第二話 第88代勇者遠征隊
さて、3日の後の”第88代勇者遠征隊”出立の儀まで、暫しの時が与えられた。
”第88代勇者遠征隊”とは、端的に言えば勇者同士が連合を組んだ一団である。
魔王が復活する度に結成され、討滅の為に東へ向かう。その第88代目だ。
そもそも、勇者は全人類で一人というワケでは無い。
各村の10〜20歳の内、トーナメント戦にて最強の者が一人選抜され、勇者遠征隊に入る。(総当たり戦で無い為、運や相性に寄るがそれも勇者の資質らしい)
つまり、世界に有る村の数だけ勇者がいるというワケだ。
しかし数はたくさんいるとは言え、勇者に選ばれるのは最上の栄誉だ。王との謁見などの特権はその一端であろう。
そして、この勇者遠征隊の中で最も優れた勇者、あるいはパーティが魔王城に辿り着き、魔王を討滅出来る。
ーーというのが世間の常識だが、この中に魔王になり得る者がいるというと話は大きく変わる。
それよりもガウル王への質問と要望か…いや”ガウル兄貴へのおねだり”か?いやいや、命令とは言え王だぞ…
どうやら頭の方はまだ本調子では無いようだ。このまま二度と本調子には戻らんかも。
ガウル王の噂は『威厳と才能に満ち溢れた王の中の王』というのは今日の態度で完全にぶち壊しだ。
しかし、聞きたい事だらけだ。
神や神託は元々信じて無かったからよしとして。(つーか、処理が限界)
勇者と魔王については聞きたいことだらけだ。質問は精査しよう。
でも、過去の歴史から覆るんだろうなぁ。それだったら歴史の授業でもっと寝とけば良かったよ。
イクニワ村までは半日の距離だ。密会は朝早くに終わったので今から帰ると夜半になるだろう。
明日の”第88代勇者遠征隊”の壮行式には間に合う。
考える事は山程あるが、考えずに兎に角帰ろう。決して思考放棄では無いよね。うん。
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そして、夜も更けるころにイクニワ村に辿り着いた。
考えながらなので帰るのに時間が掛かったが、ようやく精神も落ち着き思考も纏まった。
3日後にまた爆弾が弾け飛びそうで憂鬱では有るが。
帰宅すると、両親は部屋で眠っているようだった。この時間では無理も無い。
この村では平凡的な家だ。平家の3LDK、風呂トイレ別にございます。
両親の顔を見たかっただけなのですぐに家を出る。村の酒場に行く為だ。
が、家を出た所で酒場に行く必要は無くなった。ドアの影に一人の男が立っていたからだ。
「よう、久々だなノーティス」
『よう、クレイ』
お互いに笑顔を浮かべ、少し手を挙げ軽い挨拶を交わす。
俺は【漆黒のレイ】なんてこっぱずかしい名前を付けた悪友、ノーティスと再会した。
段落や書き方などは勉強中です。
見辛い部分もあるかもしれませんが、申し訳ありません。