もふ怪談5 セミ
猫。特にメス猫ってハンターだよね。
ハナは特にそうだと思う。
セミ。ある夏、何か琴線に触れたのか、絶滅を危惧する勢いで持ち帰るようになった。
具体的じゃない?
もう少し分かりやすく言うと、だ。
柄の長い箒があって、場所は居間。窓を開け放ち。
掃き捨てる!
それも毎日!
窓の外に山となる。
ちょっとは伝わっただろうか?
セミって捕まえたことがあると分かるかも知れませんが、捕まえた力を加減すると鳴き方がそれに伝わるんですよね。
猫が咥えていると鳴き方が明らかに違って分かります。
――ジジジジジジジジジジジジジ
それが近づいてくるんですよ。徐々に、徐々に。
だんだんと大きく。
そして家の中から聞こえるように。
そしてまた、捕獲しに出かける。
繰り返される、セミ取り。エンドレス。
自ら場所を報せているセミ。捕獲は容易なんだろう。
ちなみに美味しくないのか、お持ち帰りはしても放置されていた。
セミ取り祭りはその年だけの開催だった。
興味がなくなったのか、次の年からは一切持ってこなかった。
飽きたんだろう。簡単すぎたのか。近所で普通に鳴いていた。
そして7年経って、絶滅を危惧したセミは鳴いていた。
さすがにそこまではいかなかったみたいだ。
安心した。
そして、セミ取り祭りを開催する猫は今のところ現れてはいない。
いつの日か後継者が現れたら、と戦々恐々とする。
第2、第3のセミ取り祭りが開催されないことを切に願う。




