
「侵入者が困らない為です」
「それで良いのか!?」
「えぇ。それに此処は墓に住んでる元人間や、底なしの沼に住んでる食材などの人が住めるようにする予定なんです」
「便利ですねー」
両方とも俺達が戦った相手じゃないか。
「まぁ、それは置いといて…そろそろ私達を案内してもらいますよ!」
「トイレなら此処から真っ直ぐ行って曲がった所です」
「そこに黒幕が居るんですね!では悟さん、先に向かってます!」
そう言ってトイレの方に向かう魑魅。
「トイレに用があるのか、本当に間違えてるのか、ワザとボケてるのか分からん。」
「恐らく、間違えてるのでしょう」
「って、トイレの場所を聞いたんじゃありません!」
魑魅が即行で戻ってきて叫ぶ。ノリツッコミのつもりか?そうならツッコミのタイミングが遅いな。あ、でも涙目だ。
「もう許しません!貴方も此処で成敗します!」
「それで良いのかなぁ?」
「私は成敗されるつもりはありません。でも、勝負をするなら受けますよ」
「上等です!善者の力を見せてあげますよ!」
「善者を装う悪人や一般人を偽善者と言いますが、善を勘違いしてる者で善者を名乗る人も偽善者と言うんですよ。思読、見通しの動作」
「善魔、聖なる炎・輝炎です」
「本当に良いのか?水圧圧縮砲!」
罪悪感を感じつつも攻撃する。
「無駄ですよ」
俺達の攻撃は軽々と避けられる。行動を読む技だな。
「そうですね、新しい技でも見せてあげましょう」
「というか、几骨さんと勝負する事自体が初めてだから、使う技全部が初めてだけどな」
「むむぅ……悟さん、どうして攻撃が当たらないのでしょうか?」
「行動が読まれてるからだ」
几骨さんって戦闘用の技とか使えるんだな。
「ワワ」
几骨さんがそう言うと光のような矢が飛んでくる。
「おっと」
まぁ、避けれたけどな。
「几骨さん……その技は?」
「雑魚ベーさんのカムを真似したら何故か出来ました」
俺の質問にそう答える。カムって言うのは、雑魚ベーの編み出したオリジナル技で高熱の気体の球を飛ばす技だ。確か大きさや形が変形可能と言ってたな。
「凄いです!私も使いたいです!」
「ってか、どういう原理で出せるんだアレ?」
あー、原理は知らないが俺の記憶が正しければ、あの方法で作り出した技は大量に出す事も可能なはず。
「連続、左右注意報」
変な名前だなぁ。俺達から見て横側から大量の光の矢が飛んでくる。
「あれ、さっきもでしたが意外と遅いですね」
「あの技は一定の速さでしか飛ばないからな。小さいと少し速いらしいぞ」
とりあえず消すのは無理なので慎重に避ける。
「連続、前後の注意報」
あ、この次の技はどんな感じか分かる。さっきの技とこの技を合体させた技だな。
「おとと、危ないですね。悟さんは大丈夫ですか?」
「あぁ」
「連合、前後左右の警報」
うん、大体予想通り。でも、どうにも出来ないのが事実なんだよ!
しばらく避け続ける。
「あ、もう通って良いですよ」
「へ?」
どうして急に?
「遠距離技のネタ切れです。接近戦を含めてなら続けても良いですけど」
「なら、接近戦を含めて再戦です!」
「無駄な争いをしてる場合じゃないだろ。さぁ、魅異のところへ向かうぞ」
「ふぁ〜い」
〜勇者社社長室前〜
社長室は以外にも一階にあった。
「まったく、シリアス展開ぶち壊しですよ。ねぇ、悟さん?」
「お前の発言も人の事言えないだろ」
さて、さっさと入るか。
「…って、鍵が掛かってる!」
「よく有りますよね、扉があるのに鍵が無くて探し回る経験。その度にゲームの主人公に扉を壊せと言いたくなりますよね」
「あぁ、あるある」
ファンタジー世界の主人公が木製の扉一つ壊せないなんて、普通は有り得ないよな。
「あー、そこの人。もしかして扉の鍵が必要だったりする?」
「壊しますから要りませんよ」
「えぇっ!じゃあ私の立場は!?」
「魑魅、話だけでも聞いてやれ」
「はーい、分かりました」
魅異の作り出した壊れない扉の可能性があるからな。
「フフン、実は私が扉の鍵を持ってるの」
「体当たりでも破れませんね、普通の扉みたいなのに」
「エクサバーストでも無理じゃないのか?」
「無視するなー!」
無視してるわけじゃなくて、聞きながら破壊してるんだけどな。
「それで何ですか?」
「その扉を開けれる、この鍵を賭けて勝負よ!」
「うーん、開ける方法が一つもないなぁ」
「どうしましょう?」
「二度も無視するなぁー!」
お、何か面白い。
「と、とにかく鍵を賭けて勝負をすれば中に入れるの!」
「そんな方法があったんですか。…って、それを早く言って下さいよ!」
「さっきから言ってるよ!」
「言ってたか?」
「言ってたって!」
聴こえていたが、聞いてはいなかったな。
「ところで誰だ?」
「私は可美 夜沙。種族は元猫で、特殊能力は地を操る事だよ!」
「苗字と名前が逆じゃないですか?」
「逆じゃないよ!」
元幽霊と元非常食の魚と思考を読む人間の次は元猫か。
「ってか、猫の要素は何処に有るんだ?」
「え………えぇっと、危険を察知してすぐ逃げる心!あと、爪が少し長めなんだよ!」
猫っぽいけど、人間率が高いな。
「猫耳とか尻尾は無いんですか?」
「本当は有るんだけど、今は出せないの」
「年齢は何歳だ?」
「八百数十歳で人間年齢で八歳くらい」
猫なのに人間より長生きなのか。
「猫さん、一つ覚えて置いてください」
「何を?」
「鍵を盗む泥棒猫は、とっ捕まえてペット屋に売りますから」
「にゃあぁっ!?地技、とんがり岩!」
針型の岩を大量に飛ばしてくる猫。
「水圧圧縮砲!」
「善技、正義の連続銭」
俺が岩を破壊して、魑魅が特星なのに日本円の小銭を投げつける。
「地技、地神の移動壁!」
棘付きの小さな壁が大量に迫ってくる。
「当たりませんよ、っと」
魑魅は素早い移動速度で全て避けていく。俺も水圧圧縮砲で壊せそうにないから、全てギリギリで避けていく。
「地念、土地の因縁」
相手を中心に床や瓦礫などが辺りに散乱して飛ばされる。
「こりゃあ、派手な技だな。ぐはぁっ!」
これを避けるのは無理だろ!
「大丈夫ですか悟さん?」
「何故、避けれる!?」
「回避と素早さが特徴ですから!」
攻撃回避の耐久勝負なら優勝できるんじゃないか?
「危地区、幽閉地歴」
相手と俺達を囲む壁が出現する。そしてその壁から巨大な岩の針が大量に発射される。
「ぬおああぁぁぁっ!」
本当にギリギリで四方からの針を回避する。もしかして、鬼畜と危地区を掛け合わせたんじゃないのか!?
「大丈夫ですか、悟さん?」
「だから何で簡単に避けれるんだよ!?」
「気分です。制裁、悪滅ぼし」
魑魅の攻撃が相手の攻撃を打ち消し、相手に直撃する。
「あわっ!」
「あ、猫耳と尻尾が出ましたよ」
「本当だな」
ダメージを受けたせいか、尻尾と猫耳が出てきた。
「うぅ……覚えてなよ!」
そう言って相手は四本足走行で逃げ出す。ちゃんと鍵を落としていった。
「まぁ、明日までなら覚えておきましょう」
「短いな」
「悟さんとの記憶で精一杯ですから」
「消せ!」
とりあえず鍵を開けて社長室に入る。
「あ、来たんだね〜。それで何の用かな〜?」
「町を元に戻してもらおうと思ってな」
「そういう事です」
なるほど、といった感じに頷く魅異。
「確かに町どころか特星全体が悪影響を受けてるからね〜。私ならこの程度を直すのは簡単だし、元凶の可能性だって否定できないって訳でしょ〜?」
「えぇ、その通りです!この会社が影響を受けてないのも、貴方が犯人だと思った理由の内の一つです」
「犯人じゃなくても、何か知ってそうだしな」
というか、魅異なら全て知ってるはずだ。テストは絶対〇点だが、頭は異常なほど良いはずだからな。
「仮に私が犯人だとして、本気の私に勝てる自信は〜?」
「ありませんよ」
「というか、絶対に無理」
百パーセントを信じない俺でも絶対と言えるぞ。一般人の俺達がチートに勝てる訳がない。
「結論から言うと私は犯人じゃないよ〜。まぁ、犯人の場所なら教えてあげるよ〜。ただし、私に勝てたらだけどね〜」
「いや、手加減しろよ」
「二人の強さに合わせるから大丈夫だよ〜」
魅異には強さの段階があって、今は第一形態なんだ。形態が変わっても見かけは変化しないが、強さが比較的に強くなる。第一形態でも宇宙消滅を軽々と出来る実力で、最終形態を見た者は居ないらしい。というか、最終形態なんか最初から無いのかもしれない。その場合は相手がどれだけ強くても、勝負に終わりが無いという事になるな……恐ろしい。
「勇者流技、勇者拳」
お、魅異でも技名を言う時はちゃんと喋るのか?
「って、がふぉあっ!!」
「あふぉかっ!!」
俺と魑魅は魅異から放たれる技を避けきれずに直撃。
「って、避けれるかぁっ!」
「無理があります!」
「最初は避けれるように、通常攻撃を使おうかと思ったけど、戦闘シーンばかりだと読者が飽きるから辞めたんだよ〜」
「先に言え!」
ちなみに勇者拳は勇者流技と言う流技の中の一つなんだ。勇者流技は魅異の使える三大流技の一つで、勇者か元勇者しか使えないらしい。三大流技の残り二つの名前は、神離流技と魅異流技という名前で、神離流技は魅異及び魅異の超強力な弟子が使える技だ。魅異流技は三大流技の中の頂点に立つ技で、魅異しか使えない常識外れの技である。
「で、情報だけど、犯人は特星には居ないよ〜」
「そうなんですか?」
特星に居ないのなら、特星中を探した所で意味無いじゃないか。
「恐らく、非質系の特殊能力者が地球に居るんだと思うね〜」
「特殊能力者という事は、一度特星に来た事がある奴か?」
「そうだよ〜。しかも、戦う敵は結構な少人数だし、犯人自体は一人だよ〜」
人数は別に問題じゃないけどな。
「それで場所だけど、運良く巻津川市だね〜」
「って……ええっ!?」
ほ、本気で巻津川……なのかよ。
「悟さん、何か知ってるんですか?」
「あ…知ってると言ったら……知ってる」
「巻津川は悟が住んでた故郷だよ〜」
「そうなんですか?」
「あぁ……うん」
嫌な予感がする。帰る時に余計な奴が着いてくる気がする。
「詳しい場所を言うと、巻津川市のテレビ局の会議室だね〜」
「なっ!」
俺に対する嫌がらせでこの場所か?誰かが俺への嫌がらせで仕組んでるのか?
「犯人達は密かに兵器を持ってるから、気をつけないと危ないよ〜?あと、銃刀法を守るなら銃は持ち込めないよ〜」
「ちょっと待って下さい。それだと勝ち目が無いに等しいですよ。私は武器が無くても大丈夫ですけど」
「悟にはこの武器を貸すから大丈夫だよ〜」
そういって魅異が取り出したのは………水鉄砲?
「その銃は神離系武器の一つの神離銃だよ〜」
「本当か!?」
神離系武器とは魅異の作り出した凄い武器だ。俺の見たことのある神離系の武器は、神離槍という竹槍だけだ。一部の者か魅異が使えば、どの武器も恐ろしく強力な物になる。
どの武器にも共通してる事は、壊れないという事だ。
「水鉄砲なら持ってて大丈夫だし、普通の銃とは違って魔法弾も撃てるよ〜」
「それは便利ですね」
「あぁ」
「でも通常は水が普通に出るだけだから注意してね〜」
「分かった」
銃を預かって部屋を出る。もうすぐ夕方か。
「それでどうやって地球に行くんですか?」
「瞑宰京にある装置を使わないと駄目だな。とりあえず、今日はもう時間が無いから明日に向かうぞ。今日のところは帰って休んでおけ」
「分かりました!じゃあ今日は悟さんの家に行きますね!」
「あぁ………って、待てぃっ!何でそうなる!?」
「さぁ?」
「とりあえず自分の家に帰れ」
「は〜い」
返事をした魑魅だが結局夜に家に乗り込んできた。一応、夕食は作ってくれた。
でも、もうやだこのストーカー。