二十話 ラスボス風味の物語
@悟視点@
「く、ここが最上階か?」
俺はキールと几骨さんが待っている最上階に着いた。ちなみにここに来る途中、階段を走って登ってたら二回落ちた。しかも両方頭からだぞ!
「正面に部屋が一つか」
ラスボス前とかってこんなかんじだよな。
「この部屋の中には一体何があるのだろうか?」
花屋さんか花の種屋さんがいいなぁ。
〔どうしてその選択肢が出たんだ!ってか、どっちも花屋で買えるだろ!〕
「おや、ボケ役じゃないか」
では、いきなりボケ役に問題です!棘のある美しい花といえば何?
〔ふふふ、そんなの簡単だ。答えは薔薇だろ?〕
「ふっ、やはり引っかかったな!」
〔何?〕
「答えはサボテンに決まってるだろ!それ以外は一切認めん!」
サボテン以外は認めないから答えは薔薇ではないっ!
〔うお、酷い!第一、何で薔薇は駄目なんだ!?〕
「そんなの俺が漢字で書けないからに決まってるじゃないかー」
書けても認めるつもりはないけどな!
〔おいおい、サボテンは漢字で書けるのか?〕
「え、サボテンって花なの!?」
〔漢字以前の問題!?…いやいや、花だからサボテンが答えなんだろ!?〕
「いやー、なんだかサボテンの棘の付け根に美学を感じたからさぁ。…はっ、まさかこれが恋!?」
〔美学で答えを決めてどうする!それ以前に何故付け根に美学を感じる!?〕
「なんか棘の先は尖っててあれだけど、棘の付け根はなんか美学的じゃないか?」
あと、納豆は粘々の部分から食べる派だ。
〔棘の先のあれって分からないし、棘の付け根は美学的じゃないし、そもそも納豆は全体的に粘粘だーっ!〕
おぉ、ボケ役ってツッコミスキルが高いな。
〔ツッコミスキルってなんだよ!?それならツッコミ役だってツッコミの役なのにボケスキルが高いだろ!〕
ははは、何を言ってるんだ?俺は常にツッコミスキル満載だぞー。
「さて、サボテンの棘の付け根でも買ってくるかー」
〔付け根以前に棘だけですら売ってないだろ!あー、もう、俺帰る!〕
お、声が聞こえなくなったし、ボケ役は帰ったようだ。
「サボテンの花言葉ってなんだっけ?イバラの道?」
よし、花屋さんにでも聞いてみよう。
自動ドアじゃないから、店の人に気づかれないように忍び足で入るか。
「そりゃあぁっ!」
店のドアを全力で開け放ち、忍び足で入ろうとする。
[がんっ!]
「ぐっふぁ!」
しかし勢いよく開いたドアは一度開ききり、そのまま跳ね返って俺に直撃した。
「こ、こんな罠を仕掛けるとは。この花屋には期待できる!」
それにしても高等部がやけに痛むな。まぁ、頭から階段に落ちたから当然か。思考が変にならなかっただけどもよしとしよう。
「大丈夫ですか?」
〔ほら、私以外にも犠牲者が!〕
中からキールと几骨さんが出てきた。キールは幽霊状態の癖にドアの罠に掛かったようだ。普通すり抜けるんじゃないか?
「それより花屋さんは?あと、サボテンの花言葉はイバラ道?」
〔イバラ道は薔薇の花言葉の一つよ。サボテンの花言葉は全身棘マッサージとか棘の付け根に恋だったわ〕
「どちらも特星特有の花言葉ですけどね」
へー、他にもいろいろありそうだな。
「ちなみに花屋は昨日閉店したみたいですよ」
「なっ、閉店したのか!」
お、俺が不甲斐ないばかりにこんなことに!
〔それ以前に何でこんなとこに花屋があるの?〕
「それはあれだ。梅干を作るためだろ。梅干風呂で梅の花を見ながら梅酒を飲みたいやつがいる筈だ!」
「無駄に贅沢ですね」
ってことは、ブドウ風呂とブドウの花見とブドウ酒の組み合わせもあるのか!
「そりゃあっ!再び参上ですよぉっ!」
どうでもいい話をしていたら、雑魚ベーが階段を駆け上がってきた。
〔あら、変態じゃない。あわててどうしたのさ?〕
「ううぅっ、さっき秘密基地に電話したんですが、誰も出なかったんですよぉっ!実は小学生少女を集めて特星侵略をしようとしてたんです!でも、まさか全員がいなくなるなんて!」
「人々を女子小学生にするだけで特星侵略をするつもりだったんですか?」
「あー、そうですねぇ。成功しないのは知ってるんですが、蟻にクッキーを取られてノリで世界侵略を開始しちゃったんですよねぇ」
あー、小さな出来事が原因で、大きな出来事を起こすことってあるよなぁ。
「大丈夫だ、雑魚ベー。俺も先週くらいに納と海で砂の城を作る勝負してたんだが、納のほうが大きい城だったから、納が作ってた砂の城に飛び込んで壊したんだ」
〔私も神酒にサボってたのを怒られたから、仕返しに数日前に出席表の神酒の部分を全部休みに書き換えたわ!その後に半泣きで斬りかかってきたけどね〕
「何というか大人気ないですね。というか、雑魚ベーさんの話とお二人の話ではスケールが違いすぎます」
え、砂の城を壊されるのって世界侵略より大変な出来事だろ。
〔そういえば、どうすれば元の姿に戻れるの?〕
キールが結構大事なことを言い出す。小学生姿だと特殊能力が使えないし、犯人がいるなら元の姿に戻らないとどうにもならないよなぁ。
「私が降伏してから十時間後くらいに元に戻るらしいですよぉっ!」
「降伏してから十時間とかどういう仕組みだ?」
「少女化は魅異さんの担当なので、私に聞かれても困るんですよねぇ」
あー、魅異の仕業か。
「また社長はそんなことをやってるんですか」
印納さんは呆れている様子。
〔それならそろそろ解散にしない?私は早寝する性質なんだけど〕
「まだ夕方だけどな。まぁ、特にやることはないから解散でいいか」
探すのは明日にして、今日はゆっくり休もう。
で、一晩寝たら元に戻ってた。
「ふぁ~、あ、やっと元に戻ったんですねぇ」
「お、雑魚ベー。勝手に泊まってたのか」
宿賃くらいは払って欲しいなぁ。
「って、枕が涎で恐ろしく濡れてるじゃないか!」
「少女達と滑り台で遊ぶ夢を見ましたからねぇ。ちなみに異常に多いときは五リットルくらいの涎を垂らすこともありますよぉっ!」
行方不明の女子小学生を心配してたから、女子小学生が夢に出たんだな。
ってか、五リットルは涎の量じゃないだろっ!
「あー、ところでどうやって敵の場所に行くつもりだ?」
「ふふふふふ、それは大丈夫ですよぉっ!特星侵略用に浮遊要塞をいくつか用意しておきましたからねぇ!」
そんなのにつぎ込むくらいなら俺に寄付したほうが良いぞー。
~浮遊要塞~
とりあえず、俺達は浮遊要塞で空を飛んでいるところである。
「ふっふっふ、浮遊要塞の感想はどうですか!?」
「いや、なんというか、よくこのガラクタの集まりが飛んだなぁ」
雑魚ベーが浮遊要塞と言ってるこれは、外見から見るとただの金属製のゴミの山にしか見えない。どうやってくっついてるんだ?
「ガラクタから作ったのは事実ですが、この要塞はガラクタではありませんよぉっ!」
「缶詰のゴミとかも混じってた気がするが」
「私は再利用を心がけているのです!水洗いしたから大丈夫なはずですしねぇ」
錆びてないだろうな。
ちなみにこの要塞の中の壁や床や天井はダンボールで作られている。
「何でダンボールなんだ?」
「壁とかのことですか?いやー、アミュリーさんの作った磁力エンジンを使っているので、鉄とかだと変形しちゃうんですよねぇ」
だからってダンボールはないだろ。まぁ、紙製ってロマンがあるけどさ。
「で、何処に向かってるんだ?」
「さぁ?そもそも敵の場所が判りませんからねぇ」
わからない場所に行こうとするなよー。
「あ、やっと見つけたー!」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あれ、希求?」
「おぉっ!希求さーん!」
後ろにいたのは希求だった。
雑魚ベーが抱きつきにいったが避けられた。
「と、ところで他の人たちはどうしたんですか?」
「むにゅー、秘密基地に居た全員が捕まってるんだよねぇ」
…秘密基地に居た全員がつかまってる?
「雑魚ベー、秘密基地には衣宵や小巻も居たのか?」
「えぇ。知り合いの小学生はほぼ全員が居ましたよぉっ!」
おいおい、犯人は印納さんや羽双より強いんじゃないか?
「場所はわかりませんかねぇ?」
「むにゅー、私は迷って此処に来ちゃったからねぇ」
というより、現在地が何処なんだろうか?
ダンボールに取り付けられた画面を見る。
あれ、エラー画面が移ってるぞ。ちょっと前までは地図と現在地が表示されてたはずだが。
「雑魚ベー、この画面にエラーが出てるんだが」
「あれ、おかしいですねぇ。特星のほとんどの場所は表示される筈なんですが」
希求のせいで特星以外に迷ったんじゃないか?
「悟さん、外を見てきてくれませんかねぇ?」
「んー、わかった」
ダンボール通路から外の見える場所に出る。
「うお、なんだこれ!」
外は辺りが真っ暗だった。
いや、自分の手が普通の明るさで見えるから、どっちかというと真っ黒か。
全方向の奥行きが真っ暗の中に一つの物体が浮いていた。
「おー、島か」
とか言ってる間にも島との距離は一気に縮まる。
[バアアアァン!]
浮遊要塞はそのまま島に突撃した。
「むにゅー、死ぬかと思ったよー」
「まったくですねぇ」
浮遊要塞は島に突っ込んだせいで大破してしまった。
「ま、まぁ、良いじゃないか。ほら、怪我がないから特星だってことも断定できるぞ」
「あ、そうそう。この島で迷ったんだよ!」
希求が迷ったってことはここにボスが居るのか。
「島の大体真ん中近くに大きな家があるし、あそこに主犯が居るのかな」
「うわ、村ですかあの家はっ!貴族や王族でもあの家は大きすぎますよぉっ!」
俺が言ってる大きな家は本当に大きかった。村といえるくらいの面積が一つの屋根の下にある。
柱が気の毒だな。
「むにゅー、あの家は広かったなぁ。柱が隅の四本だけなんだよ」
本当にどういう造りなんだろ?
~創造話の雷之屋敷~
「うわ、広いな」
思わず声が出る。
奥行きが見えないという凄まじい広さだ。しかも全面畳という凄さ。
「でも、少女達がいませんねぇ」
「むにゅー、おかしいなぁ。この屋敷に皆が居たはずなんだけど」
まぁ、見えない位置に居るのかもしれないな。
「おぉ、私の予想以上の状況じゃないか!」
「うおっ!」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、一人の女性が立っていた。俺よりちょっと年上くらいかな?胸はそれなりで、将来の見込みはありだ。
あと、後ろにあるはずの壁は無く、広い部屋がずっと続いていた。
「誰ですかねぇ?」
「まぁいい、少し早いが紹介しておくか。私の名は雷之 天利!雷之家の導き手であり、悟や希求の真の母親だ!」
真の母親以前に偽がないけどな。
「俺の母親ねぇ。大分前に登場をチラつかせて今更登場とは、ゲームとかのラスボスみたいじゃないか!」
「ふふふん、実にその通りだ!そう、私こそが悟の物語の元凶でありラスボスなんだぞ!まぁ、詳しいことは後々話してやろう!」
そういうと天利はどこかへ消えた。
倒した後に無駄話を聞くのも嫌だなぁ。
「やぁ、やっと来たようだね諸君!」
そのとき上から男の声が聞こえる。
上を見ると、天井の蛍光灯に変な男がぶら下がっていた。年は雑魚ベーと同じくらいだろうか。
「うわぁ、変態そうな男ですねぇ」
雑魚ベーに言われるのだからよっぽどだな。
「むにゅー、夏前にコートを着てるなんて変な人だね」
「いや、それは断じて変じゃない!主人公の衣装だから仕方ないんだ!」
はっ、ということは天井の変態も主人公!?
変な奴だからコートということはないだろう。それだと俺も変だという結論になるからな。
「いやいや、甘いぞ君達っ!このコートの中を見ろ!」
男がコートを脱ぎ捨てる。すると中には別のコートが着られていた!奴は二重コートか!
だが、所詮はその程度か。
「お前こそ俺をバカにするな!俺は四重コートだぞ!」
俺は自分の着ている四つのコートを脱ぎ捨て、シャツだけの状態になる。
「どうだ、参ったか!」
「はぁ、私が四つ以内しかコートを着ない?そんなことはありえん!」
男は着ているコートをどんどん脱いでいく。
く、最初のは様子見だったというわけか!
「女性の衣装に十二単というものがあるだろう?だから私は倍の二十四コートだ!」
男は二十四枚のコートを全て脱ぎ捨て上半身裸になる。
よく見ると、コート男はやけに体がやせている。下手したら顔のほうが大きく見えそうだ。
「あの、どうして直接コートを着てるんですか?普通は服の上に着るものですよねぇ?」
「それは常に負担を減らす努力をしているからだよ。二十四コートを身に着ける動きを封じられ、水分という生命活動に必要なものを多くとられてしまう!」
おぉ、それは恐ろしいな!
「要するに重くて汗が出やすいだけだよね」
「いやー、そうなんだよね。わざわざ判りにくくしたんだから直さないでほしいよ」
「はーい」
希求とあの男の言ってることが正しければ、俺は相手の言葉に騙されたのか!?
「よくも騙したなー!」
「え、騙されたの?やーい、あほコート!」
「二十四コートを着込んでる奴に言われたくない!」
それに主人公の俺はいざという時はとても勇ましい筈だ!
「はいはい、コート同士で争わないでください。…さて、やけに細い体の貴方は何者ですかねぇ?」
く、コート同士でも俺の方が正常だ!
「もう予想完了の人も居るだろう。うん、私が雷之 皇神だよ。先に言っておくが、私は天利とは違って常識人だから安心していいよ」
「よし、安心だな!」
「むにゅー、久々の常識人だねぇ」
俺達が安心している間に皇神がコートを着なおしていく。
「ちょっと二人とも!六月にコート二十四枚も着てるような人が常識人というのはおかしいですよぉっ!」
うわ、雑魚ベーに正論を言われてしまった!
「うむむ、確かに!私は常識人じゃないのかもしれないね!」
「貴方は反発するべきですよぉっ!」
あれ、何故だかツッコミをやる気分になれないぞ?
そういえば昨日も一時的にボケたい気分になった気がする。どうしてだろうか?
「うーん、なるほど。…雑魚ベー、君はどうやらやる気が低くても調子が保てるようだね」
「え、どうして私のあだ名を?」
あれ、本名じゃなかったっけ?
「君の名前は一応有名なんだよ。それこそ主人公の悟以上にね」
へー、それはすごいなぁ。
「おー、そうですか!…あ、ところでさっき言ったやる気が低いとかは何のことですかねぇ?」
「ん?あぁ、私の能力だよ。本来の能力は雰囲気を操る能力なんだけど、応用しすぎてやる気を操る能力みたいに使うことが多いよ。しかも非質系だぞ!うらやましいだろー!」
非質系って女性の割合が多い気がする。
「それで今回の事件はあなた達の仕業ですね?少女達を誘拐するなんて許しませんよぉっ!」
「あー、それの犯人は教えないよ」
戦闘で勝ったら教えてやるパターンか。
「ふふふ、ならば私が勝ったら教えてもらいますよぉっ!」
「やだ。面倒。帰る」
「逃がしませんよぉっ!必殺、ジャンピングキック!」
「おっと!」
雑魚ベーがジャンピングキックをするが外れる。ちなみに避けられたのではない。
あー、暇だ。希求はもう寝ちゃっている。
「こらー!飛び出したら危ないじゃないか!もうちょっとで当たりそうだったぞ!十億セルくらいの慰謝料払えー!」
「狙ってるんですよぉっ!ってか、当たってないのに慰謝料請求しないでくださいっ!」
「やーい、大人らしく素直に支払いなよー!じゃ、私は逃げさせてもらう!」
「子供ですか、貴方は!よーし、絶対に倒しますよぉっ!」
二人はどこかへと走り去っていった。
言い争いのレベルが低いなぁ。
「あれ、ちょっとはやる気が出てきたのか?」
うん、さっきまでは喋る気すら出なかったが、今は普通の気分だ。
「待ってくださいよぉっ!」
「敵を待つわけないだろう!私は逃げ切るよっ!」
あれ、前に走っていった二人が後ろから走ってきた。そしてそのまま前に走り抜けていく。
「部屋がループしてるのか?」
「ふふふ、よく気づいたな!」
あ、天利がいつの間にか希求の傍に立っている。
「希求危ないっ!って、寝てたんだった」
「別に危害は加えないぞ。私の能力を披露するだけだ」
天利みたいに敵に能力を教える人ってハンデのつもりなのかな?
「今から希求は他の女の子達の場所で数時間寝てしまう」
天利がそう言った瞬間、なんと希求が消え去った!
「おー、拍手拍手!」
とりあえず拍手で褒め称える。
「妹が消されたのに余裕だな。…あ、さっきのは判りやすいように口で言ってやったんだからな!その気になれば無言で冥土送りにだってできたんだぞ!」
人を遠くに送り届ける能力か?
「私の能力は物語を操る能力。私はほとんどのものを操ることができる。細かくは無理だけど」
物語を操る能力ねぇ。聞くまでもなく非質系だよなぁ。
「私が今から面白い話をしてやるぞ!聞きたいだろ?」
「いや、別に」
面白い話とかに興味はないからなぁ。
「そうだろうな。…面白い話に興味はあるか?」
「興味?興味はあるな」
…あれ?興味がないはずなのに興味があるって言っちゃったぞ!
俺は面白い話に興味なんかないぞ!
「ちょ、ちょっと待て!」
「うーん、本心から興味があるようには聞こえないぞ。本心からそう思うのか?」
「当然だ!」
何故だかさっきまでは興味がなかったが、普通は興味があるに決まってるじゃないか!
「うん、効き目ばっちりだ!元に戻すか」
あ、興味が普通くらいになった。
「さっきから何かが変な気がするな」
「それは当然だ!私の能力でさっきのような受け答えをする物語を創ったんだぞ」
本心まで変えられるのは確かに凄いな。
「気が変わった。話を聞かせてくれ」
「よし、まかせてくれ!まず、私の当初の目的は兄妹に恋愛経験をさせることだ!だが、悟の相手と妹達の相手を探す手間を省き、難易度の高い恋愛経験させる方法は、兄妹での恋愛意外に方法はなかった!で、兄妹で恋愛作戦を決行したのだ!」
なるほど、妹達との微妙な恋愛フラグはそのせいか。
「それで決行日は?」
「特星が作られるより前だから、悟が保育園だったか小学生くらいのはずだぞ!」
その時点で妹達は生まれてたのか?
「校長を知っているだろ?彼が特星を作ったのも私が能力で作るように仕向けたんだぞっ!」
特星を作ることも仕組んでただと?
「なら、特殊能力とかはどうなんだ?物語を操る能力もお前が作ったのか?」
「お前じゃなくて天利と呼べ!私は母だぞ!」
呼び捨てはいいのかよ。
「この能力は校長の拾った薬の一つで覚えたものだ。言っておくが、超レアだぞ~」
校長と同じく食べ物とか買えなかったのか?
「で、大体は私の計画通りに物語は進んで現在に至るわけだ」
「大体?」
「あぁ、大体だ!…悟の友人に魅異がいるだろう?彼女は私の作る物語の中の一つの役割を任せてたんだが、何故だか私の物語どおりの行動をしないのだ!」
魅異に強制させるのは無理だろうなぁ。能力とかそもそも通じないだろ。
「それと少し前に問題を起こしたアキステ。やつも最近来たくせに私の能力が通じない!それでいい加減に疲れたからもう止めるつもりだ!」
「あれ、勝負前に解決か?」
「いや、それでは私の苦労が無駄になる。だから最後はラスボスらしく相打ちくらいで悟を倒してみせるさっ!」
俺が被害受けるくらいなら無駄で良いじゃないかっ!
「まぁいいか。親であろうとラスボス程度が負けイベント以外で主人公に勝てると思うなよ!」
「主人公の勝つ物語などこの私が作り直してやるっ!」
でも、どうやって勝てばいいんだ!?