ー16ー
つい、さっきまで顔を出していた太陽は厚い雲に覆われ見えなくなっていた。
遠くには発達した雨雲が見える。
嵐の前兆だった。
その中、ユウタ達はケイの死体を見つけた。
結果は解っていた。
当然の結果だった。
死体は見るも無惨な姿だった。
右腕は肘から下が千切れ、衣類はズタズタに引き裂かれて、内臓は露出し、頭が割れて脳みそがはみ出て、目玉があるべき場所には黒い穴が開いている。
一目見ただけではケイとは判断が難しい状態だった。
身に付けている物から彼だと判断した。
レナはアヤに抱き付いて泣いている。
……そんなことは解っていた。
信じた俺が馬鹿だった。
ユウタは唇を噛んだ。
悔しくて
悲しくて
どうしようも無かった。
こんな状況になっても、まだケイが生きていると思っている自分が居る。
しかし、今度ばかりは信じることも許されなかった。
ユウタ達はケイの遺品を遺体の横に並べた。
そして、目を閉じて、手を合わせた。
「行こう」
サキトが言った。
皆、その場から離れた。
ユウタだけ取り残された。
微かに、レナの啜り泣きが聞こえる。
少し、雨が降り始めた。
今は少量の雨だが、もう少しすると本降りになるだろう。
「ユウタ?」
イオリがユウタを呼んだ。
ユウタは頷いて、皆の後を追った。
少し立ち止まり、後ろを見た。
ケイの死体は、確かにそこにあった。




