プロローグ
頑張りました。
「ねぇ、トッキー」。「ん?」
僕はね、片想いをしているんだよ。ふーん、それでお相手は? クラスの女の子なんだけどね、すっごく綺麗なんだ。それも違う世界に住んでるんじゃないかと思うくらいに。 なーるほどねぉ。で、どーしたの? いや、こんなことを考えるのもおかしな話なんだけどもね。いっつも考えてるんだ、彼女に告白する時のことを。でもね彼女と僕じゃあ、釣り合わないんだよ圧倒的にね。こんな僕じゃあ彼女の前に現れることすらゆるされない、そんな気がしてくるんだよ。 ふーん、でも告白して付き合いたいんでしょ? うーん、…それもあるんだけど、なんて言ったらいいのかな、うまく言えないんだけど、正直今の状況に妥協、しちゃってるんだよね、全面的に。
んーだから、ここに1つのストーリーがあってその中の主人公やヒロインが彼女であって、僕は読者なんだよ。どんなに愛していても、僕は読者だから、彼女と誰かがくっ付いてくストーリーの中には入れないんだよ。 「だから俺に相談したと」「…うん。」と力のない返事が帰ってきた。
俺はさぁ、思うんだけど、人間、他人と100%関わらないってのは、無理なことなんだよ。生まれればまず母親に会い、次に医者か父親に会う。そこから、ある程度自立できるように育ったとして学校に行けば嫌でも人に会い、目を合わせる。だからそのストーリーの外の読者であっても、そいつにはそいつのストーリーがあるんじゃないのか?
…ありがとう。 トッキーのおかげで少し晴れたよ、色んなものが。まぁがんばって見るよ。 あぁ頑張れよ。 僕は最も親しい友人に背中を押され、空を見上げる。心做しかさっきよりもずっといい天気に見えた。
次回頑張ります。






