1-3. 近未来百年史 2
前話のまとめ:ロリ巨乳万歳!(by 一作)
※作者注:
※この物語はフィクションです。
※社会的イベントなどで事実を踏まえる事はありますが、
※人物などの名前や設定は実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※特に作者の趣味嗜好とは全く関係ありません。関係ありません。←大事なことなので2回言いました。
今回は説明回です。前話までの背景の説明になります。
民間企業への人型ロボットの支給が続き、労働の現場はほとんどロボットが支えるようになった。
会社においては現場の作業と管理は全てロボットが行い、人間は時々視察して確認するだけとなった。労働時間も大幅に短縮され、最終的には1日3時間労働が通例となった。
人間の主な仕事は、AIが整理したデータを元に議論し、提示された選択肢から1つを選んで決定する事だった。
しかし人間に能力が無くても良い訳ではない。適切な決定の為には、各個人の基礎教養と業務知識、そして組織内の意思統一が不可欠である。必要な能力が足りないと判断されれば解雇される事もあった。
労働現場への人型ロボット導入が一段落すると、次は個人へのロボット支給が始まった。
子が生まれる時に、専属の育児ロボットが支給されるようになった。
これは親ではなく子の専属であるとの意味を強調して乳母ロボットと呼ばれたが、通称として「ばあや」という呼び方が定着した。乳児の安心感を考慮して、乳母ロボットにはふくよかで落ち着いた女性の容姿が与えられた。
育児については乳母ロボットが中心的役割を果たした。シュナイダー教育やモンテッソーリ教育や、果ては寺子屋方式や徒弟制度に至るまで、有効であると思われる様々な教育法の知識が乳母ロボットに与えられ、育児に活かされた。
乳母ロボットから集められた育児経験は、統計処理されて他の乳母ロボットに提供され、活用された。いわゆる育てにくい子の育て方についても、事例の蓄積と共に洗練されていった。
モンテッソーリ教育で要求される高品質な玩具などを生産する工場も整えられた。玩具の仕様は育児経験情報を元に改善されていった。
教育の現場でもロボットが活用された。
教師1人につき数体の補佐ロボットが付けられた。クラス運営に役立てられ、事務処理や報告書などの雑務も代行した。ロボットからの報告を元に、学校における教育方法も改善が続けられ、洗練されていった。
学校制度も改革された。幼稚園・小学校・中学校・高校が義務教育となり、無償となった。大学は高度な教養と専門知識が必要となる人間が通う場所との認識が広がり、大学進学率は非常に下がった。
子供達は高校卒業と同時に成人と認定される事になった。高校卒業後の進路については次のような統計が発表された。
・10人中7人は会社員
・5人に1人は家に引き籠り、あるいは趣味に没頭する
・15人に1人は店に就職、あるいは起業
・30人に1人は大学進学
・100人に1人は公務員志望(大学進学組も含む)
・1000人に1人は海外生活を目指す(大学進学組や公務員志望者も含む)
・4000人に1人は都市の外に引っ越して、主に一次産業に携わる
若者の20%が非生産的であるという事実は社会にとって衝撃だった。しかしながら労働の現場はすべてロボットが支えるようになっており、労働力確保の観点からは特に問題にならなかった。
この頃には個人の収入としてはベーシックインカムが整備されていて、それだけで生活できるようになっていた。会社に勤務しても3時間労働なので、勤続しても解雇されても、最初から働かずに引き篭もっていても、個人の生活はあまり変わらなかった。
結局、20%の若者が非生産的であっても問題は何も無かった。その為マスコミも世相を嘆く事しか出来ず、政府としても公式に対策する事は無かった。
引き篭もりも含めて、高校卒業後は親元を離れて独立する事が一般的となった。独立と同時に乳母ロボットは家事ロボットへと期待される役割が変わり、独立記念にロボットの外見を変える事が流行し、定着した。
新成人への贈り物として、高校卒業と同時に政府からロボットが1体追加支給されるようになった。これは家事ロボットとAIを共有していて、一つのAIが両方の体を動かすようになっていた。
追加支給されたロボットは常に人間と行動を共にしてサポートする事が目的であり、秘書ロボットと呼ばれる事になった。初老の紳士の容姿に片眼鏡を掛けさせてヨーロッパ風の名前を付ける事が一部の女性の間で流行し、執事ロボットと呼ばれた。
2019/05/03 高校卒業後の進路について、現実の統計などとの整合性を考慮して修正。
旧:
・10人中7人は会社員
・5人に1人は家に引き籠もり、あるいは趣味に没頭する
・15人に1人は都市の外に引っ越して一次産業に携わる
・30人に1人は大学進学
・100人に1人は公務員志望
・200人に1人は店に就職
・1000人に1人は海外生活を目指す
新:
・10人中7人は会社員
・5人に1人は家に引き籠り、あるいは趣味に没頭する
・15人に1人は店に就職、あるいは起業
・30人に1人は大学進学
・100人に1人は公務員志望(大学進学組も含む)
・1000人に1人は海外生活を目指す(大学進学組や公務員志望者も含む)
・4000人に1人は都市の外に引っ越して、主に一次産業に携わる