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月夜の暗殺者  作者: 釈書院ねずは
始まりの出会い
1/3

牢獄のような日々から

初投稿です。拙いですがよろしくお願いします

 目が覚めた。外が騒がしい。何かあったのだろうか?いつも静かなこの施設にしては珍しい。

 分厚い鉄製の扉の向こうからは猛々しいサイレンが鳴り響いてる。いつも静かなこの施設にしては珍しい。明かり一つない中、シーツを払って簡素なベットから扉に近ずく。冷たい扉に耳をあてて研ぎ澄ませてみると、施設の兵士たちが慌ただしく走っているのがわかる。

「何としても侵入者を探し出せ!」

「侵入者が分かれたぞ、逃がすな!」

「おい、侵入者が被検体棟へ行ったぞ!」

 どうやら侵入者らしい。目的はおそらく施設のイカれた研究データあたりだろう。

 ここにあるもので価値があるものはそれぐらいだろうし。

 でも、自分には関係のないことだ。明日にはまた実験が始まる。他のみんなは元気でしてるかな。

 そう思いベッドでもう一眠りしようと扉から離れ背を向けた瞬間、突然背後から何かが倒れる大きな音がした。振り返って見てみると、倒れた扉と血のついた黒ずくめの20代の女性が立っていた。女性は青い光沢を放つ黒い大鎌を手にしていた。

「君、ここに捕まっている子?」

 黒ずくめの女性は慈愛を感じさせる笑みを浮かべていた。その光景に唖然としていると、

「あれ、もしかして言葉わかんないのかなあ。だとしたら困っちゃうなあ〜」

「……言葉は、わかる」

 女性は安堵したように胸を撫で下ろした。

「良かった〜、言葉が通じて。それでここに捕まってる子?」

「……いや、気づいたらここにいた。それ以前の記憶は持ってない」

 記憶は実験のせいでもう失ってしまった。今では両親の顔さえ思い出せない。残っているのはもう同じ施設の仲間たちとの記憶しかない。

「そっか、わかった。なら私が救ってあげる!君名前は?」

「『CR-1』……そう呼ばれてた」

 名前は必要ない、そう言われ与えられた名称が『CR-1』だった。

「『CR-1』って名前じゃあないじゃない。私が名前をつけてあげる!そうねぇ〜」

「……お姉さん、誰?」

「あれ、まだ名乗ってなかったっけ?私はリーベ・ヴィレムート。黒々しい正義の暗殺者よ」

 リーベは少し考え込んだ後、『CR-1』と呼ばれていた少年と目を合わせる。

「アイン…アインなんてどう!」

 リーベは自信げな表情で『RA-1』の少年にアインと名付ける。

「アイン・ヴィレムート、それがあなたの名前よ」

 その日僕は、牢獄のような日々から抜け出した。

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