始めましてにこんにちは!
「イチは本当にインディ・ジョーンソンが好きだなぁ。そんなに観て飽きないのか?」
リビングと呼ぶには少し手狭な部屋のテーブルに頬杖をつきながら父の国和は少し呆れ気味に息子に聞いた。
「全く飽きないね!僕も大人になったらインディみたいに世界中飛び回ってお宝探すんだ!」
うつ伏せに寝転がりながらテレビに噛り付いていた一国は勢いよく立ち上がり握りしめた拳をブンブンと振り回した!
「おいおい!もう自作のムチを部屋で振り回すのは止めてくれよ!絶対ダメだからな!」
「でも紐の先に重り付けなきゃ大丈夫でしょ?今改良してるからさ!」
「絶対ダメ!絶対また物壊すだろ!母さん怖えぞぉ!そもそも考古学者はムチを擦り回す人の事じゃないんだぞ!」
「考古学者って何?」
「インディは考古学者だぞ!インディみたいになりたきゃ考古学者にならなきゃな!ほらこの前ピラミッドの内部探索でテレビ出てたエジプト研究で有名な吉室先生いたろ?あの人が考古学者だ!」
「へー考古学者かぁ!かっくいい!考古学者に僕はなる!へへへへ!」
あれ?何で子供の頃の事を思い出すんだ?
コンコン!
「イチ!ずっと部屋に閉じこもってないでたまには陽の光も浴びなきゃ病気になるよ!気分転換に散歩でもしてきたら?」
「・・・・・。」
「イチ!聞いてる?寝てるの?」
「ああ・・・分かってるよ・・・。その内・・・。今掃除してるから・・・。」
「ねえ・・・そんな無理して大学行く必要ないからさ、世の中もっと広いんだよ!人生ってさもっと楽しまなきゃ!お母さんはイチが元気ならそれでいいんだから!」
うるさいうるさいうるさい!ほっといてくれ!話しかけないでくれ!その優しい言葉が逆に傷付くんだ!もっとボロカスに叱ればいいじゃないか!お前はどうしようもないバカ息子で屑なんだから諦めろって言えばいいだろ!!世の中全部クソだ!みんな俺の敵!クソだ!クソクソクソ!
病んでるな、俺・・・。
ごめん、お母さん。何の役にも誰の役にも立たないクズな俺で。万年反抗期でごめん。
本当はめちゃくちゃ親孝行したかったんだ。俺だって人生うまく行ってりゃめちゃくちゃ孝行息子してたさ!クソ!
これが走馬灯ってやつかぁ、めちゃくちゃ色んな事考えられんじゃん!
スゲーな!この経験誰かに話してー!
ドッボォ~ン!!
身体に電気ショックを浴びせられた感覚に襲われた後、
激しい水しぶきを巻き上げ一国の体は水中深く潜り込んだ。
水面に強く叩きつけられたせいで叫んでしまい鼻から口から思い切り水を吸い込んでしまった。
くる・・じい!溺れる!!
目を見開き闇雲に手足をバタつかせた!一心不乱に水を掻く!生にしがみつくように頭上に見える岸辺へ手を伸ばした!
「ブハッ!ゲホゲホゲホ!ハァハァハァハァハァハァ!」
何とか水面に顔を出し、必死に岸にしがみ付く。顔の穴という穴とから液体が流れ出る。
痛ぇ!水が気管に入ったせいで咳が止まらない!「ゲホッゲホッ!ゲホッゲホッ!」苦しい!でも下が水で助かった!
何とか体をズリズリと這わすように岸に上がる。
仰向けに大の字になると天井を見つめながら「生きてる」と呟いた。
見上げた先に微かに、洞窟の入り口から漏れる光の中を無数の小さく黒いシルエットが出入りしているのが目に入った。「あんな所から落ちたのか・・・。」
コウモリ共め!もう少しで殺されるところだった。
でも助かった!とは楽観できない。とても洞窟の入り口まで登る事はできない高さだ。
何とか助けを呼ばなければ・・・。でもどうする・・・人など寄り付かない不吉でしかないこんな場所に偶然通りかかる人を期待するのは時間の無駄と言える。
面白がってこの場所に近づく不良か、俺のような世間知らずの変人か。そうだ!バーのマスターが心配して見に来てくれるかも!・・・そんなバカな・・・。
冷静に現状の把握に努めている自分の意外な一面に驚く。死を直面しているにも関わらず不思議な気分だった。引きこもっていた時よりも生きている実感がある。僕はもっと早く家を出るべきだったんだ。
「ハッ!携帯!」即座に全てのポケットをまさぐるがそこに携帯は無かった。
コウモリに襲われた時に洞窟の入り口付近に落としたか、それとも水の底か、助けを呼ぶのは絶望的!
「寒っ!」
濡れた服と洞窟内の気温の低さと相まって体感温度は真冬並みになっていた。
マズイぞ!
異国の旅で気をつけなければならない危険項目に
熱中症、脱水症状、蚊など虫が媒介するウィルスなどがあるが低体温症もその一つ。
寒暖差の激しい地域では常に体温調節は気にしなければならない。
体温が著しく低下すると手足が麻痺し、思考の低下、錯乱状態に陥り死に至る。
このままジッと助けを待つことすら死に直結するのだ。強い心臓の鼓動が死のカウントダウンを刻み始めるのを感じた。
まず服を乾かさないと!これ以上体温を下げない事とカロリーの摂取で、ある程度低体温症を防げるはずだ。
情報系バラエティが好きで良かった!九死に一生スペシャルありがとう!
勉強での丸暗記はからっきしダメダメなのに、好きな事での記憶はなぜこうも定着するのだろう。
ドラクエのモンスターと呪文は全て言えるのに、英単語を覚える事と何が違うというのか。
幸いにもカバンは手元にある。ずぶ濡れのカバンからレジャーシートを取り出し広げる。
レジャーシートは撥水効果がある物も多いし、雨風を防ぐ事ができるので旅には便利なのだ。
シートの上にカバンの中の物を全て出し持ち物を把握する事にした。持ち物から脱出のアイデアを捻出するのが目的だ。
ハンカチ、ティッシュ、半袖シャツ、スウェット上下、下着一枚、靴下一足、カッパ、傘、ロープ、携帯用充電器、海外用コンセント変換器、海外用ポケットwife、正露丸、飴、板チョコレート、ビスケット、ライター、十得ナイフ、食べれる野草辞典、キノコ百科、100円ショップで買った英会話本、500mリットル水、パスポート、サイフ、タオル、軍手、筆記用具、メモ帳、腕時計・・・。
このような持ち物で、こんな軽装備で、万全装備の調査団が戻って来れなかったこの洞窟を攻略しようなんて端からできるはずはなかったんだ。
最初からちょっと入って帰ってくる位の覚悟しかなかったんだ。
周りから「すごいね!」と言われ「いやぁそんな事ないよ」と返す会話ができれば話のネタとしては申し分ない、決意が少し必要なだけの旅行のはずだったんだ。
でもまだ洞窟の入り口。無事出る事ができれば話のネタとしてはオイシイ状況のはずだ。
誰かに気付いてさえもらえれば、そこから長いロープさえ垂らしてもらえれば解決する程度の問題でしかない。ある程度の危機感は感じながらも、冷静に思考でき現状を把握しようと努める事ができているのはまだ洞窟から落ちるというトラブルに遭って間もないからであって「まぁ助かるだろう」と楽観視しているからに過ぎない。
俺自身は想像力豊かで、あらゆるトラブル、アクシデントを何パターンも想定し、それゆえに危険を避け、もしトラブルが起こったとしても心のダメージを最小限に留める事で感情的には動かない人間。そう客観視している。
しかしこれはある意味現実逃避でしかない。
そういう人間は想定外の事が起こるとモロい。瞬発的に判断しなければならない選択肢に弱い。
まだこれから起こる現実からかけ離れた惨劇に見舞われる事など、この時の一国にはほんの欠片ほども想定する事などできなかったのだ。
全て水没した為、機械類は全滅。携帯を紛失したのだから無用の長物!ガラクタと化した。
サバイバルに来ている訳ではないのだから食べれる野草辞典やキノコ百科は無用かと思っていたけど、一応いれておいて良かったのかもしれない。こんな場所で役に立つ可能性があるとは思わなかった。人生どんなアクシデントがあるか分かったものではない。
「とりあえず得体の知れない水飲んだし正露丸飲んでおこう。」下痢にでもなった日には確実に体力は削られカウントダウンが早まるのは目に見えている。
靴を脱ぎレジャーシートの上で全裸になる。
「うぅ!寒いぃ!」絞ったタオルで身体を拭く。「もっと元気出せよお前も」寒さで究極にまで縮こまっている自分の股間に話しかけながら暖を取るようにさするのだった。
とりあえず水を弾き空気を通さないカッパを着る。これなら体温を外に逃がさずに済むはず。
「ノーパンにカッパって何のプレイだよ!うぅ!ちめてぇ!」濡れている衣類を強く絞ると衣類から水が滴り落ちて砂利の隙間へとしみ込んで消えていった。
「一刻も早く乾かして着ないと!」衣類を干す為のロープを張れる場所は意外と簡単に見つかった。ロープのダマを洞窟の壁の裂け目にねじ込めば固定できる。ロープの長さと壁と壁の距離がいい塩梅の狭い空間であればOKなのだ。
ライターを拾い、貴重な食料であるビスケットをかじりながら僅かに漏れる光を頼りに辺りを散策すると、石や砂利、洞窟の外から舞い込んで来たと思われる小枝などが落ちている。
「これで火は確保できる!服を乾かせるぞ!洞窟から立ち上る煙を見ればもしかして救助が来るかも!」僅かながら見えた希望に股間も少し元気を取り戻した。
バサバサ!キーキーキー!頭上では常にコウモリが慌ただしく飛び交っている。暗闇に光る目が自分を狙ってるようで不気味に感じる。
「焚き火の煙で追い払ってやる!見てろよこの野郎!俺を水に落とした恨み!携帯の恨み!そしてこれはヤムチャの恨みだ!!」
恨み!と叫ぶ度に小石を上空を飛ぶコウモリ目掛け投げつける。
コウモリ共は全く意に介さず、小石がかする事も無く我関せずといった具合に飛び回っている。
小枝を拾いつつ、一度言ってみたかったセリフを口にしてはみたが逆に恥ずかしくなり少し体が火照った。
「あぶね!」突然一匹のコウモリが一国目掛け突進してきた。間一髪避けるとコウモリはUの字を描くように上空へ旋回した。「何だこいつ!うわっ!?」
一匹!また一匹とコウモリ達は連携を取るように一国に突進してはぶつかる直前に旋回する。さながら戦闘機の空中戦のように突進してきてはギリギリで旋回する。
コウモリによる集団強襲!一国は顔の前で手を交差させ顔を守るように防御しながら後ずさるしかなかった。「うわっ!うわっ!」次から次に襲いかかるコウモリ!こんなコウモリの習性聞いた事がない。
石につまずき尻餅をつく、とうとう一匹のコウモリが一国の手に噛み付いた!「痛って!」
「うわわ!!」瞬発的にコウモリを払いのけ拾った小枝を襲い来るコウモリ目掛けてブチまけ、その場から猛ダッシュで駆け出した。
噛まれた箇所を手で押さえながら洞窟の奥へ逃げるしかなかった「噛まれた!血吸いコウモリなのか!」
消毒しないとヤバイかも!しまった!救急セットは持って来ていなかった!
走りながらも徐々に目が暗闇に慣れてくるのが分かった。
結構洞窟の奥に来てしまった。一本道ではない。何本にも枝分かれした通路は奥へ行けば行くほど入り組んで迷路のように人を迷い込ませる。
これ以上奥に行くと戻れなくなる。
来た道を戻ろうとすると、また一匹のコウモリが襲いかかり、それを合図にまた先ほどの集団での強襲が始まる。一国は自分の意思とは別に追い立てられてゆく、洞窟の更に奥へ奥へと。
5、6度のコウモリによる強襲を受け、一国は疲れ果てていた。既に元来た道が分からない。進んでいるのか戻っているのか、西なのか東なのか定かではなくなっていた。
どういう事なんだ、積極的に血を吸いに来る訳でもなく、あいつら一体・・・。
調査団が洞窟から抜け出せなくなった理由もこれなのか?
完全に迷った・・・。ここから抜け出す希望も絶たれた・・・今度こそ終わりだ。こんな所で死ぬのかよ。散々走らされ体力は限界、口の中もカラカラでゲロりそうだ。足にも疲労からくる震えが来ていた。力なくその場に座りこみ壁にもたれかかる。
「もしここを無事に抜け出せたらアイリスたんに告白するんだ・・・。」独り言をボソッとつぶやく。
最後にネトゲしたかったな。告ってからくるんだった。
へへ、死亡フラグを言う余裕はまだ残ってるみたいだ。
我が子を見捨てる親がどこの世界にいるの!なんてセリフをドラマの中なんかで聞くけど、現実では結構見捨てられてると思うんだよな。現実はドラマなんかより非常なんだ。父さん母さんはこんな俺が死んでも悲しんでくれんのかなぁ・・・。
カッパのポケットをまさぐるとライターが入っていた。
壁に頭を持たれさせながらライターに火をつけた。ぼんやりとした光が辺りを照らす。ヒュッ!と風を切る音が聞こえたかと思うと首筋に鋭い痛みが走った!
目のすぐ斜め下、顎の右横に黒い物体がうごめいている。コウモリの鋭いキバが首筋に突き刺さり、チューチューという液体を吸い上げる音がダイレクトに鼓膜に響いていた。
チューチューチューチュー。
「うわぁ~~~~~~!!!!!!!」「ぐわぁ~~~~~~!!!!!!!」
全身が総毛立ち涙鼻水よだれがとめどなく溢れ出す!無我夢中でコウモリを払いのけ暴れまくった。もつれる足もお構いなく走り出した!一国の頭は完全にパニックに襲われた。
右足が左足に絡みつき勢いよく前のめりに転倒した。突如目の前に壁が出現したかと思うと激しく顔面を打ち付けた!おデコは擦り切れ口の中を切り鼻血が吹き出た。コウモリに噛まれた首からは血が流れ、鼻からは鼻血と鼻水が混じり合った体液を垂れ流し、血を止める効力など皆無に等しい気休め程度ながら首と鼻を手で覆いその場でうずくまった。気絶するには至らず声にならない声で唸るしかできなかった。
この痛みに慣れるまでひたすら丸まり耐え忍んだ。ひたすら涙が流れ出た。
座り込んでいたすぐ先は行き止まりであり、暗闇でそれに気がつかず壁に激突したのだ。
時間の感覚も失われどれくらいの時間が流れたのか、流れ出ていた涙や鼻血は乾いてパリパリになっていた。顔中体中血まみれになっているだろうな。これを親がみたらどう思うだろう?卒倒するかな?
パニックに襲われていた頭は冷静を取り戻し、辺りを見渡すくらいの余裕は生まれた。
暗闇で光るコウモリの目も、羽音も鳴き声も聞こえない。コウモリの気配は完全に消えていた。
一国の目は血や涙で周辺が固まり、より周辺の状況を見え辛くしていた。
放り投げてしまったライターを暗がりの中手探りで探す。幸い座っていた場所と顔面を打ち付けた壁はさほど離れておらず、意外とすんなりライターを見つける事ができた。
もう一度耳をすませ、コウモリに警戒しつつ、行き止まりを確かめる為に壁に向けてライターを灯した。
「うわぁ~~~~~~!!!!!!!」一国は口が裂けんばかりに絶叫した!
心臓は大きく一度跳ね上がり、止まってしまう程の衝撃を受けた。
人間が突如として目の前に現れたのだ!
壁しか無いと思い込んでいただけに受けた衝撃はすさまじかった。
腰から下が急に消え去ったが如く砕け落ち、地面に座り込んだ。腰が抜けたというやつだった。
そこに存在していた物は、先ほど一国が座り込んでいた体勢と全く同じ形で座り込む人間の姿であった。
人間は人間でも生気が一切感じられない死体である事は一呼吸する僅かな間に察する事ができた。
いや、死体というには肌という肌が茶色く干からび、一滴たりたも水分の潤いが感じられない骨の上に皮だけが張り付いているかのような物体。ミイラだ!
頭には白髪が少しだけ残っており、あばらが浮き出ている。骸骨に非常に近いシルエットをしている事から餓死した人間のミイラである事が想像できた。
死ぬ寸前まで飢えに耐え、身体の栄養と言える栄養を全て生きる為のエネルギーとして使い果たし想像を絶する苦しみの中で絶命したのだろう。
顔はうなだれたように下を向き、足は前に投げ出し背を壁にもたれかけるような形で座っている。両足は張り付き、手も脇に張り付いて同化しており一つの塊のようになっていた。
「可哀想に。この人もここで迷って死んだのか。」日本人の習性か無意識に手を合わせる。あれ?自分ってこんな信心深い奴だったっけ?旅に出てから自分自身でも知らなかった新たな内面の発見の連続だった。
これから自分も同じ運命を辿る事は誰の目にも明らかだったが、不思議と涙は出なかった。
短期間に何度も生死を経験し思考がマヒしてしまったのか、痛みの涙で枯れ果ててしまったのか。ミイラに対して仲間意識が生まれていた。「俺も時間の問題だ」
一国はミイラの隣に同じような体勢で座り込んだ、天上を見つめるその目には迷いは無く死を覚悟した男の目だった。
一国は引きこもっていた頃からいつ死んでも良いと思っていた。思い通りに行かない現実が苦しかったからだ。一人暮らしする度胸もない癖に親の目が怖かった。常に監視され親でさえも自分を蔑んでいると被害妄想に囚われて抜け出せなかった。
自殺するには動悸が薄いように思っていたので、いっそ事故に遭って死んだ方が楽だと思っていた。
この旅を機会に何かが変われるような気がしていたのだが、このような事故で希望が叶う事になるとは皮肉なものだなと思った。
「でも拍子抜けだったなぁ、マジックの種明かしを聞いた後のガッカリ感に似てるよな。これが異界の入り口の正体かよ。都市伝説!異界の裂け目の正体見たり!!何とコウモリに迷い込まされ出れなくなった迷路でした!ってか?まぁ都市伝説の正体なんてだいたいこんなもんか。
でもこのミイラ、日本に持ち帰る事ができていたら大発見で表彰されてたかもな。
ハッ!?良く考えたら子供の頃からの夢も叶えれたって事じゃんか!スゲー!学者になる以外全部叶った!
そうか!ここのコウモリ、俺をこのミイラの所まで導く為にあんな行動を!俺に目的を達成させる為に?
それともミイラが自分を発見してもらいたくてコウモリに命じたとか?そう考えたらコウモリが良い奴らに思えてきたな。ハハッ!メルヘンかよ!なぁ?」
まるでしゃべりかけるようにミイラの方に顔を向けると、
ミイラの顔もこっちを向いていた。