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3. 近未来百年史 1

前話のまとめ:神はいるか?死後の世界はあるのか?


今回は説明回です。前話までの背景の説明になります。

 2020年、東京オリンピック開催。日本の経済は一つの区切りを迎えると言われた。オリンピック後の経済政策が検討され、中長期の重点投資先が模索された。


 それから20年。成果の一つとして、日本の科学技術には3つの大きな進展があった。


1、iPS細胞の研究が進み、再生医療が発展した。富裕層の大きな後押しがあってアンチエイジングへも応用され、日本に住めば歳をとらないとまで噂されるようになった。


2、ロボットが不気味の谷を越えた。AIの進展と合わせ、見た目も質疑応答も全く違和感の無いロボットが登場した。尚、アンドロイドという呼び名はスマホが先行していた為に定着しなかった。


3、マグネシウムの太陽光レーザー精錬工場が建設され、海水からのマグネシウム大量生産が始まった。マグネシウム電池も実用化され、電気自動車にも使われるようになった。


 ここで日本政府は思い切った政策を断行した。


 まず、マグネシウム精錬技術を買い取って国有とした。そして産油国、砂漠を持つ国を中心に働きかけて、大規模なマグネシウム生産工場を現地政府との合弁企業として設立した。そこからの利益は国の歳入として一般会計に組み込んだ。


 マグネシウムの国際的な流通の利権は石油メジャーに売却した。但し生産関連と、日本の流通に関しては、日本が独立して仕切る事を条件とした。脱石油・複合エネルギー企業への道を模索していた石油メジャーはこれを快諾した。


 日本の官庁は経営に向かない、ここで判断を誤ると国家百年の計に致命傷を与える、と言う問題意識が政府上層部で共有された。そこでマグネシウム生産工場の経営にはAIを活用する事になった。


 経営用AIは人間関係を忖度しない代わりに極めて強力な経営判断を下した。意思決定の権限つまり責任の所在が明確になった事で、関連官庁も動き易くなった。日本の官庁が運営する組織としては異例と言える程の利益を上げ続けた。


 ここで日本政府は新技術の開発に着手し、日本主導で完成させた。マグネシウムを利用した大規模発電と、マグネシウムの完全リサイクルシステムである。リサイクルを含むエネルギー流通体系はシズマシステムと呼ばれた。


 マグネシウム発電所は無公害であり、またリサイクル技術は太陽光レーザー精錬が核となっていて環境負荷が極めて低い。これらを武器とし、日本政府は石油メジャーと組んでマグネシウム発電所を世界中に建設。マグネシウムの市場を広げた。


 この頃、日本の人口は1億人を割り込んだ上に高齢化率は40%に迫る勢いとなり、社会資本の維持が厳しくなっていた。それでも政府は移民を基本的に認めない政策を採り続けた。


 労働人口激減の影響で、権力者が権力を維持する為の組織は維持が難しくなった。様々な組織が統合され、あるいは消滅した。


 不足する労働力を人型ロボットで補う試みが始まった。官庁がロボット導入の手本となるべく、積極的にロボットを採用した。窓口業務や書類整理に始まり、消防、警察、自衛隊などにも広まった。ロボットという言葉に労補人の漢字を当てる事が流行した。


 官庁による大量採用を受けて、政府が人型ロボットの大量生産を始めた。マグネシウムによって潤った一般会計から予算が確保され、各官庁には格安で卸された。


 この流れの中で、労働力はロボットが補っても決断は常に人間が下す、というルールが生まれて広まった。発祥は自衛隊だったらしい。


 政府は人型ロボットの量産と改良を続けた。小回りの効くベンチャー企業が中心となって新技術を開発し、それを大企業が購入あるいは委託されてテストと調整をして、安全が確認されると政府が買い上げてロボットに組み込んで量産、運用データを関連企業にフィードバックする、と言う役割分担が出来上がった。


 人型ロボットの民間への無償支給も開始された。


 最初は介護業界が諸手を上げて歓迎した。まずは独居老人など緊急度の高い所から支給され、やがて老人ホームにも支給されるようになった。家族や職員はロボットの働きを目の当たりにして、そのコミュニケーション能力や業務遂行能力の予想以上の高さに驚いた。


 国民の賞賛が高まるにつれて、人型ロボットは様々な労働の現場に導入された。あらゆる職種で労働力が充実するようになった。

この小説でも労補人ロボットと書きたかったのですが、読み難くなりそうだったので諦めました。


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