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最弱勇者の物語  作者: 藤咲 美月
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1章

こちらは短編で1話完結型ですが、何話にもわたる予定の作品です。

 最弱勇者の物語

                          作者  藤咲 美月

 登場人物

 勇者 アクア・リスカ  16歳 とある小さな村の村娘だった。

 剣士 クライン・レスアラ 23歳 旅の剣士、最弱モンスターに襲われていたアクアを助けてから、何の罰ゲームか、アクアにつかまり、無理やり同行者に加えられる。

 魔法使い クリス・クロイツ ?歳 ただの変態魔導士

 巫女 ヒミカ・トウノ 17歳 美人でおっとりしているお姉さん、魔王にさらわれた姉を探して魔王を追っかけるうちにアクアたちとともに旅をすることとなる。

 魔王 リステア 17歳 現魔王で、百合な変態、各地から美少女をかっさらっている魔王様。

 魔王の親友 アリス 17歳 リステアの幼馴染で何かと彼女の行くところについていくが、それはあくまで建前で、本音は、変態リステアが各地で変な事をしないか心配でついて回っている。

 謎の人 グラ

 モンスター クリ「くうぅ」 最弱モンスタークリ、アクアが最初にまともに戦おうとする相手だが、結局倒すこともできず、流れで仲間にしてしまう。





 第一章

 かつてこの星には何千億という人々が住み、平和を願いながら暮らし、多少の争いは耐えなかったが人々はそれなりに平和に暮らしていた。

 だが2935年6月下旬世界的天変地異により世界は混乱に陥り、人々はあっさりと地球を捨てて宇宙へと上がり、地球は誰もいなくなったはずだったが、例外はどこにでもあるらしく、このときもそれはあった。

 地球を捨てた人々と地球に残ったもの、地球に残されたものが結局おり、当初残された人たちは絶望した。というもの地球に天変地異が起きた時点で星は終わるとそういわれていたから。だが、それから10年で地球は正常な機能を取り戻し、人々はまた平和なときをすごしていました。

 3495年6月、世界はまたも危機を迎えます。

 魔王といわれるものが世界征服をし始め、それから200年暗黒の時代と呼ばれる時代が来るが、5勇者という存在が現れ、魔王を倒し、世界にまた平和が訪れました。



 しかし、歴史は繰り返され、またも魔王が現れました。

 3967年6月・・・・・・どうして六月に集中しているかは不明だが、魔王と自分で名乗りを上げたもの、唐突に世界征服をはじめ、世界の半分ぐらいをあっさりと自分のものにしてしまった。

 


「というお話がありました。めでたし、めでたし」

「終わらすな!」

 私の適当な説明に不平不満を怒鳴りながら叫んだ相棒・・・・・クラインは私を見ながら呆れていた。

「お前、その話今現在進行形だろ」

「だって~、モンスター強いんだもん!」

「勇者だろお前、どうして最弱モンスターすら倒せないんだよ。その剣は飾りか?」

 私たちの前には今、クリとか言われるプニプニしたピンクの変な物体がおり、それを倒すために私は剣を抜く・・・・・・はずなんだけど。

「だって襲ってこないし!」

 そう、クリは別に危険なモンスターではなく、何かしなければ襲ってくることもない。なので、無理して倒す必要はない、はずなんだけど。

「お前この前、そこのクリにやられただろう!」

「うぅ・・・・・」

 そうなのだ、私、アクア・リスカは旅を始めて1ヶ月最初に戦ったクリに、なんと、あろう事かボロボロにされたのだ。

 子供ですら勝てると言われている、あのクリに。

 そのとき助けてくれたのが、呆れと、哀れみの目を向けながら近づいてきたこの剣士、クライン・レスアラだ。

 クラインは見た目は美形男子で、町を歩いていれば、きゃー、とか黄色い声が聞こえてくる人であるが、中身はひねくれている、しかも、かなり。

「お前今失礼なこと思わなかったか?」

「何のこと? こんな美少女捕まえて!」

「否定は・・・・・・・はぁしたいが・・・・・見た目だけは可愛いからな、でも雑魚だし・・・・」

「見た目は、と、雑魚、は、い、ら、な、い!」

 そう、私は見た目は正直自分でもわかるぐらい美人である。

 黒髪のロングヘヤー、ニーソックスにミニスカート、フリルのついた戦闘服、見た目は完璧、剣も伝説の勇者の剣、聖剣、なのだ。

 どこからどう見ても完璧なのだが、先日クリと戦うまで一度も戦いをしたこともなければ剣すら抜いたことがない、いわば、超素人なのだ。

「いいから抜け」

「え~、重いんだもん」

 そう、なんで装備品が完璧なのにボロボロにされたのかというと、重くて剣が抜けなかったという、根本的過ぎる理由からだった。

 まぁ、当たり前といえば当たり前だ、今の今まで剣など握ったことがないただの村娘(村のアイドル)が腕力があるわけがない。

 そんな人に鉄の塊である、剣を持たせ、旅に無理やり出されたのには理由が・・・あるにはあるけど、正直ありえない理由だった。

 私の血筋が勇者のそれだったからという、ただそれだけで世界の命運を託されたのだ。

 それならば私も真面目に態様しないで、適当にごまかしてしまえばいいものを。

「よーし、世界を救っちゃうぞ!」

 などと村の人に乗せられて言っちゃったので、言った手前引けなくなっていた。

「何してる・・・・・」

「ぬ・・・・・ぬぬぬ、抜けた!」

「・・・・いいから切りかかれ」

「まだ16歳の私にそんな物騒なことをさせる気なの貴方は!?」

「モンスター相手に何あほなこと言ってるんだ。どうせ重くて嫌になっただけだろ」

 うぅ、この人、人の心読めるのかしら。

 などと考えているうちに、私が剣を抜いたことが相手の闘争心を駆り立てたのか、普段はおとなしいクリが私めがけて襲い掛かってきた。

「え、え、ど、どどどあ!」

「はぁ」

 腹部に衝撃が走り、私はあっさりクリの体当たりを受けてしまい、そのまま倒れた。

「起きろ、痛くないだろ」

「何でわかるのよ」

 倒れたまま答えると。

「クリはプニプニしてるから別に痛くないはずだ。そもそも先日、よくもあれだけボロボロにされたとほめたいぐらいだぞ」

「な、何ですって!」

 私は勢いよく起き上がると、手に持っていた剣でクラインに切りかかる・・・・・はずが、その重さで結局動けず、睨み付けるだけになってしまった。

「いいから倒せ・・・・・俺も暇じゃない」

「あくびしながら言わないで。私だって暇じゃないわよ、魔王を倒さないといけないんだから!」

「へ・・・・・・・」

「あー、もぉ、何なのよ! いいわよ、こんなの私がどうにか倒すわよ!」

 鼻で笑ったクラインに心底腹が立った私は、怒りの赴くままに剣を構え・・・・・・ようとして結局剣先が地面についたままの状態で構えた。

 相手との距離はさほどなく、クリはこんなの、といわれたことがムカッときているのか、ピンピンはねながら私を威嚇している。

 相手が動き、私に向かって突進してくるのを、私は体を少しずらしてそれを交わし、その勢いで剣を中心に半回転、その勢いを利用して剣を振り、相手に・・・・・・当たる寸前で惜しくもよけられた。

「おお、考えた、考えた」

「何よ、その、よくできましたね。えらい、えらい。みたいな発言は」

「えらい、えらい」

 イラ・・・・・・絶対に成功させてやる。

 そう意気込みはしたが、実際どうしたものかと言うのが現状だ。

 相手は小さく的が狭すぎる、今の私の命中率は無いに等しい状態、であれば・・・・・これしかない。

 そう思い、私は剣を引きずりながらクリに踏み込むと、クリは私のその動きに対して体当たりを真正面からしてきた。

 私はそれを、左手で剣を持ちながら、右手を平手にし、思いっきり平手でクリを地面にたたきつける、すると、クリは少しひるみ、動けなくなった。そこに私は自分の右足を押し付け、あったりクリの動きを封じた。

「どうよ、これで・・・・・」

「最弱モンスター足蹴にして何自慢げにしてんだ・・・・・・」

「何よその哀れみの目は!・・・・・・うぅ・・・・・」

 私は足元に居るクリに視線を落とすと、そこには涙目で上目ずかいにこっちを見ているクリがそこに居た。

 私はそれを見て、自分は何をしているのだろうと、そう思わずには居られず、すぐにその足をどけてかがみこむと、クリの頭をなでた。

「何してんだお前?」

「ごめんね、痛かったよね?」

 裏で絶対に何か言いたそうな視線を私に向けているクラインを無視し、私はモンスタークリにそう話しかけると、クリは理解したのか、うれしそうに飛び跳ねた。

「うわぁ、モンスターが喜んでるよ・・・・・今まで見たこねぇ」

「うるさいわねぇ、いいじゃない、モンスターだって生き物なのよ」

「生き物だが外敵だ」

「モンスターが皆悪いってわけじゃないでしょ!」

「ピピピピ!」

「な、何だこいつ」

 私の言葉を理解したのか、それともクラインの言葉が気に入らなかったのか、ポンポンはねながらクラインを威嚇する。

「あははははは」

「だ、誰よ!」

 突然どこから高笑いが聞こえ、私は周囲を見渡し、クラインはなぜかげんなりした顔になりだした。

 そもそも、こんなところで高笑いを・・・・・・に聞こえたのは最初だけで、なんだか不愉快な笑いかとをしていると感じ始め、そんな人物に私は多少なりとも苛立ちを感じた。

 ひととうり笑うのが終わったのか、気の木陰から二人の女の子が出てきた。

 一人は髪型がポニーテールにドレス姿のどこかのお嬢様みたいな格好、もう人が三つ編みで、おっとりした感じ、ミニスカートにこれまた上がどうしてか和服・・・・・と言う変わった服装の女の子だ。

「駄目よ、リステア、そんなに笑っては」

「いやいや、すまんすまん、まさかこんな面白いシーンが見れるとは。わざわざ来たかいがあったというものだ」

「あんたら誰よ・・・・・って何してのクライン?」

「聞こえない、聞こえない、見えない、見えない」

 何がなんだかわからないが、いきなりクラインがおかしくなりだし、耳を両手でふさぎ、両目を思いっきり閉じて何かにおびえているような、そんな状態だった。

「何をしているクライン」

「知り合いなの」

「知りません、聞こえません、赤の他人です」

 そんな態度を取られたら知っていますよ、と言っている様なものだが、本人が知らないと言うのだから、あえて突っ込むのはやめておいたほうがいいのだろうなぁと思った。

 そんなことを思いながら謎の女の子二人に視線を向けると、彼女たちはどことなくえらそうな、そんな気がしてならなかった。

「それで、何なの?」

「いやなに、勇者が現れた、とか言うから見に来てやったんだ!」

「とんだ無駄足・・・・・・・」

 登場して早々に、失礼極まりない発言をする二人をおいて置いて、私は横で挙動不審になりだしているクラインに視線を向けると、すでにそこにはいなかった。

「こら待て・・・・・・」

「へ?」

 声がしたのでそちらに視線を向けると、首根っこをつかまれ身動きが取れなくなっているクラインがそこに居り、涙目で私に視線を向けていた。

「クライン・・・・・」

 さっきの捻くれた顔が今は情けない表情で私を見ているものだから、私は何ナノこの人はと思った矢先。

「リステア様、クラインですけど・・・・・・」

「そうね、クラインね」

「・・・・・人違いです魔王様・・・・」

 魔王・・・・・様?

 リステアと呼ばれたドレス姿の女の子は、クラインににっこり微笑みながらそう言うが、クラインは人違いと言った。 

 今何か聞き捨てなら無い一言がクラインの口から出た。

「あの、そこの美少女聞きた・・い・・・・・」

「何かしら貧弱勇者さん」

 美少女といわれたがそんなに嬉しいのか、満面の笑みを浮かべながら、なにげに私が一番気にしていることを口にし、これまた美少女ならでは、天使のような微笑を浮かべている。

「魔王って・・・・・」

「私のことよ」

 そんなあっさり!

 リステアと言われた美少女はあっさり認めた。

 などと驚いている場合ではなく、探している魔王が今目の前にいるのだ。これをどうにかしないてはないと思いはしたが、その服装、その人相と体格・・・・・どう見ても魔王と言うよりは、どこかのアイドルです、とか言われたほうが、まだしっくりくるというものだ。

「そう、この女の子大好きすぎて世界征服をしだした変態が魔王です。ちゃんとこの変体の家計が魔王の血筋なのがさらに世界的に致命的な・・・・・」

「グラぁ、それ以上言うとこいつと結婚させるわよ」

「いらないわよ。あなたの幼馴染でしょ・・・・・」

 幼馴染・・・・誰が、誰の?

 そう聞きそうになってクラインを見て、そういうことか、と気がつき、どうりで様子がおかしかったのだと、今さながらに納得した。

 だが、どうしてこんな美少女を目の前にしてその反応なのか、それだけが腑に落ちないのは私だけだろうか。

「何アンタ、私の当て付けにこっちの味方するの?」

「いや、当て付けじゃないし、それに・・・・・・・お前俺の事恨んでるだろ」

「ええ恨んでるわ!」

「何したのよ、クライン・・・・・」

 魔王に恨まれるぐらいだ、相当ひどい事をしたに違いない、そう思って聞いていると。

「美少女が皆アンタにメロメロだから、私がハブらせられないのよ!」

「・・・・・」

「・・・・こういう魔王を倒すのよ、あなたは」

 知りたくなかったです、グラさんとやら。

「貴方、何のために世界征服するのよ・・・・・」

 別に聞かなくても答えはもうわかっているようなものだけど、お約束というか、一様聞いてあげるのが筋かな、などと思いつつ、そう聞くと、良くぞ聞いてくれましたといわんばかりに勇者の私に向かって堂々と宣言した。

「そんなの決まってるでしょ、世界の美少女たちを集めて、私だけのハーレム帝国を作るのよ、あははははは」

 貴方女の子ですよね。そう聞きたかったが、そういう人なんだと認識するしかもう無いような気がして、私は頭を抱えたいのを必死でこらえたと同時に、どうしてクラインが他人のふりをしようと必死だったのかわかった。

魔王だからじゃない、これにからまれて同じ人だと思われたくなかったのだろう。幼馴染ならなおさらだ。

「リステア様、これどうするの?・・・・・」

 グラはそういいながら首根っこをつかんでいるクラインに視線を落としながら、実にめんどくさそうにリステアという魔王に向かって聞くと。

「そうね・・・・・地中に埋めましょう」

「環境に悪いわ、ちゃんと燃やして科学反応しないようにしないと」

「お前ら、俺を危険物とか化学薬品じゃないんだぞ」

「その前に葬られる所に突っ込みなさいよ!」

 思わずつっこんでしまったが、こんな調子じゃぁクラインがこのリステア(魔王)から逃げたかったのもうなずける、いろいろ面倒そうだ。

「そこの勇者!」

「な、なに?」

 一瞬、心の中でものぞかれたか、思ってることが口に出たかと思ってびっくりしてしまい、恐る恐るリステアに視線を向けると、彼女は満面の笑みで私に言った。

「これ、あげるから」

「いらないし、それに私と貴方は敵で・・・・・」

「貴方が私を倒すの???????」

 そんな、めいいっぱい、?、が頭に浮かびましたといわんばかりの反応をしなくても、私だってどう考えても無理ってことぐらいわかってるわよ。

 などと思いつつも、ここで倒せれば面倒な旅もすぐに終わってくれる、などと浅はかな希望を抱いたりしたけど。

「ほれ・・・・」

 そう言って、右手を振り上げた瞬間、私の右を何かが通り過ぎると同時に、ドカドカと激しい音と砂煙が巻き上がり、視界が一気に悪くなった。

「ちょっ、何なの!?」

 砂煙が晴れ、視界が戻ってくると私は何がおきたのか把握するために周囲を見渡し、私の右側にあったはずの木々がすっかりなくなっており、何かに抉り取られたかのように新地になっていた。

 ふざけていることを言ってはいるが、どうやら本当に魔王と言われるだけの力が彼女にはあり、私みたいに名前だけの存在ではないのだと言われている様な気がした。

「あ・・・・・・」

「はぁ、やっと抜け出せた。ほら、ぼけっとするな、お前もだぞ!」

「え! え?」

「クピ~!」

 私とクリに怒鳴りつけると、抜け出したクラインがすぐに戦闘体制に入り、剣を鞘から抜いて幼馴染に構える。

 それを見たリステアは、はぁ、と一つため息をつくと、背筋がゾクッとするような笑みを浮かべると。

「久しぶりねぇ貴方とやりあうなんて・・・・・」

「リステア様、あまり力を使われると・・・・・」

 グラが何かを言っている途中でその言葉が切れ、ものすごい音ともに、リステアを中心に魔力が集まり、周りの重力が重くなっていく。

 そんな中、私は重くなった剣を必死に握るだけで精一杯で動けず、クリちゃんも同様に動くことができない中、ただ一人だけあっさり動きクラインはリステアに突っ込んでいった。

「うぉぉぉ!」

「『降り注げ、冷たき一滴の雫よ!』」

 一瞬にして詠唱を行うリステアが右手を前に掲げると、右手から水が飛び出しものすごい勢いでクライン目掛けて襲い掛かるが、それを気にすることなくクラインは突っ込み、その剣で魔法をぶった切ると、そのまま進み、リステアに切りかかった。

 だが、その刃は彼女にぶつかるほんの数センチで何かに阻まれるようにとまった。

「リステア、クライン。ココで何してるの?」

「はぁ~、邪魔するなよアリス」

「ナイスタイミングよ、アリスちゃん!」

 リステアに当たる直前にどこから現れたのか、一人のツインテール少女が登場し、あっさりとクラインの一撃を短剣で受け止め、何事もなかったかのように二人に話しかけていた。

「あ・・・・・・アリス・・・・・また面倒なのが」

「面倒とはご挨拶ですね、久しぶりの幼馴染に、その2、との再会に」

 アリスといわれたツインテール少女は、にっこり笑顔を作ると、クラインの剣をはじき、リステアをその小さな体で抱きつくと、その小さな体では考えられないようにひょいっとリステアごと距離をとった。

「アレもアンタの知り合い?」

「見るな・・・・・」

「クピ~」

 私とクリでクラインを見ると、クラインは顔を背け、私たちから視線をそらした。

 この男はどこまで魔王たちと関わりがあるのかと、そう思わずにはいられず。

 そう考えると同時に、もしかしたら私のことを消すために私の前に現れたのではないかと一瞬思ったが、この反応からしてありえないだろう、ココまで会うことに抵抗している人が、その人たちのために戦うなどまずありえない。

「それで、お城をまた抜け出して、こんな辺鄙なところで何をしているのかしら?」

「アリス、笑顔だけど目が怖いわよ」

「無理もないわ、普通に魔王が出歩くアールピージーがるんですか?」

「これはゲームじゃないでしょ!」

 グラのボケについつい突っ込んでしまった私だが、本当にそうだ。これは遊びじゃないし、もし遊びならば私はこんな剣などもって旅などしていない。

 そもそも、そう、そもそも魔王など出てきたから私はこんなことになっているのだ。

 そう思うと突然言い知れぬ怒りがこみ上げてきた。

「そこの3馬鹿!」

「「「3馬鹿??????????」」」

 そんな、誰の子といってるんですかって言わんばかりに首をかしげながら私のほうを振り向かないでほしいわ。

 3人の間抜けな表情を見たクラインが、これで分かるだろ、係わり合いになりたくない気持ちが、と言いたげに私を見つめてくる。

「何よ最弱勇者」

「うぅ・・・・・・」

 それだけは言わないでもらえると助かります。

「なにやってんだお前は。アリス、いいから連れて帰れ」

「な、何を言って・・・・・・クライン、そこに魔王が!」

「今のお前じゃまず無理だ」

 そ、そんなにはっきり言わなくても良くないですか。

 私は構えていた剣を下ろした。

 正直に言ってしまえば、剣を持っているだけですでに限界で、これをもって走るなんて事が今の私にできるわけもなく、私は仕方なく相手の出方を伺う事にした。

 すると、アリスといわれた女の子は、私を見てクラインを見て、また私を見て言った。

「やめときなさい」

「な、何のことよ・・・・・」

「それと付き合ってるんでしょ」

「そうなんだよ、いやぁ~まぐぁ!」

 すかさず私はクリを手に持つと、それを全力でクラインの顔面に投げつけた。

「まぁいいわ、貴方ね勇者・・・・・・待ってるわ」

「じゃぁねぇ、ちゃんとお城まで来てくれないと暇だか・・・・・・いや、王都まで来なさい」

「ちょっと、またどこかに行くのリステア、家臣にしめしがつかなく・・・・・」

「グラ、そう目くじら立てないで。今から国王を消しに言ってくるのよ」

「良いかもね、私は賛成よ。アレ邪魔だし」

 どうやらこの3人は王都に向かうらしい、それならば、王都に向かってこの三人をどうにかすればこのたびも終わる。

 などと浅はかな期待を抱きつつ、私は浮かれていた、だが、肝心なことを聞き逃していることに私は気がつかなかった。

「ということだから、追ってきてね最弱勇者とその1とその2」

「俺は最弱じゃない」

「くぴ!」

 最弱勇者、といわれムカッとするも、こればっかりはどうにもできないが、クラインとクリ、二人そろって私以外はまともですといわんばかりの反応をしてくれるのは、私に対する嫌がらせかしら。

 などと落ち込んでいるうちに3人は姿を消し、森に静けさが戻っていた。

「行くのか?」

「行くに決まってるでしょ、こんな旅すぐに終わらせるんだから!」

「クピクピ!」

「俺は行かな・・・・こら放せ!」

「アンタがいなかったら、私がリステア達に勝てないでしょ!」

 こうして、私の魔王退治は、魔王の幼馴染と世界で一番弱いモンスターを仲間をしたところから始まったのでした。

 幸先、若干不安がないわけではないけど、どうにかなるだろうと思いながら、クラインの首根っこを掴みながら王都へと向かうのだった。

 まぁ、私一人なんかで旅するよりは間違いなく倒せる確率が上がるはず、たぶん。







現在、6話ぐらいまで政策が終了しております。

1話づつ、日を置きながらの更新とさせていただきますのでご了承ください。

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