◇6
ご飯を食べ終わった3人は片づけた後、すぐに森の国に行きました。
「たしか、フォーレ村は森の国の一番端だと言っていたからここら辺にあるはず……」
少年は竜の姿で鬱蒼と生える草木を掻き分け時折手刀で枝を切り捨てながらずんずんと進んで行く
少女はミーリアに任せてあるので問題はないだろう
ミーリアは曲がりなりにも林の精霊だからな、木々にお願いすれば掠ることなく無傷で来れるだろう
自称魔王の青年に拾われて1年…あの高い魔力と魔の上に立つのを当然だと思っている自信、
それに伴うカリスマ性を一緒に旅して見てきたもう自称ではないのだということは分かっては(・)いる
――が、あの飄々とした態度が何よりむかつくから今でも自称魔王と俺は呼んでいる
俺はあの子の事はとても大事に思っているけどあの魔王が彼女を手を差し伸べる利点はなんだ?
黒と赤を持つ者は忌み嫌われるか崇拝されるかの普通はどちらかしかない
どちらでもないのは栄えてるところと繋がりのない森の国…山奥の村か魔族位だ
あぁ、あと和の国もそうだ…あそこは黒しかいないはず…
黒と赤を持つものは世界に10人もいないらしい…あの魔王からはそう聞いている
それが理由か?
まぁ、こんなこと考えてても仕方ない
俺達が向かうのはその栄えてるところと繋がりのない山奥の村、フォーレ村だ
完全なる自給自足している村で栄えてる都市や国には見つかっていない、言うなれば秘奥の村
秘奥だけあって竜の嗅覚を使って微かな麦や煙の匂いを頼りに歩かないと全くどこにあるか分からない
さっきの林に残した二人にはフォーレ村に着いたらミーリアの本体に呼びかけると言ってある
本体を頼りにミーリアはこっちに来るだろうから心配ないだろう
-ガサ
俺以外の何かの音を聞こえ、音を立てないように直ぐに体勢を低くする
「(……かすかに火薬の匂いがするな、足音からして3人…憲兵や騎士はこんなところに用はないはず
――…ん?待て…たしか森の国は民主国家だったはずだ…憲兵、ましてや騎士何てものは存在しない
しかも火薬なんて輸出入してなかったと魔王から聞いてる)」
足音の他に話し声もかすかに聞こえてきた
少年は、気付かれないように少しずつ会話の聞こえる距離まで3人の方へと近付いて行く
「先輩、もう少しで森の国ですね」
「あぁ……王の命令とはいえ何故私達が…」
「隊長の優秀さを見込んでの事でしょう」
王命…?森の国に侵入するつもりか…
一人が言うにはどうやら先頭を歩いている「先輩、隊長」と呼ばれていた男が一番偉いようだ