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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
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1-4. 家族

前話のまとめ:引き篭もりが穀潰しと罵られる事は無くなりました。

 卒業式の翌日。克樹の親が卒業記念の家族パーティーを開いた。数年前に独立した兄も駆け付けた。場所は、兄が独立するまでは家族揃って良く利用したレストランだ。レストランと言っても個人経営の小さな店で、味も雰囲気も良いが席数が少ない。その夜はどう家の貸し切りとなった。


 オーナーシェフが助手ロボットと共に挨拶に出てくる。両親が結婚した頃から利用していたので、百目木家の兄弟の事は生まれる前から良く知っていた。


「とうとう克樹君も高校卒業か。おめでとう。すぐにでも独立するのかい?」

「はい、場所が決まったらすぐ引っ越そうかと」

「そうか… 百目木家も寂しくなるな。しかし今夜はお祝いだ。腕に縒りを掛けて作るから、楽しんでいってくれ」

「ありがとうございます」


 挨拶の後は厨房に引っ込んで、その後は2体の接客ロボットが完璧な所作で皿を運んでくる。


 出てきた料理に家族全員で舌鼓を打ち、食後の珈琲でゆったりしている時、克樹は今までの事とこれからの予定を話す。


 克樹が小さい頃から蝶好きで、それが高じて野生の蝶の集まる庭を自分で作りたいと考えている事は、家族全員が理解している。その為の土地を買う資金は克樹が自分のベーシックインカムを全力で貯めている。そんな克樹を皆が応援していて、生活費から小遣いまで親と兄が負担してくれた。


 克樹は家族みんなにとても感謝している。だから庭作りで考えている事や行動した事についてはいつも話していたのだが、この機会に一通りまとめて話す事にした。


 この1年間、休みなどを利用して、乳母ロボット(ばあや)と共に候補地を探し回った。

 結論として、ここから電車で2時間程の、湖の近くの小さな山を第一候補に決めた。

 今迄は未成年だった事もあり、山の購入についての打診はこれから。


 購入できたとして、まずはその近くの町に引っ越して、山とその周辺の調査から始める。

 山をざっと見た感じでは無花粉杉の林になっていたので、すべて伐採して新たな林を作る。

 伐採した杉を利用して丸太小屋も作りたい。

 それからようやく、本題の庭作りに入る。


「山を丸ごと作り直すなんて、なかなか無いよな。山の中の丸太小屋なんて秘密基地っぽいし、面白そうだ」


 兄の言う通り、ちょっと男のロマンも感じている所だ。


「林業なら林を作り直す事もありそうだけど、そうでないなら珍しいんじゃないかしら。記録はどうするの?」


 母の質問に、日記のような形式で公開する予定だと話す。しかし公開して他人に読んでもらう文章とは別に、資料となるような写真やデータは残しておいた方が良い、とアドバイスを貰う。因みに、そういう作業は基本的に秘書ロボットの仕事になる。本人は出来上がりを見て修正と承認をするだけなのが普通だ。


 最後に父から貰った言葉は意外なものだった。

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