一話 変態の代表
@悟視点@
ジメジメとした梅雨の季節。今日の天気は、梅雨らしさ抜群の雨だ。ちなみにこれで一週間くらい連続で雨が続いた事になる。
「まったく、こう雨ばかりだと嫌になりますよね」
「その雨の日に、濡れてまで来るな」
「だって、こういう日しか、お風呂を貸してくれないじゃないですかぁー」
「何で風呂を借りる必要があるのか問い詰めたいんだが」
「どんどん問い詰めてください!」
「却下!」
まぁ、風呂に入るついでに風呂掃除をしてくれるけどな。
「ってか、家に風呂くらい無いのか?」
「ありますよ!…あっ、今度入りに来ますか?」
「え……あー、断る!」
「一瞬だけ迷いませんでしたか?」
「気のせいだ!」
油断してたから一瞬動揺してしまった!こんな事じゃあ何処かの変態と同類じゃないか!まぁ、遊びに行くだけなら行きたいかな。
[ピンポーン、ピピピピピピンポーン]
「誰か来たみたいですね」
「誰だ?」
ってか、連打するなんて礼儀のなってない客だな。
「今出ますよー」
こんな雨の日に来るなんて誰だ?
「誰ですか…って、あ!」
「あれ、誰の家かと思えば、宿敵の悟さんではありませんか!」
コイツは、特星一のロリコン男の雑魚ベー。本名は何とかサイドショットらしいが忘れた。何故か俺を宿敵扱いして勝負を挑んでくるが、ほとんど自滅する。
小学生以下の少女が大好きで、見つけては飛び掛って抱きついている。その度に凍えるような罰を受けていたりするが、喜んで受けるので逆効果だ。
特殊能力はやられる度に強くなる能力で、助質系だ。このように助質系は、能力補助の効果のものがほとんどである。
コイツについて説明不足なところは多いが、変態であるのは確かだ。
「で、何のようだ?」
「はっ、そうでした!アミュリーさんと雨双さんが、雨に濡れたので雨宿りをさせてもらいますよぉっ!」
「邪魔するぞ」
「お邪魔するんだってば!」
この二人は、雨双とアミュリーといって雑魚ベーの…保護者だな。二人とも小学生だから雑魚ベーが保護者に見えるかもしれないが、雑魚ベーの保護者だ。何故なら雑魚ベーは、常に近くにこの二人が居ないと他の女子小学生などに抱きつきに行くからだ。
とは言っても、この二人が居ても大して変わりないけどな。
アミュリーは、五重人格で人格によって瞳の色と口癖と知力と特殊能力が変わるんだ。今の状態は、一番基本の状態で尾語に『だってば』(疑問系の場合『だっけ?』)がつく。神様の職業をやっていて、特星の重要会議に参加してる偉い奴だ。ただし、保育園児並に頭が悪い。
今のアミュリーは、一番基本の状態で磁力を操る能力と、一定の衣装を着ることにより様々な技を使える能力だ。ちなみに後者の技は、神様になって習得した技である。
雨双は、魅異の弟子の内の一人でまとも。これといった特徴が無いが雑魚ベーに対しては結構厳しく、よく注意や説教をしたり罰を与えている。基本的に呼び捨てで相手を呼ぶが魅異に対しては、さん付けをする事もある。そして結構頭が良かったりする。
冷静な性格…に見えるが、実際は冷静でもなんでもない。氷を操る能力が使える。ちなみに特星で二番目くらいの強さを持つ兄が居る。
「魑魅、タオルを三つ取ってくれ」
「分かりました!」
「三つも借りるわけにはいきませんねぇ。一つで良いですよぉっ!」
「あ、分かりました!」
雑魚ベーの注文に答えて一つだけ持ってくる魑魅。恐らくアミュリーと雨双に使わせた後に使うつもりなのだろう。
「レディファーストでお先にどうぞぉっ!」
やっぱりか!
「お前にしては珍しい心遣いだな」
「ありがとうだってば」
二人とも気付いてないし!………意外に信用されてるんだな。
「さて、遂に私の番ですねぇ!輝くこの二人が使ったタオルを私が使う時が遂に来ましたよぉっ!アハハハハハハハハハ!!」
「やっぱりそういう事か。特技、アイススイート!」
[ズガガガガガガガァッ!!]
「うはあぁん!」
雨双の巨大な冷凍光線で雑魚ベーは、見事に完全凍結した。あーあ、言葉に出さなければ普通にタオルを使えてたのに。
「ひえぇ〜、さっきの技のせいで室内気温が、一気に数十度下がりましたよ!」
魑魅の言ってるように室内が一気に寒くなった。
「全力のアイススイートだったからな」
「寒いんだってば…」
「そうだ悟さん!二人で抱き合って体を温めましょう!心も体も温まりますよ!」
「寒いけど却下!」
凄く賛成だったが却下してしまった。だって…少女に抱きついた場合の雑魚ベーと、魑魅に抱きつかれた場合の俺が重なって見える気がするから!
「うぅ……非常に残念ですが、仕方ありませんねぇ」
俺も非常に残念だ。
「ところで何でこの町に居るんだ?」
この場所は、雑魚べー達の住んでる瞑宰京から船で数時間もかかる所だ。
「神社を作りに行くんだってば」
「神社?」
「アミュリーの神社を雑魚ベーが作ってるんだ。ある島の幽霊の住む寺の近くの土地を譲ってもらってからは、毎週雑魚ベーが建設に向かってるんだ」
幽霊が出る寺の近く…よくそんな所に作る気になったな。
「幽霊の出る寺の近くの神社ですか!悟さん、今度一緒に行きましょう!」
「何処でも行きたがるなぁ」
まぁ、暇があれば行きたい。
「そういえば今頃だけど、その人は誰なんだ?」
「そういえば知らない人だってば!」
「そういう貴方達こそ誰です!?私の悟さんの仲間ですか?」
あ、お互いに紹介をしてないのか。
〜三十分後〜
とりあえずお互いに自己紹介が完了。自己紹介だけで三十分も過ぎてしまった!
「要するに変態集団ですね!」
「変態は、そこの奴だけだ」
魑魅の意見に雨双は、凍り付いてる雑魚ベーを指差す。確かにそいつだけだ。
「ところで何か起こらないんだっけ?」
「どういう意味だ、アミュリー」
俺の居るところに問題ありとでも言いたいのか?言っとくが俺は、できる限り問題を避けるようにしてるから何かが起こる事なんか無いぞ!毎日問題に巻き込まれてたまるか!
「とりあえず寒いから氷を溶かせ!」
「それなら良い方法がある」
雨双がそう言って凍った雑魚ベーの前に行き、紙のような物を見せ付ける。
[シュウウウウ]
って、氷が溶け始めたぞ!
「一体何を見せたんだ!?」
「あぁ、夏の水泳大会の時に取った写真だ」
確かに雑魚ベーには、それが一番効果的だな。
「恐るべき少女の力ですね」
「まったくだ」
魑魅の意見に同意する。
[ズゴオオオオオオオオォォン!!!]
「なんだぁ!?」
急な爆発音のような音に皆が驚く。って、雑魚ベーの姿が見当たらないんですけど。
「あれ、何で皆さんは、そんなに小さいんですかねぇ?」
「この声は、雑魚ベーか!一体何処に居るんだ!?」
「上を見れば分かりますよぉっ!」
「上?」
少し上を見上げると、やけに大きな雑魚ベーの姿が。
「って、何故こんな展開になってるんだ!?」
「さぁ?私に聞かれましてもねぇ」
雑魚ベーの大きさは、家一つ分くらいの大きさだ。そして服は破れたらしく、上半身が裸である。
「というか、家の半分くらいが壊れたじゃないかコラ!」
「気の毒ですねぇ」
「お前のせいだろ!」
まぁ、次の話になったら復活するけどさ。
「ふぅ、酷い目に合ったな」
「助けてだってばぁー」
「ふぇぇ…」
雨双は、何とか瓦礫の中から出てくる。アミュリーは、大量の布団に潰されていて、魑魅は、無事なようだが気絶中である。
「雨双、あのアホは、何で巨大化したんだ?」
「少女の写真を見せた事で、細胞が活性化して突然異変を起こしたみたいだ」
「突然異変でもあの大きさは、普通ではありえないだろ」
「特星だから仕方ないだろ?」
「あー、確かに特星だから仕方ないな」
特星では、何が起こっても不思議じゃないからな。
「そうだ、この大きさなら夢の少女王国を作れそうですねぇ!そうしたら私が、女の子と一生過ごす事も夢ではありませんよぉっ!!」
なんか馬鹿な独り言を言い始めたぞ。
「どうすれば元の大きさに戻せると思う?」
「私もこんな状態にしたのは、初めてだから分からないな」
「全ての少女は、私の物になりますよぉっ!」
早く止めた方がよさそうだけどな。
「その前に宿敵である悟さん!貴方との決着をつけておきますよぉっ!」
「えぇっ!?俺と勝負するのかよ!」
「そうか。じゃ、任せたぞ」
雨双にも見捨てられた!どうやってあの巨大な変態に勝てと?とりあえず時間稼ぎをしないと。
「今頃だが何でズボンは、破れてないんだ?」
「どういう事ですか?」
「服が破れたんだから、ズボンやパンツも破れるだろ」
案外不思議だったりする事実だ。
「あぁ、パンツなら破れましたよぉっ!」
「パンツだけ破れたのかよ!?」
何でズボンは、破れてないんだ!?いや、破れても困るけどさぁ。
「ズボンは、どうして破れないんでしょうねぇ?まぁ、特星ですから仕方ないと思いますよぉっ!」
「確かに特星だから仕方ないな」
小説の都合上、ズボンが破れませんでした………って事だな。
「それでは、覚悟してくださいよぉっ!必殺、ジャンピングキイィィック!」
[ドガアアアァァァァン!!]
ジャンピングキックは、家の二階くらいまでジャンプして、回転しながら蹴ってくる技だ。
大きいから威力も高いし!って、いつの間にか雨双やアミュリーや魑魅が居ないし!
「ハッハッハッハッハ!これが私の実力ですよぉっ!」
「地面に突っ込んで抜けないように見えるが」
「…またこのパターンですかぁぁ!?」
「運と状況は、俺の方が有利になったな!」
瞑宰京に居た頃も同じような感じに自滅してたからな。というか、学習能力が無いんじゃないか?頭の中が妄想だけで埋まってる可能性がある。
「さて、どうやって元に戻せば良いんだか」
「それならお前のボケ役を出したらどうだ?」
って、いつの間にか雨双だけ居るし。
ちなみにボケ役というのは、俺の中…とは少し違う場所に居る別の俺だ。俺と同一人物という噂があるが記憶や性格が違う。だから俺の姿をした別人が乗り移ってると考えてる。ってか、俺とボケ役が同一人物なんて認めるか!
魅異に好意を抱いてるようだが、思考が狂ってるとしか思えない。
俺よりも丈夫で強いが、強い相手に挑んで負けることが多い。
特殊能力が不明でどんな武器でもバランスよく使える。普通じゃ出来ないような攻撃方法が使えるが、威力が強いとは限らない。
「いつの間に戻ったんだ?というか、残りの二人は?」
「氷で町の外に吹き飛ばしたから大丈夫だと思う」
「ちなみにボケ役は、しばらく登場してないから居ないと思うぞ」
気紛れで登場したりするからなぁ。
「なら誰でも出来る最終手段を教えてやろう」
「それを先に言うべきだろ!」
というか、誰でも出来るなら雨双が実行しろよ!
「疲れさせれば小さくなる」
「理論を説明してみろ」
「…じゃ、私は避難するから」
「おぉい!?」
理論なしの勘ですか!まぁ、大きくなった理論もない訳だが。
「どうやら元の大きさに戻そうとしてるようですが、そういう訳にはいきません!こうなったら、こういう時の為の緊急兵器を使いますよぉっ!」
「そんなの有るのかよ!?」
「えぇ、そうです!超巨大戦闘機、少女愛の哲学号の発進ですよぉっ!」
……………俺が驚いたりアクションのまま固まるが、何も起こらない。
「おい、表情を固定するのが疲れるんだが」
「あれ?おかしいですねぇ」
「ってか、声で登場する仕組みなのか?」
「あっ、リモコン操作でした」
作っといて使い方を忘れたのか。
「って、リモコンは、ズボンのポケットに入れっぱなしですよぉっ!」
「上半身近くまで埋まってるから出せないだろ」
せっかく真剣な場面の表情をしたのに損した!
「さて、そろそろ終わりにするか」
相手が大きいので俺は、巨大大砲で狙いを定める。何処から出したかの疑問を気にしたら、世界の神秘が崩れるので気にしないように。
「って、何処から出したんですかぁ!?」
「だから気にするなって!」
[ドゴオオオオォン!!]
「あばばおぼぉっ!」
台詞を叫ばずに吹き飛んでいく雑魚ベー。吹き飛ぶ時の常識を知らない奴め!
【そこの悟さん!これで終わったと思ったら間違いですよぉっ!!】
遠くから雑魚ベーの声がしたな。声の聞こえた方を見てみると…錆の塊が浮いていた。
【これこそが私の緊急兵器、少女愛の哲学一号ですよぉっ!ちなみに二号や三号などの続編もありますからねぇ!】
「吹き飛ばしてから戻るまでの時間が早くないか?」
【吹き飛んでる途中に呼び寄せて、見事に空中で乗り込みましたからねぇ」
巨大化した雑魚ベーを乗せるほどの超巨大兵器か。兵器の中でも武器系じゃなく乗り物系で、空中移動が出来るみたいだな。
「それにしても何でそんなに錆びてるんだ?」
【置いておく場所が無かったので海中に沈めておいたら、錆だらけになってたんですよぉっ!】
そりゃそうだ。ってか、沈めてたのによく動いたな。
【さぁ、私の計画の第一歩として倒されて下さいねぇ!】
[ドォン!ドォン!ドォン!]
三発のミサイルで攻撃か。威力が分からないから空中で爆破するか。
大砲だと狙いにくいので、愛用の銃を取り出す。この銃は、俺の能力で作り出す魔法弾を撃てるショットガンみたいな銃だ。普段使う事が多い。
「風向きの問題は無いな。水圧圧縮砲!」
[ドドドゴオオオオオォォォン!!]
水の塊を撃ち、ミサイルを空中で爆破する。水なのに爆破できる理由は、魔法弾だから。
ってか、ミサイルの威力高いな、オイ!建物数件の巻き添え程度じゃすまないぞ!
【ミサイルの値段は、高いんですから喰らって下さい!】
「高いなら買うなよ!ってか、威力高すぎるだろ!」
【地球のミサイルの方が威力は、数倍威力が高いですよぉっ!】
実戦用のミサイルと日常用のミサイルを同じにするな。まぁ、日常用があるのもおかしな話だが。
【まだまだこれからですよぉっ!超熱い光を喰らいなさい!】
[キィン、ドゴオォッ!]
超巨大なビームを辺りに乱射してくる雑魚ベー。全体攻撃らしく、辺りの家や店などに直撃してるんだが。
「おぉっと、危なっ!厄介な乗り物だな」
【ほちょちょちょちょちょぉっ!】
「何語だよ!?」
【フッフッフ、私の実力を思い知りましたか!】
それはない。
「ちょっと調子に乗りすぎじゃないか?」
【そうかもしれませんねぇ。しかし、私を倒す手段など無いでしょう?】
「甘いな雑魚ベー。まだ俺には、一つだけ方法が残ってるんだぜ」
【ま、まさか…あれを使う気ですか!?】
本当は一つ以上の方法があるが、展開的に一つと言っておく。というか、雑魚ベーは方法を分かってないだろ。
「あれって何だ?」
【えっ、ほ、ほら、あれですよ…あれ!うーん…?】
やっぱり分かってないのか!
まぁ、方法も決まってないけどな。どんな方法で倒そうか?
「よし、俺の使える最強の技で決めるか」
【あ、エクサバーストですねぇ!】
大正解!あ、エクサバーストというのは、俺の使える最強の技で、宇宙を消滅させる威力の技を圧縮した攻撃だ。だから威力が宇宙消滅級に高いが、圧縮されているので宇宙の消滅はない。この技を使える銃をエクサスターガンと言う。エクサスターガンの数は、世界に五個くらいしかないらしい。
【し、しかし私なんかにその技を使うなんてぇ……】
「あぁ、弾なら充電式だから大丈夫。エクサバースト」
[キィン!ドッゴオオオオオン!!!!]
充電不足のせいで効果音に迫力がないが、威力は宇宙消滅級の様子だ。相手の乗り物が大きすぎて何処に当たったか分からないが、直撃はしただろう。
[ヒュゥゥ〜、ドガアアアアアァッ!!]
「あ、墜落した」
エンジン部分にでも直撃したんだな。まぁ、俺の腕前は百発百中だからなぁ〜。
「くっ…まさか少女愛の哲学一号が事故を起こすとはぁ!安全面抜群のつもりだったんですけどねぇ」
雑魚ベーが中から出てきた。
「事故じゃない。事件だ」
でも事件だったら俺が犯人?それはそれで納得できないな。
「墜落しましたが、ミサイルがまだ残ってますよぉっ!しかもリモコンは私が持ってますからねぇ」
って、要塞のミサイル発射砲が見事にこっちを向いてるし!
「喰らいなさぁ〜い!」
……………俺が驚いたりアクションのまま固まるが、何も起こらない。しかも二度目じゃないか?
「おい、同じネタを二度やっても面白くないぞ」
「間違えて自爆ボタンを押してしまっただけですよぉっ!」
なんだ自爆ボタンを押しただけか。いやぁ、たいしたミスじゃなくて良かった。
「………って、良い訳あるかぁ!」
ミサイルも困るけど自爆ボタンも困る!
【ピー、自爆してやるから面白い事を言え】
「……雑魚ベー、自爆はどうなったんだ?」
「確かAI機能が付いていて、面白い事を言えば爆発する筈ですよぉっ!」
無駄な機能だなぁ。
「さて、どんな面白い事を言いますか?」
「そうだなぁ……って、爆発させてどうする!」
【ピー、一応合格】
一応!?
[バゴオオオオオオオオオン!!]
「あのなぁ、今の会話の何処に面白い要素があったんだよ!」
「全部だと思いますけどねぇ」
「お前のギャグセンスが分からんわ!」
ちなみに爆発オチの常識とは違い、吹き飛んでないしアフロ頭でもない。……俺のギャグセンスがおかしい?気のせいだ気のせい。
「ふふふふふ、やっと見つけました」
「げ…魑魅!」
何処からか現れたのは、他の誰でもなく魑魅…いや、兇悪な力の持ち主の悪魑魅だ。無駄だと思うけど一応警告しておくか。
「雑魚ベー、悪い事は言わないから今日は諦めろ」
「そうはいきませんよぉっ!貴方達が二人で向かってきた所で、巨大化した私に敵うはずがありませんからねぇ!」
「あぁっ?お前なんか私一人で十分ですよ?」
口調が敬語なのにお前とか言ってるところとか怖い。でも俺は悪魑魅って普段より性格が良い気がする。ワザと迷惑をかける事がないからな。
「ならば私の真の力を見せて…」
「悪技、不意潰し」
[ズゴオオオオオオオオン!!]
不意打ちの強化版のような技で、雑魚ベーを空中から地面に向けて殴る魑魅。半端じゃない威力で、巨大化した雑魚ベーが見えないくらいに地面に沈む。
「どぅはぁっ!殺す気ですか貴方は!」
おぉ、気絶せずに生きてた。
「何だ、まだ平気なんですか」
「あの程度の攻撃なら巨大化するまでもありませんねぇ!」
後頭部に薬を塗りながら言っても、まったく説得力がないぞ。ってか、外傷より内部の骨折とかの方が多いだろ。
「まぁ、雑魚相手によく使う速攻用ですから」
雑魚ベーは雑魚として見られている様子。まぁ、名前的にも実際の実力でも雑魚だけどさ。
「私はそこまで弱くないですよぉっ!少女相手の場合以外は最強ですよぉっ!普段は手加減してるだけですからねぇ!」
それはない。
「お前程度が強いんですか?なら私はお前達のレベルに比べたら、最強クラスじゃないですか。」
「だから私の方が強いですよぉっ!そうですよねぇ?」
俺に聞くな。
「もういいや。悪魔、星となる悪役」
[キラーン]
いつの間にか雑魚ベーが吹き飛んでいった。
ちなみに魑魅の悪魔って言うのは、悪の魔法を略して悪魔と呼んでいるんだ。
「さて、帰りましょうか、悟?」
「そうだな」
俺の名前もさん付けじゃないな。
「オイ、今回の騒動で町が壊滅しましたよ」
「そうだな。まぁ、次回には直るだろう」
アニメや漫画では定番だよな。
ちなみに別の町で巨人が発見されたらしい。上半身が裸でズボンを穿いていたが、パンツは穿いていなかったと、目撃者の数々が証言している。
もうやだあの変態。