ep:1. 悪夢
そんなこんなで小説初投稿します!温かい目で見守ってやって下さい…
序章:悪夢
俺達はあの日から人間であることを捨てさせられた。こんな俺達に帰るところはない
それでも、今を生きる…この理不尽な世界の中で…
深い霧が広がる中、その霧から逃げるように走り続ける少年がいた。黒の短髪に高校生の証である制服を着崩すように中にパーカーを着ている。手には鞄を抱え、全力で霧から逃げている。周りには誰もおらず、霧の中から不気味な唸り声と苦痛の悲鳴が上がっていた。そんな中を必死逃げる少年に不運にも逃げた先からも霧が溢れ、逃げ場を閉ざされてしまった。
逃げ場がっ⁉︎
少年は舌打ちをして辺りを見渡した。四方八方から霧が覆い、逃げ場どころかここから脱する道すら見つけられなかった。しかしよく見れば建物の間に人一人が通れそうな裏道があった。そこからは霧はなく唯一の逃げ道になった。
少年は意を決して裏道に向かって走り抜けた。しかし走り抜ける瞬間霧が顔を真横まで迫り、反射的に霧を少量であるが吸ってしまった。
ドクンッ…
霧を吸った瞬間鼓動が一際強くなった気がしたが今はそれを気にしてるところではなく、この窮地を脱することに全神経を注いだ。うまく裏道に逃げ込み、安堵の笑みを漏らしたがやはりそううまくは行かなかった。表は霧に埋め尽くされ、行き道を失った霧は少年のいる裏道へと流れ込んできた。
少年はさらに奥へ進むように逃げた。霧は確実に少年を追い込んでいく。そしてしばらく奥へ逃げ続けたが唐突にその逃走劇に幕を下ろした。もっとも、その幕引きは少年にとっては絶望そのものだった。少年の目の前に立ちはだかるのは高さ7mはある高い壁、つまり少年は行き止まりにたどり着いてしまったのだ。
そんな…
少年は荒れた呼吸をしながらつぶやく。そして引き返そうと後ろを振り返るがすぐにその足を止めた。後ろには霧が迫り、完全に行き場を失ってしまった。いつもの万全な状態ならなんとかこの壁をどうにか乗り越えれたかもしれない。しかし全力で走り続け、死の恐怖と隣り合わせの緊張状態に晒され続けた体はもはや限界をとうに超えていた。
ちくしょう…
逃げ場のない裏道に行き場のない悔しさと怒りをぶち撒けながら少年は霧の中へと呑み込まれていった。
この日、一つの街とその住民が世界から消えた。