第2話 え……。なんか拍子抜け
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ナナとライムに連れられて、俺たちは二人の村へたどり着いた。
レンガで造られた独特な雰囲気が異世界観を醸し出している。
前世では見たこともないような物がたくさんあった。
決して大きな村ではないが村人たちは生き生きとしていた。
「おおー、何かいい感じの村だな」
俺は見慣れないこの景色にきょろきょろと辺りを見回していた。
人族だけの村らしく、人間しか見当たらない。
エルフいないのかー、何か残念。
「ふふ、私のお家に来る?ママに言ってご飯作ってもらうよ」
「え?いいの?サンキュー」
断る理由がないので俺は快く返答した。
「さんきゆー?」
ナナが首を傾げた。
「ん?ありがとうって事だよ」
どうやら英語はここでは通じないらしい。
ナナが小さいからか?いやいや、というか日本語が通じてる時点で変だけど……
「ライム、ナナ、隣におる小僧は誰じゃ?」
俺達の前に年老いた老人が姿を現した。
真っ白の髪に真っ白の髭、頭にバンダナを巻き何やら紋章の様なものが書かれた服に身を包んでいる。
杖をついてはいるが、しっかりとした足取りでこちらに向かってきた。
「ムクロ長老!」
ライムがそう言って老人に会釈する。
「一体そ奴は誰じゃ?村のものではなかろう?」
「ナナと森にいたときに会ったんです。旅の途中、親とはぐれたそうです」
「ほう」
ムクロ長老は俺に顔を近づける。
まっすぐに俺の目を見据えてきた。
いや、俺こんなじじいと見つめ合いたくないんですけど
「小僧、名は?」
「えっと、ラスティーです」
やっぱり名前慣れない!変えていいかな女神さん!?
「ふむ、小さいのにしっかりしておるのぉ」
高校生という前世の記憶、ありますからな。
「鬼ではなさそうじゃが」
ムクロ長老の言葉にビクッと一瞬肩が強張る。
実感はないけど人喰い鬼って鬼だよな……?
「ライム、ナナ、むやみに森で会った輩を連れてくるでない。鬼だったらどうするのじゃ?」
「鬼……ですか?」
ライムが眉をひそめる。
「村で悪さをしようと企む奴は大勢おる。それに最近は人喰い鬼も出るのを知っておるじゃろ」
ムクロ長老の言葉が心に刺さる……言っとくけど、俺はそんな事考えてないからな!
「まあ、人食い鬼は人の言葉を話さんがな」
えっ!?話さないの?俺普通に話してるんだけど……
「ラスティーとやら、物騒な事を言ってすまない。親とはぐれたと言ったな、それなら近くに町がある。あの森を通る旅人といえばあの町を目指しているはずじゃ」
「あ、そうなんですか」
鬼ってばれたらやばい奴じゃね、これ
「今日は泊って行きなさい。明日、ライム達に案内させよう」
ムクロ長老は優しげに笑いかけてくれた。
「ありがとうございます」
ムクロ長老は俺を心配して案内を付けてくれるようだけど、親なんて分からないんだけど大丈夫かな……
というか、はぐれたの嘘だし
親切が胸に痛い……。
:*:*:*:*:*:*
「うまい!すっごく美味しいです!!」
俺は目の前に並べられた料理を必死に食べていた。
どれも肉の焼き加減が程よくて、香ばしいにおいが食欲をそそる。
「それはよかったわ」
三十代ほどの女性がまた新しい料理を運んでくる。
彼女はライムとナナの母親だそうだ。
ナナ達と同じ明るい茶色の髪、青い瞳。
若いころはもてただろうと思わせる抜群のスタイルを持っていた。
「ママ、おかわりー♪」
ナナが空になった皿を差し出す。
「はいはい、ナナ、ちょっと待ってね」
ライムのママさんは台所に戻っていった。
「ん?あ!ラスティー野菜も食べなきゃだめだよ~」
ナナに指摘され、俺は初めて気がついた。
確かに今まで食べたのは全部肉だ。
でもそれはただ美味しそうだと思ったから食べていただけで野菜を避けていたわけではない。
「あ、ほんとだ。じゃあこれ、いただき」
俺は目の前にあったサラダの葉を口に入れた。
レタスみたいな野菜だな、など考えながら飲み込む。
「……ゔっ」
それは苦いとか辛いとかそんな感じではない。
自分でも驚いたが、食べ物と認識していないような植物に対して不快感が湧きだした。
俺は突如胸の苦しさに襲われる。
野菜なんて今まで普通に食べていたのに(※前世で)……なんでだ?
「どうしたの?」
「な、なんでもない。ちょっと外に出てくる」
俺は気分が悪くなって外に飛び出した。
もしかして、もしかしなくても、人喰い鬼って肉食!?
家の裏手に回り、暗い闇の中で座り込んだ。
吐き気が込み上げてきて、息が荒くなる。
「おえっ……かはっ……」
体が拒否反応を起こしたみたいに痺れている。
体を抱きかかえる様に両手で押さえつける。
「……何だよ。これ」
『いや~、言ってなかったか?肉以外食べれないぞ』
知っている声が頭上から聞こえてきた。
天界カレーパンと書かれた袋の中からパンを出してかぶりついているその少女はあの女神だ。
「め、女神……言ってない。絶対聞いてない!」
『もぐもぐもぐ、うまし!』
って擬音語って声にでるのか!?
「俺、全然全く一つも何にも一切聞いてない!」
『そんなに言わなくても~女神ちゃん泣いちゃう』
宙に浮かんだまま女神はわざとらしく潤んだ目を瞬かせた。
俺はそんな女神を無言で眺めた
『ズガーン!あれあれ?女神ちゃんそんなに不細工だったか?』
「ズバリ。タイプと正反対」
俺はびしっと女神を指差した。
『ひど~い。って言ってもこっちもごめ~ん。タイプじゃないから、テヘ』
まあ、こんな言い争いをしていたらいつまで経っても何もできないので、本題に移る。
「俺は、ここが地球じゃないことと自分が人喰い鬼って事ぐらいしか知らないよ」
『え……?マジで』
いやもうボケるのやめい!
「基本的な情報ぐらい教えてくれよ!女神なんだろ」
ゲームでも何でも基本的な情報が無ければ何もできない。
そのくらいの情報なら聞いておくのに損はない。
情報収集は攻略の基本!……なんちゃって。
『仕方がない、教えてやっていいぞ』
うわ~上から目線。
「とりあえず、この世界の一般常識!」
『む、ではまず……お前が言うようにここはお前がいた地球とは違う。だが、ここは地球だ。お前の生きた世の何千年も未来のな』
「未来……?」
『科学技術が進歩していたのは千年前だ。それからは、突然魔物たるものが現れ、魔法が発動し、魔法技術が進歩をみせた。一方で科学技術は著しく衰え、かつて魔法が幻想であったように科学が幻想となって消えていった。それがこの世界だ』
女神の言っている事が本当かどうかなんてわからない。
千年もたっていれば色々と世界は変わるんだろうけど、魔法が普通で科学が幻想なんて前世の記憶を持つ俺からしてみれば信じられないのが事実。
「じゃあ、ここは地球なのか……。こ、ここは俺の前世ならどこなんだ?」
『ん?難しい事言うな~。えーっと、そうそう、日本の東京都って所。詳しくはわからん』
俺はそれを聞くと辺りを見回した。
所々に小さな家屋や広場があるが、他はすべて森である。
東京って日本の都市部ですよね……森なんだけど。
「……マジですか?」
『マジです』
女神が真剣にそう言った。
「じゃ、じゃあムクロ長老が言っていた近くの町は?」
『東京だ。スカイツリーがあったところらしいぞ』
「え……。何か拍子抜け」
『だが、すでにお前の知る町ではないぞ』
そう言われても東京は東京である。
「地球だしエルフとか獣人とかいないだろ?」
俺は気になっていた事を諦め気味に訪ねた。
『突然変異で魔法技術が進歩しだした頃に誕生しているが?』
「ひゃっほぉぉぉおおおい!!!」
俺のテンションが一気に頂点まで達した。
エルフがいる!獣人がいる!
「ラスティー、どこ~?」
俺が浮かれているとナナの声が聞こえてきた。
「あ、やべ。忘れてた」
『ふ~ん、さっそく人間に溶け込むとはお主も悪よのぉ~なんてね』
「違う!あ、そういえば人喰い鬼って人間の言葉を話さないって言ってたんだけど」
『ん?お前は前世が日本出身だろ?今も言語は変わってないのにしゃべれないわけないだろう』
「な、なるほど……」
『あ!しまった!天界神文庫の漫画の発売日だった!行かなくては!!』
一体天界はどんな世界なんだよ!?
『さらば!』
女神は前と同じように光に包まれて消えた。
「ラスティー!お家の裏にいたの?捜したよ?」
「ご、ごめん。ちょっと外の空気を吸おうと思って……」
「ラスティーって難しい言葉知ってるね。えらいから頭、撫で撫でしてあげる」
俺はナナにしばらく頭を撫でられていた。
……何か変な気分
ふと、空を見ると北斗七星が目に入った。
星座に詳しいわけではないがどこかで見たことのある星空のようだった。
「ここ、やっぱり地球なのかな……」
俺、ラスティー。人喰い鬼だ。
異世界と思ったら、何千年も後の地球でした。
A:やっほ、やっほー!Aだぞ!
B:おい、こら。まだ2話なのに調子に乗るな。
A:えー、なんでい。つまんねえの。
B:さて、読んでくださった皆様、字足らずですいません。
A:あっはっはっは!つまんねえぞ!がははははは!!
B:……こいつは後で殴っておくことにしようか。
A:なっ!?……女の子虐めはダメだよ?痛いの怖いよう。
B:ふざけた真似をするなぁぁぁぁあああ!!!!
A:だって殴られんの嫌だし!
B:お前を殴っても誰も文句は言わないと思うがな。
A:ヒドッ!叩かれたら頭が悪くなっちまうじゃねえか!!
B:お前は何を言っている?
A:頭が悪くなる!馬鹿になるって言ってんだよ!!
B:お前は元から馬鹿だぁぁあああ!
A:はっ!?そうだったぁぁああああ!!!
B:自分で馬鹿だって認めてるのかよ……
A:ぐすっ、花子は馬鹿だったの?ううっそんな……
B:このクソ馬鹿がぁぁぁあああああ!!
A:ガハッ!ああ!!マジで殴った!殴られた!!
B:少しは大人しくなりやがれ!
A:え~、青春は短い!楽しまなくては損だぜ、B。
B:説得力ねえよ!おしとやかって言葉を知らないのか?
A:んあ?流行語か何か?
B:…………。
続く……?