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「ここは『日向村』です」
タイチが言った。
日本民家が建ち並び一言で言い表すなら不気味だった。
「ケイ、カメラを回せ」
サキトが言った。
ケイがカメラを構える。
「それにしても、酷いですね」
コウタが言う。
「しばらく、人の手が入って無いですからね」
タイチがにこやかに説明した。
少し、向こうではレナがカメラの前に立ってコメントしていた。
イオリは近くの岩に腰を下ろした。
アヤが水筒の茶を音を発てて飲む。
頭上で鳥が鳴いた。
ユウタは古民家の壁にもたれた。
空をボーッと眺める。
ふと、後ろをふりむいた。
目の前は壁だ。
しかし、気になるのは民家の中だ。
中で何かが動いた気配がしたのだ。
玄関の扉に手をかける。
昔懐かしいスライド式だった。
「どうかしましたか?」
タイチに後ろから不意に声をかけられビクッと肩を震わす。
「ここ、まだ人が住んでるんですか?」
そのせいで頭が混乱して有り得ない質問をしてしまった。
「まさか……」
タイチが笑いながら答えた。
「ですよね……」
ユウタは済まなさそうに頭を下げて扉から手を話した。




