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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
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1-1. 卒業

前話のまとめ:日本では猫型ロボットではなくて人型ロボットが激増しました。

 卒業式が終わった。


 高校3年生は、これで長かった義務教育が終わる。ごく少数の大学進学組を除いて、時間に縛られる生活は終わりだ。


「そうなんだよ。昼ご飯の後の授業の眠かったこと眠かったこと。社会人になったらアレから解放されるんだよな~」


 会社員は通常、9時から12時までの3時間労働だ。残業は無い。皆の親も、仕事の後の日帰り旅行を趣味にしている人なども少なくない。


「何言ってんだよ、お前いっつも爆睡してたじゃねぇか。眠かったってのは起きてた奴が言うもんだ」


 そんなバカ話で盛り上がってるグループがそこかしこ。そんな中、在校生女子に囲まれている男子も何人か。第2ボタンの争奪戦で剣呑な雰囲気になっていたり、上手に捌いて春休み中のお茶の約束で盛り上がっていたり。


「モテる男は充実してるよな」

「ん~、羨ましいとは思うけど、面倒臭そうだよなぁ。俺はいいや」


 この数十年、草食系を通り越して隠居系と成り果てた男子が非常に増え、社会問題となっていた。


 そんな小グループを回って声を掛けているのは、3年1組の委員長、橋爪美奈子。真面目で面倒見の良いメガネっ子だが、口煩いのが欠点だ。


「ちょっとあんた達、今夜は5時から最後のパーティーだからね」

「ああ、ちゃんと行くよ。駅の向こうの焼肉屋だろ。地図も受け取ったよ」


 連絡やスケジュールの管理は乳母ロボット(ばあや)の仕事だ。それぞれの乳母ロボット(ばあや)が頷いた。


 連絡だけなら乳母ロボット(ばあや)に任せておけば良い。必要な相手の乳母ロボット(ばあや)に無線通信ですぐ伝達される。わざわざ声を掛けて回っているのは、皆の最後の制服姿を見ておきたかったからだろう。


 ☆ ☆ ☆


 この焼肉屋は若者向けの小さな店で、高校生にも人気がある。一クラスで予約すると一杯だ。今夜は貸し切りになっている。


 接客ロボットがテーブルと厨房を忙しそうに行き来している。今夜の貸し切り予約の為に2体ほど増員したらしい。現場の労働用ロボットは、政府に依頼すればすぐに対応して貰えるのだ。昔の派遣社員などよりも融通が利く。


 卒業記念の焼肉パーティーが始まって既に1時間。それぞれの仲良しグループで会話が弾んでいる。


「でさ、皆はこれから乳母ロボット(ばあや)をどうするの?」


 網の上に肉を置きながら指宿いぶすき涼子が聞いた。高校を卒業すれば成人として扱われる。成人の記念に乳母ロボット(ばあや)の外見を変えるのだが、涼子は皆の選択が気になるようだ。成人祝いとして政府からもう1体支給されるので、その容姿の事もある。


「ふっふっふ、良くぞ聞いてくれた。俺の理想は」

「アイザックには聞いてない。どうせロリ巨乳でしょ。聞かなくてもわかる」


 一作が語り出すのを涼子が遮って、肉を引っくり返す。


 牛頭ごず一作いっさくは学校でも有名な巨乳好きだ。普通は成人記念で変える乳母ロボット(ばあや)の外見を、中学生の時に巨乳お姉さんに変えてしまったという強者だ。その当時からギャルゲに嵌まっていて、高校に入学した頃からギャルゲがテーマのブログを始めた。そのペンネームが Issac Goz で、みんなアイザックと呼んでいる。


 それにしてもロリ巨乳とは恐れ入る。

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