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二十一話 お引越しで次の場所へ

@悟視点@


ラスボスを名乗る母親と戦うことになった。


ラスボスが主人公に勝つことは俺が許さないぞ!


「水圧圧縮砲!」


とりあえずは通常攻撃用の魔法弾を連発で撃つ。


「おっと、私を撃つとは何様だ!」


「主人公様だ!」


水圧圧縮砲は全て避けられる。


身体能力もそれなりに凄いじゃないか!


「ふふふ、今すぐ悟の特殊能力は封じられる!」


天利がそう叫んだ途端、俺の水圧圧縮砲の発射が止まる。


「げ、そんなのありか!」


「所詮は特殊能力か!そんなものに頼っても私は倒せないんだぞ!」


「お前のも特殊能力だろ!」


「なら、私の物語を操る能力は特殊能力ではない!」


うわー、正直どうでもいい。


「これで問題なしだ!」


それで満足なら別に良いけどさ。


「時間制限もプレゼントだ!今から十分後に私が負けていない場合、自動的に悟の敗北となる!」


「えぇ!?せ、せめて三ヶ月くらいにしてくれ!」


「今すぐ悟に向かって数百本の槍が降る!そして一割くらい当たる!」


天利が言い終わると同時に槍が降り注ぐ!


「いったん逃げる!」


「逃げても一割は絶対当たるのだー!まぁ、九割は絶対に外れるけど」


痛っ!槍が当たってる!特星じゃなけりゃ確実に刺さる!


「く、日光反射用雑魚ベーガード!」


俺はここに居ない筈の雑魚ベーを持ち上げる。


槍は上から降るんだからこれであたらない!


「え、な、なんで悟さんが私を持ち上げてるんですか!?って、なんか非常に多くの槍が降り注いでますよぉっ!」


どうやら九割の槍が雑魚ベーによって防がれているようだが、残りの一割は奇妙に動き回って横から俺に突っ込んでくる!


「仲間か。ま、主人公には仲良く旅する仲間も必要だろう!」


「雑魚ベーは仲間だが、必要ではないし仲が良い訳でもないからな!」


俺は正常だが雑魚ベーは問題だらけだ。


「そうですよぉっ!悟さんは事件があるたびにその辺の少女を銃で攻撃してるんですよぉっ!私はスキンシップがほとんどですけどねぇ」


「そ、それは毎回深い事情があってのことだ。それに少女が敵に多いんだから仕方ないだろ」


「スキンシップも攻撃も有害だと思うのだが」


俺の場合は正当防衛だろ。大体の場合が小学生のほうが特殊能力とか強いし。


「さぁ、後九分だぞ!悟と雑魚ベーに向かって今すぐ雷が落ち続ける!」


天利が言い終わる前に俺は行動していた。


「雑魚ベータサイドショット!」


適当に技名を叫ぶと同時に雑魚ベーを天利に投げつける。


ちなみに当たる割合を言わなかったらしく、俺には当たらなかった。


[ドゴーン!]


「ぎゃあぁっ!」


「うわっ!」


雑魚ベーが天利に当たる直前に雑魚ベー狙いの雷が落ち、それに天利も巻き込まれて一緒に感電した。


「く、うぅっ。流石の私でも雷はキツイぞ」


「お、早くも降参か?」


「ラスボスなんだから私には第二形態があるのだ!私は魔王の一部の力を手に入れる!」


何故だかラスボスっぽくない台詞だなぁ。


「おい、起きろ雑魚ベー」


「ふえ?はっ、私としたことが寝てしまっていたようですねぇ!で、ラスボスの方は倒し終わりましたか?」


「ふふ、安心するがいい。私はまだまだ余裕だ!」


第二形態状態の天利が叫ぶ。第二形態といっても何の変哲もないが。


「それなら私が倒しますよぉっ!必殺、ジャンピングキックですよぉっ!」


「返り討ちにしてやるぞ!必殺、上空への旅立ち蹴り!」


ジャンピングキックをする雑魚ベーを天利が蹴り上げる。雑魚ベーは天井にぶつかり下に跳ね返る。


「へ?うわあぁっ!」


そしてそのまま油断していたっぽい天利に直撃する。


「…はっはっは!やっぱり主人公である俺の作戦に間違いはなかった!」


そう、俺は雑魚ベーがジャンピングキックをすればこうなることを予想していたのだ!


うん、そうに違いない!


「くぅ、ここまで考えていたとは!流石は私の息子だ!」


「あのー、実際は私の功績なんですが」


親子の戦いなんだし、今回くらいは俺の手柄でいいじゃないか!


「しかし、魔王の力を借りても勝てないなんて二人とも凄いんだな」


というか今のはどう考えても自滅だよなぁ。


「あれ、そんなことをしてたんですねぇ。まぁ、現役の魔王である私に勝てるわけがありませんよぉっ!」


…あー、そういえば前にそんなことを言ってたなぁ。


ってことは、天利は本当に弱体化してたんじゃないか?雑魚ベーの力の一部を手に入れてたわけだし。


「ところで二人はどうしてこんなところに来たのだ?」


「あ、そうでした!少女達を貴方が誘拐したんですねぇ!」


そういえばここに来た理由って誘拐事件があったからだよな。


「誘拐じゃないのだぞ!ただ、私は正義の少女楽園を味わおうと思っただけなのだ!」


また意味の判らない単語が出てきた。


「そ、それって一部で噂の正義の少女楽園ですか!?」


「そのとおり!特星で四人くらいしか知らないという正義の少女楽園のことだ!」


俺達だけで三人じゃないか!一部過ぎるだろ!


「あー、ちなみに俺達以外で誰が知ってるんだ?」


「魅異さんですねぇ」


あー、納得。


「とにかくだ!知ってる男なら誰もが憧れる正義の少女楽園を女の私も体験したいのだー!」


「この時点で知ってる男は俺と雑魚ベーだけじゃないか!しかも俺は憧れてないし!」


「なら、私の能力で憧れさせてやろうか?」


「…やめてくれ」


本気でやられる可能性があるから怖い。


「正義の少女楽園は主人公役の少女を相手に、悪役の私達が勝負を挑む劇なんですよぉっ!その際に悪役の私達は必ずやられなければなりません!…魅異さんが運営しているのでどんな手を使っても勝てないでしょうけどねぇ」


「悪役は強力な技は使えないし、まず勝つのが無理なんだぞ」


それってただの悪役いじめじゃないか?


「でも、本物は滅多に開かれないから、私が勝手に少女を集めて正義の少女楽園を再現しようとしたんだ!結構楽しい劇だったからな!」


しかも参加したことあるのかよ。


「というわけで本来は一対一の正義の少女楽園だが、私は数十人以上の少女を相手にしてくるぞ!」


「あ、私も行きますよぉっ!」


「ふふふ、この人数差だから覚悟しておくのだぞ!私と雑魚ベーは今すぐ少女達の居る部屋に移動し、正義の少女楽園を数日の間体験する!」


数日間もやられ続けるつもりなのか?






「うー、なんてことだ」


ラスボス事件から数日後のある日、我が家に一通の俺の通う会社から手紙が来たのだった。


その内容は例の少女誘拐が特星本部に俺も共犯だと勘違いされているため、会社が目をつけられないように別の場所へ転勤とのこと。高校生を転勤させるなよ。


ちなみに特星本部は瞑宰京にある民営会社で、特星を管理するつもりだったらしいとか学校で習った気がする。今は資格が取れるだけの会社だ。


ちなみに特星における国営の企業は校長の学校くらいしか知らないな。


「えー、ん?…引越し先がアミュリー神社だって!?」


「そのようですね、悟君」


いつの間にか校長が不法侵入していた。


「一部の人たちの間では悟君一家が少女を誘拐したと噂になってます。しかし、私は天利君や皇神君を信じています」


実際は天利が犯人なんだけどなぁ。


「あ、ところで俺も信じてるのか?」


「………えぇ、教師としては当然信じていますとも!」


遠まわしに言ってる気がするんだが。


「悟君なら私への借金の千五百兆セルを返してくれると信じています!」


「そっちの方かよ!ってか、なぜか減ってるし!…俺が少女誘拐の容疑者じゃないということは信じてますか?」


「いえ、まったく。私は悟君が犯人の方に一セル賭けてますから!」


い、一セル程度で裏切るなー!


しかも自信満々で言いきってるから文句を言いにくい!


「それではまた会いましょう。次に会うときにはまた借金が増えているでしょうけど。あ、荷物は運んでおきますね」


「あぁ。もう二度と会わないことを願う」


荷物配達を校長に任せ、俺は家を出た。


挨拶にその辺でも歩いてくるか。






「おや、悟さんじゃないですか!」


道を歩いていると雑魚ベーに声をかけられる。


「おぉ、雑魚ベー。今回は俺を神社に住ませるのを推奨したんだってな。正直、ありがとうな」


「いえいえ、あそこの神社は広いですので気にしないでくださいよぉっ!…それに悟さんは少女を誘拐するほどの少女好きになったらしいですからねぇ!」


「ほー、本気にしてたのか」


「いえっ、してませんってば!ほんの冗談ですよぉっ!」


まぁ、雑魚ベーは真実を知ってるからな。


「あー、ところで正義の少女楽園はどうだった?」


数日やられ続けるっつてことはつい最近までやられてたのか?


「あぁ、天利さんと一緒に雨双さんに一撃でやられましてねぇ。ちょっと前まで凍ってたんですよぉっ!」


数日間も凍った状態だったのか!


「雨双さんとアミュリーさんは既に神社に戻ってるはずです」


「あれ、前にエエナって子も居なかったっけ?」


「え!あぁ、えー。エエナさんですよねぇ。確か行方不明なんですよぉっ!」


行方不明?まさか天利に連れ去られたんじゃないか?


「あ、でも事件ではないと思いますけどねぇ」


「え、なんでだ?」


「そうですねぇ。その、例の少女テレパシーが私にそう伝えているんですよぉっ!」


少女テレパシーなんて高校の例題にすら出された覚えはないぞ。


まぁ、雑魚ベーが焦らないってことは大丈夫なのだろう。


「それじゃあ船で島に行ってくる。ところで雑魚ベーはどうやって秋方町と神社を渡ってるんだ?」


かなり時間が掛かることを考えると、雑魚ベーが毎回船で来ているとは思えないんだが。


「移動ですか?前は船でしたねぇ。今は高速型浮遊要塞か潜水型浮遊要塞のどちらかですねぇ」


「まだ浮遊要塞を持ってるのか」


潜水型浮遊要塞って潜水か浮遊かどっちかにしろよ。いや、水で浮くから一応両方なのか?


「予備は小型の要塞を含めて百機くらいはありますからねぇ」


あの神社に百機も保管できるのか?


「よし、それじゃあ今からそれに乗ってこう!船代が減って助かるし!」


「えぇっ!今から昼食を食べに行くんですけど!」


「神社で食えばいいだろ」






雑魚ベーに連れて来られた場所にあったのは巨大ダンボールだった。大きさは俺の家が数個分くらい。


「…これは飛ぶのか?」


「えぇ!見かけはダンボールですが実際は金属なんですよぉっ!」


触ってみると確かに硬い。


今までの浮遊要塞とは違い、機会や金属の寄せ集めではないようだ。


「中には客室や運転室もあるんですよぉっ!磁力エンジンですから必要以上に速いですしねぇ。じゃあ先に乗ってますよぉっ!」


「おっと、ちょっと待ってください!」


乗ろうと思ったら急に魑魅が飛び出してきた。


「おー、魑魅じゃないか」


「そのとおり、私です!第二期のヒロインなのに天利に扱いが酷いので抗議にきましたっ!」


「あ、ヒロインだったんですか。私はすっかり忘れてましたねぇ」


正直、俺も忘れてた。


「まぁまぁ、第三期もあるんだから熱くなるなって」


「でも、第一期のヒロインの方だって第二期で一切出ていませんでしたよ!」


キャラが増えるとよくあることだ。


「というか、こんな会話をしていてストーリー的に問題ないんですかねぇ?」


「別に俺達は主人公とか自覚してる設定だし、こういう会話が特徴の物語だからいいだろ。それにこの第二期編も仮になる予定らしいし、どうせ仮だからいいやとか思ってるんだろうさ」


本編がまともに書かれるかはわからんが。


「こういうことは後書きで話すのが基本ですけどねぇ」


「作者が後書きとかやりたくないんだろ」


「とりあえず現実的な話は終わってください」


魑魅が来なければ普通に終わってたんだがなぁ。


「えー、それでです!天利さんの能力で動いてただけなんてオチは認めません!第三期では絶対に恋愛イベントを起こしてやりますから覚悟してください!」


それだけ言って魑魅は何処かへ走っていく。


「魑魅の言ってることも現実的だぞ」


「そうですよねぇ」


そもそも『変な星でツッコミ生活!?』でまともに恋愛話が出るわけがないだろ。どうあがいてもギャグになるぞ。


「それではいきましょうか」


「あぁ、第三期に向けて旅立とう!」


「…最後まで現実的ですねぇ」


こうして俺は雑魚ベーの住む島へと移ることとなった。


はたして魑魅の恋愛計画は成功するのだろうか?答えを言うまでもなく成功しないのだろうが。


そして次に俺達に立ちはだかるのはどんな敵か?小学生的な敵は確実に出るだろう。


そして俺は何事にも巻き込まれずに居られるのだろうか?


…物語が成り立たなくなるからそれはないな。

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