ー11ー
カメラの映像は続いていた。
『何処だ……』
ケイが呟いた。
「何かを探しているのかな?」
コウタが質問をした。
「たぶん……」
サキトが答えた。
「でも、何を?」
レナが訊いた。
その質問にコウタが両手を上げてお手上げのポーズをとった。
そうしている内にカメラの映像は今にも切れそうな吊り橋に差し掛かっていた。
ユウタ達がさっき通ってきた橋だ。
ギシギシと軋む音がする。
橋を渡終えたケイはまた何かを探し始める。
何故か胸が高鳴る。
見てはいけない、他人が必死に隠しているものを偶然見てしまった気分だ。
『ハァ……ハァ……』
ケイの息遣いが聞こえる。
その時、カメラの映像が大きく乱れた。
『うわぁぁぁ!』
ケイの悲鳴が響いた。
しかし、映像が乱れて何がどうなっているか全く解らなかった。
「何だ!どうなってる!?」
イオリが戸惑いながら言った。
『ギャャャ……』
ケイの絶叫が聞こえる。
スピーカーが壊れるのかと思うほどの音量だ。
その時、猛獣の唸りとも、呻き声とも取れる音が響く。
「何!?」
アヤが叫んだ。
そして、カメラが地面に落ちた。
ケイの顔面が画面に映し出される。
その顔は血まみれだった。
眼には穴が開き、液体が流れ口からは血が吹き出していた。
顔はぐちゃぐちゃだった。
誰も口を開くことが出来なかった。
映像を見る限り、ケイは死んだ。




