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十六話 本部の悟ンジャー全員登場!

@魅異視点@


面白いねぇ、実に面白いと思うよー。


「私も楽しませてもらうよ」


そろそろ相手も来る頃だろうからね。


「ささっと登場!あら、貴方は何とか社の社長じゃない」


私の対戦相手は泥棒のセーナだね~。


「私は神離 魅異。勇者社の社長だよ」


「偽者決定!本物はもっと癖のある喋り方のはず!」


あれは気分でやってるだけなんだけどね。


「まぁ、偽者であろうが本物であろうが私に勝てるわけがないわ」


「私は面白ければそれでいいんだけどね~」


確か羽双に負けてたはずだから、羽双より弱めの実力で頑張ろう。


「よかったね。羽双が悟ンジャーを断ってなければ、貴方と戦ってたかもしれないよ」


「私はそんな過去の事は全然気にしないの!危険技、急所狙いの毒針!」


大量の毒針を凄い速度で投げてくる。急所狙いというより乱れ撃ちだね~。


時間を操る能力と普通の攻撃だけで問題ないかな。


「時送り、過ぎ去りし時間」


この技により、投げられた毒針だけの時間を先送りして、通り過ぎた状態にすることができるよ。


「じ、時間を操る特殊能力!」


あ、やっぱり過去を気にしてるみたいだね。


「く!危機、全てを飲み込む大穴!」


私の下に大穴が現れる。


「私は浮けるよ~」


「危険、地下からの溶岩噴火!」


「時止まり、急性時止まり病」


噴火させようとしてくるので、私の下の地面の時を止めて防ぐ。


「はい、時間切れ。時切り、時間の都合による中断」


「え?」


時間の都合によりセーナを特星に送り返したよ。


まぁ、本当は時間の都合なんてどうでも良いんだけどね~。


「せっかくだから明日の朝まで時間を進めようかな」






@悟視点@


「お、朝か」


朝から重苦しいと思ったら、印納さんが寝ぼけて布団の上から俺に乗っかっている。


「印納さーん、朝ですよ。というか、重たいからさっさと退いてください」


いや、普通の人よりは軽いけどさ。


「お腹減ったー。食べ物くれないと退かないぞー」


「持ってません」


「じゃ、退かない」


殴りたいけど、今殴ったら食材にされそうだ。


「…人って食べれるよね?」


「食うなよっ!」


本気で食われそうだ。


「なら、悟は?」


「俺は人ですよっ!」


頭が痛い。朝からツッコミはしんどい。


この際だから、印納さんを放っておいて先に行こう。


「俺は用事があるから先に行きますよ」


「待った!この非力な戦力外の女の子を放っておいたら駄目よ!」


戦力的に俺より上のはずだろ。


「いや、本当に急いでるんですけど」


「先に私を食べ物のある場所に運びなさい」


運べって、自分で探せばいいと思うんだけど。


「運ぶってどうやって?」


「そうねぇ。じゃあ、背中に乗ってあげる」


うーん、印納さんくらいの重さなら問題はないが。


「それって普通に恥かしくないですか?」


「あー、普段から恥かしいような性格だから大丈夫」


一応だけど自覚しているんだな。


「はぁ、分かりました。敵の居場所に食べ物があるかもしれないので、そこまででよければ運びます」


「やったぁー。あ、途中でやめたら槍を投げるからね!」


「本気でやめてください」






~必殺競技場~


おー、大きな競技場だな。


「遅い!この俺を待たせるとは何様のつもりだ!」


お、東武だ。


他にもエエナ、魑魅、魅異の三人が居るぞ!


「俺以外の四人ってお前たちだったのか」


魅異が居るのが一番不思議なんだが。


「此処に居るメンバーには共通点があって、私もその共通点に当てはまってるからね」


あ、魅異の喋り方が普通になってる。


「悟さん聞いてください!昨日の私の対戦相手が黒悟さんだったんですよ!」


「私の相手は春夏さんでしたよぉっ!」


黒悟ってボケ役のことか?


春夏は確か別世界で戦ったやつだったよな。


「というわけで、貴様にこの場に居る共通点を教えてやろう!」


全員が非質系能力者ってのは違うよな。俺が質系の能力者だし。


「此処に居るメンバー全員が本部の悟ンジャーのメンバーなんだよ」


はい?魅異の言うことがよく分からないんだが。


「やはり貴様程度では理解できないようだから教えてやろう!俺が悟ンジャーパーフェクトリーダーだ!」


「私は悟ンジャー小少女色ですよぉっ!」


「私が悟ンジャーグレーです!」


「そして私は悟ンジャーシンリだよ」


えぇっと、俺がブラックで東武がパーフェクトリーダー、エエナが小少女色で魑魅がグレーで魅異がシンリか。


いろいろ言いたいがあえて一つ言わせてくれ。


「お前達は何がしたい」


「要するに事件の解決部隊の結成だね。ちゃんと悟ンジャーの製作者にも許可を取ったよ~」


〔魅異の頼みじゃ断れないぜ!」


く、ボケ役も関係していたのか!


「貴様には報告されていないだろうが、今回は悟ンジャー結成以来の初仕事だ。東武ンジャーならばどんどん仕事が来ていただろうがな」


意外にも東武が結構やる気満々だな。


「本来なら五人で来ることはないんですが、今回のように五人必要な場合もありますよ」


「今回の場合は途中のボスが五人でしたからねぇ」


それなら結成前に一声かけてくれよ。


「大体の事情は分かったが、パーフェクトリーダーと小少女色とシンリってのはなんだ?」


「あ、私の小少女色は雑魚ベーさんが考えた色で、私と雑魚ベーさんのどっちもが使える色ですよぉっ!ちなみに雑魚ベーさんは悟さんの宿敵なので、対になる白の色だと考えて問題ありません。元は雑魚ベーさんの純粋で健全な心を表す色として考え出されたんです」


ということは、雑魚ベーとエエナは同じ色なのか。


とにかく小少女色は白と考えろってことだな。


「俺のパーフェクトリーダー色はまさにこの俺に相応しい!全ての世界の頂点である俺を表すように、全ての色を意味するのだぁ!」


えーっと、混ざってない全ての色ってことか?


「シンリは透明色だよ」


魅異の説明が一番分かりやすかったが、普通に透明色でよくないか?


「私達五人が基本となる悟ンジャーで、本部の悟ンジャーって言われてるんだよ。私達以外にも地方の悟ンジャーがいて、運がよければ助けてくれるんだよ」


「地方?」


「例えば秋方から船とかで別の大陸に行けば、悟ンジャーレインボーが居たりするね」


俺たちよりもだいぶまともな色じゃないか?


「面白そうな遊びをしてるじゃないか。うーん、面白くないな」


と、急に第三者の声が!


「それ、エーケスティさん登場!こっちだこっち!」


競技場の真ん中から聞こえてきた。


「お前たちに一つ言わせてもらう!一対五は卑怯だ!」


詳しい自己紹介も無しでいきなり話を進めやがった。


「貴様!事件を起こした分際でこの俺に意見する気か!」


「あー、悪い。既に意見した後だから手遅れだ」


確かにそうだけど他に言う事はないのか?


「というわけで、そっちは一人を選び、その選ばれた奴と俺が勝負するってルールはどうだ?ちなみに選ばれた人以外による場外からの遠距離補助や攻撃は有りで」


「いいだろう!この俺がそのルールの使用を許可しよう!」


東武が勝手に決めちゃってるけどいいのかな?


「で、そっちは誰が来るんだ?」


「ならば、俺が一撃で灰にしてやろう!」


「待った、東武がいったら東武の勝ちは決まってて面白くないよ」


魅異、面白いかどうかで決めるのはどうかと思うぞ。


「ふむ、それもそうだな。雑魚を使って勝つほうが俺の戦力の高さが分かるというもの。そして戦力外に等しい者は一人だ」


なんか、俺に視線が集まってるんですけど!


「背中に誰かを担いでますしね」


魑魅の言葉で思い出したが、印納さんが俺の背中に乗ってるんだった!


ってか、寝てるよ!


「印納さん、器用な寝かたをするんですねぇ」


あれ、エエナは印納さんと知り合いなのか?


「お、主人公か。それなら特別に印納を担いだ状態で勝負して良いぞー」


「いや、そんな特別ルールは要らないから、俺の出場を拒否してくれ」


勝負中に印納さんを起こしたら、食べられる気がする。


だが、ここで逃げたら主人公を辞めさせられそうなので勝負の場に向かう。


「喋り方が似ていて紛らわしいけどよろしくっ」


「事件の主犯なのにこの威厳のなさはなんなんだ」


「これが俺のカリスマだ!」


意味を理解しているのか?


「さて、特別ルール設定始動!」


エーケスティがそう叫ぶと、このステージを囲む結界的なものが出現した。


「この結界は人を通さず技を通す優れもので、この中にいる間は出血しないというお子様向けの状態になる!」


「怪我とかをしたらどうなるんだ?」


「出血はしないし、怪我の部分は黒い霧に覆われる!」


おー、切れたりするけど血は出ないのか。


「いや、俺って一般人だから血とかはちょっとさぁ」


星を作れるやつのどこが一般的なのかを問いたい。


「当然ながら消滅とかは普通にするが、爆発や炎や雷の影響はギャグ風になるんだぞ!」


普通の考えのような普通じゃない考えのような。


「ま、どんな設定だろうが主人公は絶対に負けないけどな」


「絶対なんてあてにならない言葉の代表だぞ。ま、勝負すれば結果は分かる!異技、無敵回転!」


異技と言ったら魅異とかが使う凄い技じゃないか!


だが、エーケスティは回っているだけだな。


「名前で分かると思うが、この技を使えばどんな攻撃も通用しない可能性がある!」


断定はしないんだな。


「なら、試してみるか。水圧圧縮砲!」


水圧圧縮砲で何発か攻撃してみるが、全て回避される。


「私達も場外から援護しましょう!善技、聖なる光の巨砲!」


「私は悟をコンテニューさせてあげるね」


魑魅の巨大光線がエーケスティに放たれるが、またしても回避される。そしてその光線は地面に当たって反射され、こっちに飛んでくる。


「って、うおぉっ!」


巨大光線を間一髪で回避。だが、結界に当たるとまた向きを変えて、結界内を飛び回っている。


よく見ると同じように、俺の水圧圧縮方も結界内を反射して飛びまわっていた。


「ふふふふ、この結界は内側からの攻撃を反射するんだ!だから外から遠距離攻撃で攻撃したら、その攻撃は消えるまで結界内を飛び続ける!」


「く、俺に当たる可能性があるから、仲間は強すぎる技で攻撃できないというわけか」


俺を気遣う心を逆手にとるとは!


「ははははは!俺の攻撃を受けやすくするとはいい度胸だ!ゲニウス、来い!」


「はい、到着しましたー」


「エーケスティ!貴様がそれを望むならばリクエストに応じてやろう!」


と、東武?お前、まさかとは思うけど俺なんかお構いなしというわけじゃないよな?


「おい、俺がこの結界内に居るからな!」


「貴様など俺の知ったことではなぁい!ゲニウス、エクサバーストの乱れ撃ちだ!」


「了解!」


俺の自己主張を完全に切り捨て、エクサバーストを結界内に乱れ撃ちしやがった!


「うおおおぉっ!味方にやられるー!」


「いやー、大変な事になったなー」


エーケスティは余裕で回りながら回避している。そして水圧圧縮砲を弾き飛ばした!


く、味方が最大の敵だなんて!


「動いていて当たらないのなら、動きを封じれば問題ありませんねぇ。封印、動き封じのカム球」


エエナは動きを封じるカムをたくさん撃つが、その攻撃が当たらないんだという事に気づいていない。


「あ、しまった!」


俺の動きが封じられたところに、エクサバーストが!


「ぎゃあああっ!………あれ、無事だ」


一回凄まじいダメージを受けた気がしたが、体や服が完全に無傷である。


「エクサバーストを受けたから、私がコンテニューしてあげたんだよ。ちなみに印納さんには物理学無視法を使ってあるけどね~」


その割にはすり抜け効果がないみたいだけど。


ってか、印納さんのことを忘れてたな。


「俺にも物理無視を使ってくれよ!」


「私がそんな要望に応じると思ってるの?」


いえいえ、全然思っておりませんとも。


「ふ、エクサバーストを回避できる程度で俺を攻略できたと思ったら大間違いだ!」


俺はついさっき直撃したぞ!


「エクサバーストの百倍凄い技を見せてやる!ゲニウス、エクサスターバーストだ!」


「任せてください!」


少しの溜めの後に、ゲニウスはエクサバーストよりも大きく強そうな攻撃を放つ。


「大きくて避けれないだろぉっ!ぎゃほぁんっ!」


再び、大ダメージの感覚に襲われた後に復活したが、百倍の威力ほどではないと思う。


「東武ー、この攻撃は本当に百倍の威力なのか?」


「俺は百倍のすごさとは言ったが、百倍の威力などと言った覚えはない!詳細を説明してやると、威力の十倍と攻撃範囲の十倍で百倍という訳だ!どうだ、エクサバーストを使える貴様でも、これには敵わないだろう!」


俺を狙って撃ったんじゃないだろうな?


「あ、あれを見てください!」


「おや、黒焦げの物体がありますねぇ」


エーケスティの居た場所には黒焦げの物体があった。


「無理だろ!回転しても無理だろ!」


お、黒焦げになったエーケスティだ。


というか、よく黒焦げだけで助かったな。


ちなみにエクサバーストやエクサスターバーストは未だに飛び回ってる。ついでにゲニウスが次々撃ってるから増えてる。


「あー、面白くないな。うん、実に面白くない」


エーケスティが何かを言い出すが、楽しそうに言ってるので説得力がない。


「そこの主人公。特殊能力や特星がない世界に生まれた時のお前の夢はなんだ?ぎゃあああぁっ!」


エーケスティが変なことを聞いてくるが、よそ見をしていた結果エクサスターバーストに当たった。


地球に居たときみたいな俺の夢?


「うーん、何かの射的選手になりたいかな。ぎゃうんんんっ!」


今度は俺にエクサバーストとエクサスターバーストが同時に当たる。


「はぁ、やっぱり面白くない。ぎゃぶふぁっ!俺は将来の夢を聞いてるんだぞ!おわああぁっ!…攻撃が激しくなってきたから話は後な」


自分から話しかけておいて何を言うか。


正直、シリアスな展開にはなってほしくないんだよなぁ。この考えは他のやつらの影響だろうけど。


それにしても、エクサバーストが効かないなら、どうやって倒せというんだ?


「貴様達、この俺のエクサバーストを喰らっておきながら、暢気に会話をするとは許せん!」


「エクサバーストとエクサスターバーストを撃ったのは私ですよー」


確かに東武は上で指揮をしてるだけだよな。


「あぁ、すまなかった。後で爽やかな果物でも奢ってやろう」


「いやぁ、流石は東武様!」


ゲニウスって東武に物でつられてるだけじゃないか?


「先に言っておくが、幼嫁の部下入り祝いのついでだからな。さぁ、まだまだ攻撃だ!」


「はいっ!」


よく見ると避けれる範囲の方が少なくなってるし!


「悟さーん!大丈夫ですかー!?」


「私は疲れたので少し休憩しますよぉっ!」


おいおい、これってそのうち放置されるんじゃないだろうな。


「これはもう駄目だ。結界を解除する!」


エーケスティが結界を解除した瞬間、結界内の攻撃が外に散乱した。


「はい、結界を解除したからエーケスティの負けだね~」


「まぁいいさ。負けた方が面白いし」


どんな感性だよ。


「さて、それじゃあ悟ンジャーの皆はもう帰って問題ないよ。この星は数時間後くらいに私が破壊しておくね~」


ちなみにお前が送ってくれないと帰れないんだが。


「で、さっきの話の続きだが、将来の夢的なものを俺は尋ねたんだぞ」


「だから射的選手」


俺の視力と命中率はかなりのものだぞ。


「はぁ、よく聞けよ。そんな現実に存在するようなものを将来の夢にしてどうなる?最近は子供でも現実的な夢を持つ人が多いが、実に面白くない」


俺の夢は結構実現が難しいから、夢がある内容だと思うんだが。


「その思考の時点で甘い!第一、その世界に一人でもその職業の人が居たら夢でもなんでもない。その座を奪って自分がその職業になるのも不可能ではないからだ。だが、その時点で、その職業が夢というのはおかしいと思わないか?」


「さっさと結論を言え」


「要するにそんなものは目標で十分だ!金持ちになりたいとか、何とかの職業になりたいとかは、実際になっている人が居るんだから夢にするほどの事じゃない!」


熱く語っているところに言うのもなんだが、前置きが長すぎないか?


「じゃあ、エーケスティの夢はなんなんだ?」


「俺?俺は魔法的な何かを使いたい」


確かに現実的ではないな。


「あと、子供心を忘れないというのと、小学生の三年生か四年生になりたいってのもある。ちなみに五年生と六年生は中学生みたいな子供が多いから嫌だけどな」


「中学生が嫌いなのか?」


「そういうわけじゃないんだが、なんか純粋さや健全さや子供っぽさがあまりないんだよなぁ」


純粋さや健全さや子供っぽさは、周りの人に求めてるんじゃないのか?


「ちなみに小学生になりたい理由は?」


「他の小学生と遊びたいから」


その相手が女子の場合は、雑魚ベーと気が合うんだろうなぁ。


「と、とにかく小学生に夢がある子が少ないのは、言葉の意味の捉え方という根本的な問題だ!夢という言葉を皆が軽く捉えるから、影響を受けて純粋な小学生が減ったんだ!」


「それで言いたいことはそれだけか?」


そうなら早く帰りたいんだが。


「要するにこのことを視聴者に伝える為に今回の事件を起こしたんだ」


…なんか、特星の事件の動機ってこんなのが多いよな。


「なら、お前の言いたいことは視聴者に伝わったはずだ。理解してもらえるかどうかは別だけどな」


「そうか。じゃあ、そろそろ帰るかな」


エーケスティはそう言って消え去った。


こうして迷惑な一つの事件は二日で解決した。


「あれ、そういえば俺ってどうやって帰ればいいんだ?もしかして、魅異達は先に帰ったのか!?」


いつの間にか印納さんも居ない!


その数時間後に大ダメージが俺を襲ったが、気がついたら俺の部屋に戻ってました。






「あー、平和だ」


エーケスティが現れてから数ヶ月が経ち、季節は夏に突入しようとしていた。


「やっぱり夏は明るいイメージがあるなぁ」


怪談とかをやる人もいるが、冬にやるほうが雰囲気が出ると思う。


「悟さん」


お、魑魅がまた不法侵入してる。


「不法侵入するなよ」


「いや、それなら鍵くらいは閉めといてくださいよ」


俺の家はたまに出入り自由だからいいんだよ。


「それより気になる事があるんです」


お、前の事件から数ヶ月経ったし、次の事件でも発生したのか?


「なんだ?」


「事件の発生する時期が不自然だと思うんです」


んー、確かにだいたい数ヶ月に一度くらいで発生するよな。


「偶然でないのは当たり前だが、魅異あたりが気分で仕組んでるんじゃないのか?」


「魅異さんに聞いてみたんですが、確かにその通りだが自分の仕向けたことではないと言っているんです」


犯人がそう嘘を言う場合もあるが、魅異の場合はそれはないだろう。というか、何気に信頼されてるんだなー。


「でも、ヒント的なことも言ってくれましたよ。の状況の直接的な犯人は今は存在しないって」


「今は?」


過去で何かあった後遺症で事件が起こるとか?


「そういうことでしたが、気にせずに泳ぎにいきましょうよ!ほら、新しく水着を買ったんですよ!」


「おー、似合いそうだと思うぞ」


魑魅が取り出した水着は黄色の生地に白の水玉模様で、スクール水着のような形状だ。


「いやぁ、実は今の私のサイズよりも少し小さいんですけど、安かったから買っちゃったんですよ!」


なるほど、だから普通の水着より薄かったのか。


「だが、水泳には少し早いぞ」


「うーん、確かに少し早いかもしれませんね。…そうだ、良いことを思いつきましたよ!」






~大技の風呂場~


「それぇっ!」


[ザッバァーン!]


「ふぅ、悟さんも飛び込んだらどうですか?」


「明らかに危ないだろうが」


魑魅に連れて来られた場所はアミュリー神社のお風呂だった。普通よりは確かに広いが、三倍くらいなので泳ぐのは無理だろ。


「お前達も物好きだな。私なら海で泳ぐぞ」


「海はまだ早いと思うけどなぁ。まぁ、水着を着てみたかっただけだろうから許してやってくれ」


神社には雨双しか居なかったので、雨双に無理を言って許可をもらったんだ。


「なら、どうしてお前まで水着を着ているんだ?」


「いや、俺はついでだから気にするな」


実は泳ぐ気でいたなんて言えない。だって人の家のお風呂に行くとは思わないだろ!


「悟さんもお風呂に浸かりましょうよー」


「あ、呼ばれてるから行ってくる!俺は魑魅に連れて来られただけであって、ついでにお風呂に入ろうとかそんなことは、別にそこまで考えてるわけじゃないかならなー!」


「少し考えてるのか」


何か聞こえたが聞こえない真似をすれば問題ない!


此処の風呂は大きいから、一度くらいは入っておかないとな。場合によっては寮から通うことにしよう。


「遅いですよー」


「悪い。それで水着の方は?」


「普通より少し締まりますが、それなりに快適ですよ」


安物なんだから少々の問題は仕方ないな。


「あ、そうだ。悟さん!」


「ん?」


魑魅が急に呼ぶので魑魅のほうを見てみると、何故だか両手を広げている。


「………あれ、飛び込まないんですか?」


「どこに?」


「私の胸の中に!」


「飛び込めるほどじゃないだろ」


久しぶりに魑魅が暴走気味な気がする。


「うぅ、やっぱり悟さんは胸に左右される人なんですね」


「そこ、誤解を招く発言は控えろ。ちなみに小さい方が好みだ」


「本当ですか!?」


なんか急に元気になったな。


「よし、なら私でもがんばればいけるっ!」


とりあえず、何が基準なのかを教えてくれ。


「あ、好みは人それぞれなので気にする必要はありませんよ。ほら、私も胸の小さな女の子は可愛いと思いますから!」


俺と好みを合わせようとしているらしいが、面白い事を考えついてしまった。


「魑魅、それこそが恋だ。お前はどうやら女子に恋をしたようだな」


「ええぇっ!そ、そうだったんですか?」


よし、話に食いついてきた!


「あぁ。俺とお前は親友くらいの仲だが、その胸の小さな子とお前ならば恋人になるはずだ。ただでさえ、男性陣に変なのが多い特星に住んでるんだから、女性同士の付き合いとかは全然普通だと思うぞ」


というか、特星では本当にありえそうなことだしな。


「あ、有りだと思います!…でも、残念ながら私はそれに該当しません!」


まぁ、冗談のつもりで言ったんだけどな。


「あの、悟さん」


「何だ?」


あー、適当に言ったことがばれたか?


「私達はもう親友になってたんですね!」


「へ?」


どうやら怒っているわけではないらしい。


「さっき悟さんが親友って言ったじゃないですか。いやー、普段の悟さんの様子からして、単なる友人程度にしか見られていないのかと思ってましたが、親友として認めてもらっていたことを知れて安心しました!」


「…うん」


それは俺に親友が多いから勘違いしたのだろう。


「それではこれからも親友として、よろしくお願いしますね!」


「あぁ、よろしく」


「さて、それではそろそろ勝負しましょう」


なんか急だが勝負って?


「夏にやる勝負といったら、熱さの我慢勝負に決まってます!」


決まってないし。


「大体判るがルールは?」


「一緒にお風呂に入り、熱湯を入れ続けます。それで先にお湯から出たら負けという勝負です」


「上等だ!この勝負は主人公として負けられないな!」


主人公とか関係ないけどな。


「では、いきますよー」


「いつでもこい!」


こうして始まった我慢勝負だったが、数十分後に俺も魑魅も雨双に救出され、氷で体中を冷やすのだった。火傷とかは特星だからしなかったけどな。

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