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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
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1-5. 始動

前話のまとめ:卒業記念の家族パーティーで男のロマンについて話しました。

 父から意外な情報を貰う。


「あの辺りなぁ… どこかで聞いた覚えがあると思ったんだが、お婆さんがあそこの出身だったようだ。お前のひいお婆さんに当たる人だ。調べてみるんだな」


 控えている父の秘書ロボットが頷く。恐らく、昨夜、朧げな記憶を秘書ロボットに確認してくれたのだろう。


 思わぬ縁が出てきたものだ。翌日乳母ロボット(ばあや)と共に調べてみる。戸籍と住民票を辿るのは手続きが少々面倒だ。しかし閲覧対象が故人である点と閲覧者がその血縁である点から、すぐに許可が下りた。


 曾祖母の名前は聖美。享年72歳。果たして、生地はその村だった。結婚と同時に引っ越したようだ。


 ☆ ☆ ☆


 4月1日。克樹の秘書ロボットが到着した。家事ロボットは翌日届く事になった。


「お前はもりって名前にしようと思うんだ。これからよろしくな」

「私の名前はもりです。ありがとうございます。乳母ロボット(ばあや)の心を引き継ぎます。宜しくお願いします」

「家事ロボットの方はひなたって名前で。事前に登録しておける?」

「畏まりました。陽が到着したらお知らせします」


 代わりに今迄の乳母ロボットは返却される。少々感傷的な気分になるが、しかし中身は全て同じAIだ。秘書ロボットと家事ロボットは、乳母ロボットと同じAIが同時コントロールする。性格や口調は外見に合わせて多少の修正がかかるが、記憶や基本的な人格は共有される。


「ばあや、今迄ありがとう」

「いえ、私は姿を変えるだけよ。この守と明日来る陽は私よ、知ってるはずでしょう」

「ずっとそばに居るのが当たり前だった姿が無くなるんだ。ちょっとくらい感傷的になってもいいじゃないか」

「はいはい。それじゃ、行くわね」


 そう言って乳母ロボット(ばあや)は車に乗り込んだ。出発した車が見えなくなるまで、克樹はずっと見送っていた。


「我ながら女々しいな。じゃあ、守、家に入ろうか」

「はい」


 そう、感傷的になっている暇は無い。克樹と守はこれからの計画について話し合った。


 毎日の作業と同時に保存資料も作るとなると、普通の都市生活を送る場合よりもAIの処理能力を強化しておく方が無難だろう。田舎暮らしとなると車やドローンも必要となるので、それも守達のAIによる遠隔操縦の方が都合が良さそうだ。守と陽と、更にもう1体を同時に動かせる程度の能力強化を克樹は決め、守が情報省に申請した。


 また、細かい計画は場所が本決まりになってから詰めるとして、まずはその場所決めだ。第一候補とした山を調べると、売りに出されているようだ。不動産業者に連絡を取ると、所有者の意向で直接交渉して欲しいとの事。業者の方でアポを取ってくれた。


 3日後、克樹は山の所有者に会いに行く。夢に向かう第一歩をいよいよ踏み出すのだと思うと、克樹は胸が高鳴るのだった。

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