〇話 ゆっくり出来るのは最初だけ?
@悟視点@
どうも読者の皆さん。俺の名前は、雷之悟。誰もが認める主人公だ!
アニメや漫画では、カメラマンやコマとかにツッコミをする場合があるが、出版してる小説では、結構少ないよな。だから主人公が俺みたいな出版小説は、全然見かけないぞ。
………よし、本題に入るか。俺は特星と言う変な星で生活しているんだ。どういう星かは、後に説明するがとにかく広い星だ。
俺は、特星のある都市に住んでたんだが、高校が納得できないような経済理由で廃校になったから引っ越したんだ。ちなみに俺は、高校二年生だからな。だからこれは、俺の引越し後の生活を描いた物語であったりする。
先に注意しておく事は…この星では、モンスターや特殊能力や不老不死というファンタジックな内容が全開で含まれるので、完全な地球での日常的な生活を見たい方は、絶対に無理なのでご注意下さい。
とりあえず今は、腹が減ったので朝飯にしよう。
「って、食材が見事に無いな」
冷蔵庫の中にあるのは、調味料とジュースのみ。これじゃあ朝食を作れないじゃないか。ついでに俺は、一般人が美味しく食べれる程度の料理なら作れるぞ。
「今日は、高校が休みだから、適当に食材でも買いに行くか」
ちなみに前の学校でもそうだったが、高校の休みの日は、校長の気分で決まるので普通よりも多い。夏休みが正月まで続いた事もあるからな。この星の殆どの学校は、杉野 正安と言う人が校長をしている。三十代前半だけど校長に向かない性格で、前の高校で二番目に問題を起こす人だったぞ。今は、副都市と呼ばれる場所の高校に居るらしい。
「さて、それじゃあ出かけるか」
ちなみに俺の住んでるところは、二階建ての普通の家に一人暮らしだ。寮も借りれたんだが、結構古くて狭いので諦めたんだ。家を買ったおかげで貯金が少ないけどな。
〜スーパー〜
途中に特星エリアを通ってスーパーに到着。道中は、春を示す桜が大量に咲いてたな。
特星エリアってのは、森や草原などがある場所でモンスターが出るのであまり人が居ないところだ。逆に俺達が居るようなところは、現代エリアって言われている。
面積は特星エリアの方が圧倒的に多いが、都市開発で少ぉ〜しずつ現代エリアが拡大している。
あと、モンスターに襲われてもこの星には、不老不死ベールによって包まれているので死ぬ事もないし怪我をする事も無い。ただし、常識外の攻撃だと貫通したりするけどな!
不老不死ベールは、俺が前に住んでた都市に有る不老不死の宝石の効果で作られている。
それにこの星の住人は、一人につき一種類の特殊能力という不思議な力が使えるんだ。特殊能力は、特星内に入ると何故か使えるようになってる。だから能力に自分の武器を合わせる場合が多い。俺が最近知った事は、炎や光や霊や時間や磁力を操れる特殊能力は、質系とよばれているらしい。他には、有利不利や危険安全や空間などを操る特殊能力を非質系、能力を上げたりなどは、助質系と呼ぶらしいな。非質系の特殊能力者は、普通よりも強くて人数が少ないぞ。ちなみに俺の能力は、魔法弾を作り出す能力で質系に分類されるんだ!
この星では、勇者や魔王や聖王や神様などが存在するが、あくまで職業として存在するだけである。だから、普通の人でも勇者などになれるぞ!ただし人数制限があって、勇者と魔王と聖王は、一人だけで神様だけは何人かが転職できるはずだ。
こういった職業は、年に一回だけ当選されるが同じ人が続けてなる場合が多い。
おっ、半額の刺身。しかも結構な量が入ってるな。
「ラッキーっと」
他にも割引き品の野菜と肉が欲しいな。
「あっ、悟だ〜」
「何だ、魅異か」
こいつは、神離魅異と言う名の非科学的偽装生物だ。本人曰く普通の人間らしいが、コイツが普通なら宇宙がいくつあっても足りないから!
俺の幼馴染で特星が出来る前からの知り合いで、ある意味チート。認めたくないが確実に第一ヒロインである。星を作り出したりもする。
…正直な話、出来ない事がないと思う。でも常に全力を出さない主義で、勝負の勝敗も気にしないので、真剣勝負を絶対にしない。
勇者という名の職業をしていて、勇者社という特星一の大企業の社長でもある。
得意武器は、槍と素手で、神離槍という壊れない竹槍がお気に入り。だが槍以外も当然扱える。でも武器を使うより素手の方が、威力が高いと思うぞ。
あと、本当の魅異の引っ越し先は副都市だったんだ。だが嫌がらせで、俺と同じ高校に引っ越して来たんだぞ!副都市には、分身した魅異が住んでるけどな。記憶も思考も共通らしい。
他にも魅異の事で説明不足な点があるが、時間の都合上省略する。
「で、どうしたんだ?」
「引っ越してから少し経つけど、此処での生活に慣れた〜?」
「あぁ…というか、前とあまり変わらないんだよなぁ」
「まぁ、その内に何か起こるよ〜」
「それは、勘弁してほしいな…」
厄介ごとはゴメンだぜ。あっ、茶葉も無かったっけ。
「そういえば最近は、特星での遠距離勝負が流行ってるらしいね〜」
「えっ、そうなのか?」
特星では、不老不死という特長をいかして、そこら辺で勝負を行っても良い事になってる。とは言っても、普段から勝負するほど暇な奴なんて居ないけどな。
ちなみに俺は、銃が得意武器だから遠距離勝負が流行れば、有利な勝負が出来るぞ。
「遠距離戦に自信があるなら、私が相手でもしてあげようか〜?」
「絶対に却下だ」
まず勝てないからな。
「そうそう、少し前に面白い世界を作ったんだけど、今度遊びに来る〜?」
「面白い世界?星じゃなくて?」
「そうだよ〜」
魅異は、過去に新しい星を作った事があるんだが、今度は新世界を作ったらしい。だから俺達の居る世界とは、別の世界が新しく増えたというわけだ。
「一つ聞きたいんだがお前に出来ない事ってあるのか?」
「この小説の漫画化やアニメ化は、私の能力でも不可能だね〜」
ですよねー。でも小説内であれば限界が無いかもしれない!
「新しい世界に行きたくなったら呼んでね〜。高校は、まだまだ休みが続くみたいだからね〜」
言いたい事を言って何処かへ行ったな。
「新世界ねぇ…まっ、気が向いたら行く事にするか。」
「あれれ、そんなに遅くからで良いんですか?魅異さんに嫌われちゃいますよー。」
「…魑魅!?」
何処からか聞こえるこの声の主は、風上魑魅。俺のクラスメートで恐らく第二ヒロインである。非常に行動的で、とにかく速い。
非質系の特殊能力の使い手で善と悪を操る能力を使える。善と悪と言っても効果が微妙にずれており、相手が必ず善人や悪人になるわけではない。ちなみに魑魅は、悪状態になる事があり、悪状態になると性格が変化して戦闘能力が非常に強くなる。そこら辺の特殊部隊や能力者程度では、悪魑魅に敵う事はないだろう。
ちなみに魑魅には、転校してから数日で告白されたりする俺だ。もしかして結構俺って人気者なのか?まぁ、丁寧にお断りしたけどさ。
「新しい世界…面白そうな響きがするじゃないですか!早速二人で行きましょう!」
「とりあえず買い物優先だ」
「私との友情と買い物のどっちが大事なんですか!」
「買い物だ!」
とは言っても、もう値下げ品はないな。
「やっぱり、お前との友情だ」
「流石は悟さん。私の使い道の良さにようやくお気づきになられましたね!」
「使い道って自分で言うか?まぁ、そこに気付いたわけじゃないけどな」
「照れなくても良いんです。自分に素直になってください」
一つ言わせてもらうと、話を聞け。
「ところで荷物持ちとか出来るか?」
「はいっ!炭酸飲料があれば揺らさずに、卵があれば割らずに、何処でも即行でお届けいたします!悟さん専属で」
確かに使い道が良いな。
「じゃあ、会計が済んだら俺の家まで運んでくれ」
「いえ、会計も私が行きます。それではまた会いましょう!」
買おうと思ってたものを全部持っていく魑魅。
「流石に速いな」
噂では、残像が見える速度で走れるらしい。
「ってか、鍵と代金を渡してないんだが…」
家を壊して侵入したなら、伝統深きハエ叩きで叩いてやろう。
「んっ?」
「いやぁ、今日の収穫も大量ね」
ありゃ、この店で堂々と盗みをする奴とは珍しいな。
この星で盗みは、正式に許されているんだ。もちろん店員や周りの人が攻撃して取り返す場合も多いが。要するに、やられる覚悟があるなら、盗んでも良しと言う事に最近なったんだ。だが、店側が強力な特殊能力者を雇ってる場合が多いから、盗みをする奴は少ない。
アイツは、かなりの実力者か情報不足のアホのどっちだ?
あれだけ堂々としていれば隠れても手遅れだろうし、大量の品を持ってるから逃げるのも無理だろう。やっぱり勝負が強いかアホかのどっちかだな。
とりあえず止めてやるか。
「あー、そこの人」
「あっ、私の事?」
「そう。もしかして泥棒か?」
「もちろん!それ以外に何に見えるの?」
やっぱり泥棒でした。
「此処の店は、勇者社の経営店の内の一つだから、止めといた方がいいぞ」
勇者社は、魅異の経営する大会社だ。地球より大きいこの星のほとんどの大型店は、勇者社の経営している店なんだ。勇者社の経営する全ての店が、人材に優れているから盗みなど不可能なはずだ。でもまぁ、主に優れているのは、魅異自身と一部の親しい者だけだな。俺も優れている者の内の一人である…と思う。
「別に大丈夫よ!普通の特殊能力者程度なら倒せるから」
「基準が分からないが」
「一部を除くけど質系なら大丈夫よ」
「もしかしてアンタ、非質系か!?」
「あっ、ばれた?自慢じゃないけどそうなのよ。羨ましいでしょ!」
凄く羨ましい!今のところは、魑魅以外の非質系の特殊能力者を見たのは初めてだ。
「って、時間がないわ!じゃあまたね!」
そういって急いで出口へ向かう泥棒。武装した店員を盗んだ物で倒してるし。
「結局は誰だったんだ?」
非質系の能力者は珍しいから、名前を聞いておくべきだった!
「まっ、気にするほどでもないな。それじゃあ帰るか」
〜家〜
「それで帰ってきたわけだが、何で家の中に居るんだ?」
「だって、悟さんから家に届けろと言われましたし」
家の中には、魑魅が昼食を作ってました。
俺が聞いてるのは、理由じゃなくて侵入方法だ。
「その顔は、侵入方法を知りたいんですね!」
「何故分かった!?」
「何年仮で彼女をやってると思ってるんですか?この位は、お見通しですよ」
「まだ会って数週間だ」
早く結論を言ってくれ。
「方法ですが、普通にドアから入りました」
「鍵は?」
まさか、閉め忘れてたか!?
「この家の鍵なら持ってますよ。壊したりはしてないので安心してください!」
「安心出来るか!」
慣れてるけど、人の家に不法侵入する時点で問題ありだ。
「特星だから仕方有りませんって!」
「まぁ…特星だから仕方ないな」
そういえば特星内で問題が起きた時の言い訳では、特星だから仕方ないと言う人が多いらしい。これで納得する人も多いからな。
「あ、飲みかけのお茶でもどうですか?」
「飲みかけじゃないお茶をくれ」
「それなら、悟さんが飲んだ後にそのお茶を、飲みかけの状態で私に下さい!」
「絶対に却下!」
まぁ、これが普通じゃないような普段の風景。だが、この先で様々な問題に巻き込まれるとは、今の俺には気付く才能も無かった。
いや冗談だ。この先で絶対に何か起こると予測しよう!そして気付く才能くらいは有る!ってか、普通の日常が続いたら逆に異常事態だ。とにかく、いろいろな事件に巻き込まれる覚悟をしておく事にしよう。
というか、そういうこと分かる時点で人生が嫌になってきた。
もうやだこの物語。