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「あれは、一体何だよ!?」
コウタが興奮した様に言った。
「解らない」
サキトが地面の一点を見ながら答えた。
シノはずっと震えている。
「タイチさん、ここがどこか解りますか?」
ユウタがタイチに訊いた。
「すみません……解らないです……」
タイチがすまなさそうに頭を下げる。
「そうですか……」
ユウタが肩を落とす。
「何がガイドだ!役にたたねぇじゃねぇか!」
コウタがタイチに叫び散らす。
タイチは俯いている。
「コウタ、止めなよ」
アヤがコウタをなだめる。
「……っち」
コウタが舌打ちをした。
「でも……どうします?これから」
ユウタが心配そうに言った。
「私、早く帰りたい」
レナが泣きそうな顔で言った。
「携帯は通じませんよね?」
イオリがタイチに訊いた。
「はい……」
タイチが頷く。
回りは、植物しかない。
ユウタ達は樹の根に腰を下ろして話していた。
「はぁ……」
サキトが溜め息をついて、頭を抱え込んだ。
こう言う時は、どうするべきなのだろう?
動き回ると、『奴ら』に見つかる可能性が高まる。
しかし、ここでじっとしていても何も始まらない。
「行こう」
サキトが突然言った。
「行くって……どこに?」
イオリが訊く。
「船にだよ!」
サキトが答えた。
「ここでじっとしていても、何も始まらない」
サキトが続ける。
「救助隊に会う可能性も高くなる」
サキトが全員の顔を見渡す。
「嫌なら、俺一人で行くぜ」
そう言って、サキトは歩き始めた。




